現在地 HOME > 掲示板 > 日本の事件12 > 620.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
2001年8月13日の小泉首相の靖国神社参拝を巡り、「国の宗教的活動を禁じた憲法に違反し、信教の自由を侵害された」として、九州や山口県などの宗教関係者、在日韓国・朝鮮人ら211人が、国と小泉首相に1人10万円の慰謝料を求めた国家賠償請求訴訟の判決が7日、福岡地裁で言い渡された。
亀川清長裁判長は、「内閣総理大臣の資格で行われた」と参拝の公的性格を認定した上で、政教分離を定めた憲法20条3項が禁止する宗教活動に当たり違憲と判断した。一方で、慰謝料請求については、賠償の対象になる不法行為とはいえないとして棄却した。歴代の首相の靖国参拝を巡っては、1985年当時の中曽根首相の参拝について大阪高裁が92年、「違憲の疑い」を指摘したが、明確に違憲の判断を示したのは初めて。しかし、今回の判決が地裁段階で確定した場合でも、最高裁判例と違って、他の裁判を拘束することはない。
◆国勝訴、控訴できず…他の裁判へ拘束力なし◆
判決によると、小泉首相は公用車で靖国神社を訪れ、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳して参拝し、献花した。
国側の「私的参拝」との主張に対し、亀川裁判長は、「(小泉首相は)参拝後、総理として参拝した旨を述べており、総理の職務執行と認められる」と判断。「一般人に与える効果や影響を考慮し、社会通念上に従って判断すると、(政教分離を定めた)憲法20条3項によって禁止されている宗教的活動に当たり、同条項に反する」とした。
その上で、「靖国参拝は合憲性について十分な論議も経ないまま繰り返されており、裁判所が違憲性についての判断を回避すれば、同様の行為が繰り返されることになる」とこれまでの国側の対応を批判した。
一方、「国の権威をもって靖国神社への信仰を強制され、信教の自由を侵害された」などの原告側主張に対し、「政教分離規定は制度的保障の規定であり、国民に具体的な権利を保障するものではない」として退けた。
小泉首相の靖国参拝を巡っては、東京、千葉、大阪、松山、福岡、那覇の計6地裁に提訴され、大阪、松山地裁が原告側の請求を退ける判決を言い渡している。大阪地裁は今年2月、参拝を公務と認定したが、憲法判断までには踏み込まなかった。また、松山地裁は3月、公務性についても触れず、憲法判断も示さなかった。
郡島恒昭(ぐんじま・つねあき)原告団長は、「はっきりと違憲と認めた判決で、完全勝利と思っている。原告側主張を細かいところまで採用しており、控訴しても、これ以上の判決は出ない」と、控訴しない方針を明らかにした。
今回の判決は、首相の公式参拝を違憲と判断しているものの、結論としては原告に対する法的利益の侵害を認めず請求を棄却、被告の国と小泉首相側が勝訴しているため、国と首相側は控訴することが出来ない。
裁判所関係者によると、原告が控訴せずに今回の福岡地裁判決が確定した場合でも、最高裁の判例ではなく、下級裁判所の判断の一つのため、同種の裁判で他の地裁の判断を拘束することはない。また、今回の判決を根拠に、参拝の差し止めなどの仮処分を申請しても、影響を与えることはないという。
法務省幹部は7日、「この部分は主文ではないため、法的拘束力はない」と指摘したうえで、「今後の首相の靖国神社参拝のあり方にも影響しない」との見方を示した。
◆首相「今後も参拝する◆」
小泉首相は7日昼、首相官邸で記者団に対し、福岡地裁判決が靖国神社参拝を「違憲」と判断したことについて、「(判決自体は)勝訴でしょ。(違憲の判断は)おかしいと思っている。なぜ憲法違反かわからない。個人的な信条に基づいて参拝している。なぜ伊勢神宮(への参拝)が問題にならなくて、靖国だけが問題にされるのか」と述べ、判決を批判した。
そのうえで「今後も参拝を続けるか」との質問に、「参拝します」と述べた。
参拝の資格に関しては「総理大臣である個人、小泉純一郎として参拝した。公私はわからない。私人であり、公人であり」と語った。
◆憲法20条(信教の自由)
〈1〉信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない。
〈2〉何人も、宗教上の行為、祝典、儀式または行事に参加することを強制されない。
〈3〉国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
◆国家賠償法1条1項=国または公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えた時は、国または公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
[4月7日14時41分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040407-00000205-yom-soci