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(回答先: IAC緊急声明:米国は現地政府に津波警告を出さなかった![TUP速報] 投稿者 なるほど 日時 2004 年 12 月 31 日 01:57:45)
速報 436号 IAC声明補足 米国は津波情報など出していない 050104
米国は津波情報など出していない IAC声明への補足情報として
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米国は、IAC声明が出た後に緊急援助資金を3.5億ドルと、十倍に引き上
げた。しかしながら、それでもイラク戦争に使われた戦費の数パーセントに過ぎ
ない。
一方、津波災害を拡大させたのは米国の「不作為」という批判に対して、津波
情報は流していたと報道するメディアがある。事実はどうなのか。
劣化ウラン研究会/TUP 山崎久隆
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1月1日の毎日新聞は、次のような報道を行っている。誤解を招かないよう、
記事全文を引用する。
--------------------------引用開始----------------------------------
<インド洋津波>65分後に津波情報 米の警報センター
毎日新聞ニュース速報
【ワシントン和田浩明】26日のスマトラ沖大地震の発生から約1時間5分後
に、米海洋大気局の太平洋津波警報センター(ハワイ)が、「震源付近で津波の
可能性がある」との情報を電子メールやファクスなどで関係各国に発信していた
ことが分かった。大気局の当局者によると、この情報の発信先には、太平洋津波
警報組織国際調整グループ(26カ国・地域)の加盟国でもあるインドネシアと
タイ政府も含まれていた。
被害の大きかったタイのプーケットでは津波の到達が約2時間後だった。この
ため両政府がこの情報を避難勧告などの形で適切に活用していれば被害の軽減に
つながった可能性がある。
スマトラ地震関連では、26日午前7時58分53秒(現地時間)の発生から
15分後に第1報を発信。この段階で「地震の規模はマグニチュード(M)
8.0。太平洋の外で起きており、歴史的データによれば、破壊的な津波の脅威
は存在しない」と説明していた。
その後同センターは発生から1時間5分後の午前9時4分、第2報を発信。地
震規模をM8.5に上方修正し、「震源付近での津波の可能性」を追加した。同
局によると、「地震の規模から考えた推定で、実際の津波データに基づくもので
はなかった」といい、「強い津波警報」までには至らなかった。
警報センター職員が津波の大きな被害を知ったのは、地震発生後約2時間半後、
インターネット上でのニュースを通じてだった。
今回被害が大きかったスリランカ、インドなどは調整グループに参加していな
い。このためインド洋地域での津波の警報体制の整備が緊急課題となっている。
---------------------------引用終了-------------------------------------
このようなニュースを見れば、「米国は警報あるいは情報を出していたじゃな
いか」と読む人があるだろう。それはまた、「米国が適切な警告をしなかったた
めに津波災害を拡大させた」という批判への反論になる可能性もあるだろう。し
かし実際はどうだったのか、それを検証する。
この記事の元になった米国海洋大気庁(NOAA)の太平洋津波警報センター
が出した告示は次のものだ。これも関係部分を全文引用する。
**************************************************************
TSUNAMI BULLETIN NUMBER 002
PACIFIC TSUNAMI WARNING CENTER/NOAA/NWS
ISSUED AT 0204Z 26 DEC 2004
THIS BULLETIN IS FOR ALL AREAS OF THE PACIFIC BASIN EXCEPT
ALASKA - BRITISH COLUMBIA - WASHINGTON - OREGON - CALIFORNIA.
.................. TSUNAMI INFORMATION BULLETIN ..................
ATTENTION: NOTE REVISED MAGNITUDE.
THIS MESSAGE IS FOR INFORMATION ONLY. THERE IS NO TSUNAMI WARNING
OR WATCH IN EFFECT.
AN EARTHQUAKE HAS OCCURRED WITH THESE PRELIMINARY PARAMETERS
ORIGIN TIME - 0059Z 26 DEC 2004
COORDINATES - 3.4 NORTH 95.7 EAST
LOCATION - OFF W COAST OF NORTHERN SUMATERA
MAGNITUDE - 8.5
EVALUATION
REVISED MAGNITUDE BASED ON ANALYSIS OF MANTLE WAVES.
THIS EARTHQUAKE IS LOCATED OUTSIDE THE PACIFIC. NO DESTRUCTIVE
TSUNAMI THREAT EXISTS FOR THE PACIFIC BASIN BASED ON HISTORICAL
EARTHQUAKE AND TSUNAMI DATA.
THERE IS THE POSSIBILITY OF A TSUNAMI NEAR THE EPICENTER.
THIS WILL BE THE ONLY BULLETIN ISSUED FOR THIS EVENT UNLESS
ADDITIONAL INFORMATION BECOMES AVAILABLE.
THE WEST COAST/ALASKA TSUNAMI WARNING CENTER WILL ISSUE BULLETINS
FOR ALASKA - BRITISH COLUMBIA - WASHINGTON - OREGON - CALIFORNIA.
**************************************************************
文書が出された時刻は、ハワイ標準時で午後4時4分、現地時間で午前9時4
分で、地震発生はハワイ標準時2時59分(現地時間で午前7時59分)である。
つまり、この文書が地震発生後65分のものであることがわかる。
第一報として発信されたものは、毎日新聞の記事通りである。しかし第二報と
して発信したこの文書は、読めばわかるが、具体的には何の情報も書かれていな
い。
それどころか、表題の直後の冒頭に「これは情報であって津波警報では無い」
と書かれている。そのあと地震パラメータが表示され、「評価」の項目には、
マントル波の分析に基づき、マグニチュードを修正した。
(訳注:毎日の記事にあるとおり8.0から8.5に上方修正したことを指す)
地震は太平洋地域の外で発生した。破壊的な津波の脅威は歴史地震および津波
データに基づけば環太平洋地域には存在しない。
(訳注:つまり環太平洋区域が問題なのであってそれ以上でも以下でもない)
震央の近くで津波の可能性がある。
(訳注:「震源付近」ではない。震源とは地下の地震発生点で震央とはそれを地
球表面に投影した地点である)
追加情報がなければ、本文書がこの事象で公表される唯一の告示となる。
(訳注:その後ニュージーランドなど環太平洋区域でも津波が観測されたため、
続報が出されている)
と記載されている。
第一報に対し付け加えられた文書というのは「震央の近くで津波の可能性があ
る。」これだけなのだ。発生場所はおろか、津波到達予想時刻、地域、高さなど
およそ「津波情報」として意味のあることは何も書かれていない。震央とは地下
の地震発生点を地球表面に投影した一点であり、北緯3.4度、東経94.7度
と指し示されているスマトラ島沖の1地点である。津波の発生場所は地震により
海底地形変異の起きた場所一帯であり、震央より北側およそ1000キロのアン
ダマン諸島にまで及ぶ広大な「面」である。この面より発する津波の広がりを予
測し、その影響範囲を推定しなければ、津波警報は出せない。
つまり、この文書をFAXや電子メールで送られた側が、このことから緊急事態
が差し迫っていると読み取ることなど出来ないのだ。むしろ表題直後の文が「津
波警報では無い」である以上、津波はないと読み取るほうが自然であろう。
日本でも海洋地震が起きるたびにテレビの地震速報では「念のため津波に注意
してください」というテロップが流される。これで避難を始める人はほとんどい
ない。日本では避難をする必要がある津波の可能性があれば、津波警報として出
される。
65分後という時間も、対応が可能だったのはタイの一部、インド、スリラン
カとそれより遠い国で、インドネシアはもちろん、タイでも到達が早いところで
は間に合わなかった。
日本のように津波警報体制が整っているはずの国でさえも、往々にして地震情
報があったにもかかわらず津波警報が遅れるといった事態になる。まして「津波
の警報体制の整備が緊急課題となっている」インド洋地域で、本当に避難措置が
必要だと判断できるような文章に、この告示がなっていると言えるだろうか。
しかしそうであっても、この文書の冒頭が「南アジアで巨大津波の危険性」と
でもしていれば、インドやスリランカそれ以遠では津波の危険性を察知し、時間
的にも避難措置をとることが出来ただろう。それは毎日の記事にも書かれている
ことである。むしろこの記事の本論はそこにおくべきものである。
この文書を発した人々の中に、この文書を持って津波の危険性を警告したと主
張するものはまさかいないだろう。NOAA自身が、環太平洋区域以外は責任海
域ではないと断りを書くくらいであるし、その後の津波の被害実態は、なんとイ
ンターネットのニュース報道で知ったというのだから。
しかしメディアが勝手に「米国から情報が提供されたのだからタイやインドネ
シアがこの情報を避難勧告などの形で適切に活用していれば被害の軽減につな
がった可能性がある」などと書くのでは、事の本質を誤っていると言わざるを得
ないのである。
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TUP速報
配信担当 萩谷 良
電子メール: TUP-Bulletin-owner@y...
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