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(回答先: 原発:耐震性に1000倍の差 原子力安全基盤機構が試算 [毎日新聞] 投稿者 なるほど 日時 2004 年 11 月 22 日 19:36:46)
警鐘!原発震災(2)耐震設計審査指針見直しの行方 2004/12/15
▽原発は「自爆装置」
原子力発電所という「バクハツ物」を、我が国は自らの手で己が大地に仕掛けてしまった。この事実を、いよいよ国は認めざるを得なくなったようだ。
襲撃が近い、という判断だ。一つは自然による襲撃、もう一つはテロ・戦争といった人による襲撃。今まさに国はその双方に対する対策に乗り出そうとしている。その対策、最善最良の対策とは?
後者、ヒトの襲撃に対しては、国が原発に運転停止を命令すること、電力会社の電力供給義務を免除することなどを盛り込んだ報告書が12月3日にまとめられた。これをもとに、関係省庁が来年度中に有事対応マニュアルを作成するのだそうだ(読売12.4「原発、有事には国の命令で停止…電力供給義務も免除」)。
報告書では、大規模テロなど原発が直接の危険にさらされる緊急事態の場合は、緊急停止も考慮している。だがそのときになって緊急停止しても間に合わないのは百も承知のはずだ。原発は止まっていれば安心、というものではない。どこかおかしい。
▽底が知れない自然の威力
いっぽう自然の襲来とは、言うまでもなくまず大地震である。新潟県中越地震で、ほぼ震源直上の地震動データが採れた。地震の規模はマグニチュード6.8で、大地震の範疇には入らない。だが震度は7、それもこれまでと違って、計測震度という計器で測定されたもの。地震動の最大加速度2515ガルを記録した川口町の震度計の数値である。(前号参照)
この川口町にもしも原発があったら、と想像してみよう。東電では柏崎刈羽原発で450ガル、福島原発で370ガルの揺れまでしか想定していない。日本で最強の揺れを想定した浜岡原発の設計用限界地震でも、新設5号機でさえ600ガルでしかない。
浜岡1・2号は建設時285ガルの想定であった。電力会社の言う地盤増幅率(原発は岩盤に直接設置するので地表とは異なる。地表では2〜3倍に増幅されているという主張)を考慮に入れたとしても到底実測には及ばない。
この開きは何か?計測機器の進歩、設置台数の増加、大地震の発生。これらが相俟って近くで発生した大きい地震のデータが捉えられるようになったのだ。遠くの小さな地震の観測データを基に作成された経験式を採用している現行耐震設計審査指針の限界を如実に示すものといえよう。
しかし彼らは、これまで浜岡原発であれどこであれ「想定される地震動に耐えられる」「想定を超えるような地震動は起こらない」と頑迷に主張し続けてきた。
▽原発における耐震指針の見直し
ところが、である。いつの間にか国は想定を超える地震動を考慮しようとしていたのである。その手法が前回紹介した確率論的耐震安全評価(地震PSA) で、耐震設計審査指針の高度化(見直しとは決して言わない)と称して原子力安全委員会で進められている議論だ。(原子力安全基準専門部会 耐震指針検討分科会)
その検討段階で、浜岡原発サイトでの地震による炉心損傷確率が試算され、40年間で2.4%、1炉・年当りでは0.6%という驚くべき高い値となっていることを「毎日」が1年後になって見つけた。これが11月22日朝刊のスクープだった。(11.30「警鐘!原発震災(1)」参照)
浜岡には原子炉が5機存在するから、稼働中の40年間に設計用限界地震動を超える大きな地震動に遭遇し、少なくとも1機が炉心損傷事故を起こす確率は数倍となって約10%、と信じられないほどの高さになる。
こうした都合の悪い数字が出てきたためであろう、ここへ来て新しい地震PSAの採用方針を格下げ(放棄)してしまおうという動きが出てきた。新指針策定の最終段階に来ている11月30日の耐震指針検討分科会に提出された安全委員会事務局の新指針試案は、地震PSAを電力の自主評価に委ねてしまおうというもので、地震学者をはじめとする良心的かつフェアな分科会委員たちからの強い反発を招き、12月中に新指針案とりまとめ、としていた予定は吹きとび、先行きは混沌としてしまった。次回は12月17日に開催される。
中電の想定している設計用限界地震動は甘すぎるという思いを、中越地震のあと地震学者たちはさらに強くしているに違いない。平然とそうした危惧を切り捨てることの出来る人間がいるのだろうか?翌日の報道では、国の審査指針に取り入れたとき、既設の一部の原発でクリアできなくなる恐れから、と推定されている。(毎日12.4、さらに12.7に詳細)
それが事実だとしたら、原子力「安全」委員会とはいったい何なのか?
▽浜岡原発震災は首都圏の問題
ことは静岡や東海地方だけの問題ではない。むしろ東海地震による直接的震災被害はそう大きくないはずの首都圏こそが、浜岡原発の風下にあたるため、水源池始め甚大な被害を受けることになるのだ。
明らかなリスクを示唆する数値が出た以上、中部電力は正々堂々と解析を行い、受け入れられるリスクか否か議論するべきだろう。リスク回避のヒントは、冒頭に紹介した、もうひとつの襲撃に対する原発の対策の中にある。
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(東井怜)
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