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(回答先: 岡崎被告は、91年に犯人はと問われ、「オウム真理教ではない。そんな単純なものではない。ある謀略機関だ」 [江川紹子氏『横浜弁護士一家拉致事件』] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 09 日 21:49:24)
オウム事件の核心とも言える「麻原裁判」の一審判決が出たことで、有罪の根拠となった“事実”が明らかになったことになる。
その“事実”が事実であるかどうかは別として、リーク情報とは違う公式性が付与され共有する情報価値が高まったことになる。
そして、有罪の根拠となった“事実”に現実性がなかったり論理的なおかしさがあったら、有罪という判決の正当性が揺らぐことになる。
手元に残していた古い雑誌から“オウム騒動”の渦中にあった97年当時の情報を掘り起こし、今回の一審判決の妥当性を見てみたい。
一審判決は、13件の犯罪について麻原被告の有罪を認めた上で死刑判決を出したている。
東京毒ガス事件や松本サリン事件と並ぶ重要案件とされている「坂本事件」も、殺人・死体遺棄の共同正犯(謀議及び指示)として有罪となっている。
97年の春から秋にかけて吹き荒れた“オウム騒動”ではこの「坂本事件」についても様々なリーク情報が飛び交ったが、一審で、「4日午前3時頃鍵がかかっていなかった坂本宅に押し入り一家3人を殺害し、遺体を運び出し山中に埋めて遺棄した」という事件の構図が認定されたことになる。(この構図は岡崎証言と早川証言がベースになっている)
「坂本事件」については、「4日午前3時頃鍵がかかっていなかった坂本宅に押し入り一家3人を殺害した」という事実が妥当なものかに絞って考えてみたい。
この犯行構図が間違いや嘘であれば、麻原被告がそれを謀議し指示したという認定もほぼ自動的に誤りということになる。
そのための参考資料として、「麻原裁判」の初公判が開かれる直前の97年10月3日号「週刊プレイボーイ」の記事を紹介させていただく。
タイトルは、「現役・公安幹部の告白」と銘打たれているが、それが本物かどうかは気にする必要はないと思っている。
誰が言っているかではなく、書かれている事実がもっともらしいかどうかという視点で読んでいただきたい。
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97年「週刊プレイボーイ 10・3」P.48〜53
表題:「独走スクープ!「オウム事件は、まだまだ未解決だ!」現役・公安幹部の告白<第2弾>」(取材・文/山形 務)
記事:
「 ● 警察リークは“大本営発表”?
9月1日、警視庁と神奈川県警の合同捜査本部が設置された。そして、実行犯のひとりとされる岡崎容疑者の供述をもとに発掘作業が始まったのが6日。その日に坂本堤弁護士と妻の都子さんが、4日後には息子の龍彦ちゃんが無惨な姿となって発見された。実行犯らの供述も次々と報道され、様々な“事実”が連日、報じられている。
それらの記事を読み比べながら私は疑問を禁じ得なかった。というのも、前回のインタビュー(8月15日/33号)に極秘で協力してくれた現役公安幹部・A氏は、取材中、何度か「オウムとは別の存在」についてにおわせていたのに、それに関することが1行も書かれていないからだ。
そういった漠とした疑問を、ほんのわずかでも氷解させるため、私は再度のインタビューを思い立った。
前の取材が「一度だけ」という条件付きのものだったから、私は断れると思っていた。が、コンタクトをとると、意外なことに返事は「OK」だった。
取材が行われたのは都内某所。写真は一切撮らない。オフの要求があった場合はテープも止めるという条件は前回と同じ。ただし、今回は「質問は坂本事件のことだけ」という別の条件が課せられ、それは承諾する以外なかった。
そうして、2度目のインタビューが始められた。
*
―『狂信集団オウムの凶悪な犯罪』という報道は、まだ連日、続いています。
「仕方ないでしょう。オウムが凶悪な犯罪に加わったという事実は、これは動かしようがありませんから」
―今、「加わった」という表現をされました。前回も感じたのですが、どうも今回の数々の事件にはオウム以外のなんらかの組織の関与という印象を受けるのですが。
「どうでしょう。ただ、私が家内などから聞いている範囲では、世間では“オウムだけの犯罪と決めつけるには謎が多い気がする”という声も出てきているようですね」
―どうなのでしょうか。
「報道を疑ってかかるのはけっこうなことと思います。今はまさに“大本営発表”ですから」
―警察のリーク情報が“大本営発表”であると?
「まあ、そういうことです」
―では、なぜ“大本営発表”になってしまうのですか?
「乱暴な言い方をすれば、『すべてはオウムの犯罪』でまとめてしまいたい意向が当局の側にあるということです。オウムが様々な犯罪に加担していたことは明らかですから、オウムでまとめようとすればできないことはない。実際、マスコミは、その方向に進んでいるじゃないですか」
―これから重大犯罪の公判が始まりますが、そういった“隠された事実”といったものは公判で明かにされることはあるのでしょうか。
「ですから、我々は今の段階から、公判は相当な荒れ方をするだろうと想定しています。オウムだけではないのに『すべてはオウムの犯罪』ということでまとめようとすれば、どこかに無理が生じるのは当たり前ですからね」
―実際にオウムの背後に組織はあると?
「質問は坂本事件だけというい約束だったはずですが」
―わかりました。現在、報道されているのは、事件が起きたのは「89年11月4日未明に、村井元幹部や早川被告、新実被告らが押し入った」ということになっています。
「そのようですね」
―それは事実ですか?
「一部は正しい、と言えるでしょうね」
● 「食器」「家計簿」が示す“訪問日”
―では、多くの報道が間違っているというのはどの点ですか?
「まず事件が起きたのは、当初、報道されていたとおり『11月3日』。それがいつの間にか『11月4日午前3時』になってしまったようですね」
―あなた方、公安が「4日」ではなく『3日』に起きたとするその根拠はなんですか?
「坂本さんの奥さんの都子さんは、たいへんきちょうめんな方でした。部屋にチリひとつ落ちていても気になる性格だったということは双方のご両親や関係者に聞いてわかっています。ところが、事件現場の流しには、夕食に使ったと思われる食器が洗われずに置いてあった。これが何を示すかわかりませんか?」
―どういうことでしょう。
「いいですか。清潔で、きちょうめんだた都子さんは夕食後すぐに食器を洗う習慣があった。それはわかっています。とすれば、夕食に使った食器を洗わずに寝てしまうことはないということです」
―寝る前、つまり、4日未明ではなく3日の犯行だったと。
「そうです」
―しかし、午前3時まで起きているというのも、あり得なくはないのでは?
「あなた方マスコミの人ならばね(笑)坂本さんが事件当日、旅行をする予定だったことはご存知ですね」
―はい。
「それを取りやめたのは坂本さんがカゼ気味だったからです。事実、その日の夕方、坂本さんは『体がだるい』と言って寝室で休んでいたと都子さんが近所の主婦に話していることもわかっています。そんな人が午前3時まで起きていますか?また、その日に坂本さん夫婦が着ていた服もなくなっています。ということは、坂本さん夫婦は失踪時、ふだん着だったということです。『4日午前3時説』をとるとしたら寝巻姿のはずなのに、ふたりが使っていた寝巻は部屋にあった。そこからも『4日午前3時説』が間違っていることは想像がつきませんか?」
―そうでしょうか。
「前回も申し上げたことですが、あなた方マスコミはそうした事実を少しも調べようとしない。“大本営発表”にばかり頼り、そのウラをとろうとしない。報道とは事実をひとつひとつ積み重ねて書くことではないのですか?」
―では、その流しに放置された食器以外で、「11月3日犯行説」を裏付けるようなものはありますか?
「家計簿でしょうね」
―家計簿、ですか?
「都子さんは毎日、家計簿をつけていました。これはもう結婚されて以来、書いていない日はありません。で、家計簿をつけるのは、旅行でもしない限り必ずその当日のうちです。それが11月3日から書いていない。もし、『4日午前3時』に犯行が行われたとすれば、3日の家計簿はつけてあったはずですから」
● 「ドア越し」に交わされた「会話」
写真撮影はもちろんのこと、A氏の風体や容貌、体型などまで、文章で表現することは禁じられた。それは、A氏が喋っていることがすべて捜査上の機密であり、どんな他者にも話すことは『重大な服務違反にあたるから』とのことだった。
A氏はまた、なぜ私の取材に応じてくれたのかについても一切、答えらしい答えを言わなかった。ただ、彼の“大本営発表”といった表現から、現在の警察の捜査方針と捜査情報のリークの仕方に大きな疑問を抱いている人物という想像ができるだけだ。
―洗っていない食器、家計簿といったことはわかりました。しかし、それは『3日犯行』を推察させる“情況証拠”でしかないのではないですか。
「それでは不足ですか(笑)では、もういくつかお話ししましょう。坂本さんの自宅はアパートの2階でしたが、その階下の部屋に住んでいた家族がいました。首都圏に住んでいるその一家の身柄を、現在、我々は確保しています」
―事件に関与していたと?
「違います。その家族が重要な証言をしているからです」
―どんな証言ですか?
「ひとつは、4日の午前3時頃には坂本さんの部屋からは物音一つしなかったという証言です。都子さんが『子供は許して』と言ったり、かなりも見合ったりしたはずなのに、です」
―もう一つは。
「会話です」
―会話。
「その家族が、3日の午後8時過ぎ、坂本さんと、坂本さんを訪問したらしき人物とが会話している声を聞いたという証言です」
―どんな内容ですか。
「それはお話しできません。ただ、ひとつだけ言っておけば、坂本さんと喋っていた相手の声は“複数の女性”のものだったということです」
―前回のインタビューの際、あなたは「坂本さんの家を訪れたのは複数の男性ではなく女性の可能性も考えられる」とおっしゃっていました。
「はい。確かに言いました」
―階下の人が午後8時過ぎ頃に聞いたという坂本さんと女性の会話というのは、それと関係があるわけですか?
「そう、ですね」
―それと大きく関連すると思うのですが、犯行日のズレとともに「ドアの謎」があります。事件当夜、坂本さんの家のドアの鍵はどうなっていたのかということです。
「『犯人が鍵を開けた』とか『すでに鍵は開いていた』とかいうあれのことですね」
―ある記事では、「都子さんが鍵をかけ忘れた」というものもありました。
「それはまずあり得ませんね。坂本さんは、青山被告や上祐氏が事務所に訪ねてくるようになって以来、自宅の鍵だけはかけ忘れのないよう都子さんに念押ししていたとされていますから」
<中略:林泰男被告の解錠技術に関するやりとり>
―・・・では、鍵を開けたのは林容疑者ではないと?
「林容疑者が実際に行ったかどうかも疑わしいですが、仮に早川でも岡崎でもいいですが、4日の午前3時過ぎに、彼らが坂本さんの自宅の鍵を開けたのではなく、彼らが来る前に、すでに鍵は開いていたという可能性はありませんか?」
―すると、11月3日の午後8時過ぎに坂本さんと会話したという“複数の女性”が坂本さんにドアを開けさせたということですか?
「そうかも知れませんし、そうでないかも知れません」
● プルシャ、湯呑・・・残された<謎>とは?
―前回のインタビューの時、「坂本さんの自宅を訪れたのは、坂本さんに信用させ、ドアを開けさせることができた女性の疑いがある」とおっしゃっていました。その女性が、11月3日午後8時過ぎ、坂本さんにドアを開けさせ部屋に入った。だから、4日午前3時頃に岡崎容疑者や早川被告が行った時はドアは開いていた、ということですか?
「そう考えるほうが、『都子さんがドアの鍵をかけ忘れた』と考えるよりは、はるかに自然でしょうね」
―「3日午後8時過ぎ」の訪問者を「坂本さんを信用させた相手」と考える、その根拠はありますか?
「湯呑み茶碗です。坂本さんは、ある人から贈られた来客用の湯呑みセットを使っていました。鑑識が調べた結果、全部で5つあるはずのその湯呑み茶碗セットのうち3つがなくなっています」
―ということは、3日の夜に3人の来客があり、坂本家では彼らにその湯呑みでお茶を出し、それがなくなっているということですか?
「そういう推察も成り立ち得るということです」
―そこまで調査しているわけですか?
「当たり前でしょう。ですから、犯人が落としていったオウムのプルシャと呼ばれるバッジ、あれを見逃すなんてことはあるはずがない」
―バッジが発見されたのは、鑑識の調査がすんだ11月8日午前中ということになっていますね。
「坂本さんのお母さんが発見したと聞いています」
―それを鑑識課員が見逃すと言うことは・・・。
「まずあり得ません。それ以前に、普通に考えて、これから犯罪をしようという者が、自分の身分を明らかにするようなものを身につけていくと思いますか?」
―では、なぜプルシャがそこにあったのですか?
「ですから、現在それを徹底的に調べているところなんです」
―お話を伺っていると、「坂本弁護士殺害事件には別働隊の存在があった」ように聞こえてくるのですが。
「別働隊と言ってよいかどうかわかりませんが、我々は、『4日の午前3時』に鍵がすでに開いていた可能性のある坂本さんの自宅に入ったグループは“後始末”を担当したグループと見ています」
―“後始末”というのは?
「指紋を拭き取る。血痕があればそれも拭き取る。訪問した背負うことなるようなものがあれば持ち去る。それに、坂本さん一家を運び出す。そういったことですね」
―ということは、坂本さんを殺害したのは[4日・午前3時」のグループではなく、その前に入った「3日・午後8時」のグループだと?
「それも否定できませんね」
―そういう嫌疑もある「3日・午後8時」のグループの存在が、なぜまったく報道されないのですか?
「それは、詳しいことについては申し上げられません」
―“物的証拠”がない、ということですか?
「それもあります」
―それ以外に、例えば、「3日・午後8時」のグループが表に出てしまうと、当局が困るようなことがある?
「坂本さんを殺害しなければならないような犯行動機に関係があるかも知れない、とだけ言っておきます」
―坂本弁護士が殺害されたのは、オウムに不利な事実が法廷で暴露され、宗教邦人の認証が取り消されることを恐れたためとか、翌年の衆議院選挙への影響を考えて、などと言われていますが・・・
「我々は、そんな簡単な動機ではないと考えています」
―他に、どんな犯行動機が?
「まだ申し上げられません」
―前回、「“地下鉄”はもっと多人数による犯行」とおっしゃっていましたが、その後、それはどうですか?
「坂本事件だけというお約束ではなかったですか?」
―少しだけでもけっこうです。
「あと十数人いると思われる実行犯は、もう日本にはいないでしょう」
―氏名手配中の容疑者たちの捜査状況はどうですか?
「林容疑者らは、もう日本にはいないと考えています」
―では、次の事件の恐れはもうありませんか?
「いえ、むしろ警戒を強化しています」
―それはなぜ?
「10月26日の松本(麻原)被告の公判日前後に奪還テロの危険性がありますから」
―信者によってですか?
「そうではない可能性もあります。彼が護送される車内で笑っていられるのは『自分はきっと奪還される』という自信があるからじゃないですか」
―奪還テロ、ですか。
「もし、このまま『オウム』だけでまとめようとすれば、ですよ。そういったテロだけではなく、第2、第3の事件が起こらないとも限りません。そうなれば日本はまさに“犯罪天国”になってしまう。そういった事態だけは我々は防ぎたいのです。もう、そろそろよろしいですか」
<後略:インタビューアの感想>」