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(回答先: 笠井潔の「テロルの現象学」についてお尋ねしても宜しいでしょうか? 投稿者 すみちゃん 日時 2004 年 4 月 24 日 12:13:25)
真面目な投稿をしないと「バカ」よばわりする方もいるので、少し、うんちくを。
笠井氏のこの本は、連合赤軍事件の悲劇を哲学的に解明しよう、としたものです。
現実社会の矛盾に反発した人間が、特定の観念体系(レーニン主義等)によって、この矛盾を解決しようとする場合、まず「観念の疎外」が起き、これがどんどん先鋭化していくと、自分たちの観念体系を崩壊させるような、「内部の敵」(汝は敵だ。敵を殺せ)になってしまう(観念の倒錯)ことを、「観念の自己運動」(ヘーゲル主義)として詳述しています。
この「破滅に至る自己運動」を防ぐ決め手として、笠井氏は神秘体験(エゾテリスム等)による「集合観念」で乗り越えよう、としていますが、本人も言うように、この試みはうまくいっていません。
現代社会の最大の問題点は、キリスト教原理主義にせよ、イスラム原理主義にせよ、ヘーゲルの「観念の自己運動」を超えていない天だと思いますが、この最大の問題は「他者の喪失」だと思われます。自己観念の弁証法的アウフヘーベンには、他者(自己を相対化する他者)が入り込む余地がないのです。西欧文明は総じて、他者に対して「閉じられた体系」です。これが、アフガンやイラクの現実にもつながっており、これは、スペインによる中南米侵略の時代から、何も変わっていません。ただ、「観念の自己運動」の詳述は、壮大さ、緻密さをもたらすため、どうしても、学問的、哲学的には、これに幻惑される人が後を絶たないわけです。