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(回答先: 「地球の水は多すぎる」か?【東芝プラント・システム】「灼熱の氷惑星」高橋実氏の仮説を参考に 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 7 月 01 日 02:02:18)
地球上の膨大な“水”の起源について、前号では“水は天から貰い水”説をご紹介しましたが、本号ではこのところ一般に定着した感のある“地中からのしみ出し”説についてご紹介します。
つまり、この膨大な水は、すべて46億年前の地球形成時から十億年以上をかけて、火山活動に伴って大地の中から“しみ出し”てきて、徐々に蓄積したものであるという説なのですが、これを実感として納得するためには、この大宇宙を構成する物質の中で水は最もありふれた物質の一つであるということを、先ずは理解する必要があると思います。
大宇宙を構成する元素で最も量の多いのは、勿論水素です。2番目がヘリウムで、酸素はなんと3番目を占め、水素の1/1,000も存在するようです。他の元素の存在量は、一般に原子量の増加とともに急激に減少し、重金属類に至っては宇宙的にはゴミのような存在でしかありません。この相対的に多量の酸素は、分子状の酸素(O2)としても安定に存在しえますが、周囲に酸化されやすい物があると、より安定な酸化物に変化します。
従って、宇宙的には、大部分の水素の酸化物として、つまり水(H2O)として存在することになります。その結果、星々をつくる原料となった岩石類の塊や屑が多量の水を含んでいて当然ですし、条件次第では、水だけで出来た星があっても不思議ではありません。現に、木星の衛星であるガニメデやエウロパの表面は分厚い氷で覆われていますし、ハレー彗星の核の主体も水であることが分かってきたようです。前号で紹介した高橋仮説の‘灼熱の氷惑星’も決して荒唐無稽のおハナシと言い切るわけにはいきません。それはさておき、以上を踏まえて、地球上の水形成のシナリオは次のようになると言われています。
火山活動によって地上に噴出した溶岩からも大量のガスが放出されました。
これらのガスとは、窒素、炭酸ガス、水蒸気などですが、初期に放出した水蒸気は、太陽放射によって水素と酸素に分解され、軽い水素は宇宙空間に逃げてしまい、重い酸素は地表面の物質を酸化したり、原始大気中にオゾンを生成したりしました。このオゾンが太陽光線の紫外部を吸収してしまうため、水蒸気の光分解の効率が低下し、大気中の水蒸気の量がだんだんふえはじめました。
その結果、地表には水が溜まり始め、これが連なってついには大洋を形成するに至りました。
問題は、現在ほどの大量の水が地中から供給し得たかということですが、この点については次のように説明されています。溶岩というものは、重量にして最高10%の水を含みうるそうで、例えば、1km3の溶岩に含まれる水の体積は最大で0.3km3となります。この事から、現在の大陸性地殻の総体積を形成した溶岩からの水の放出量を計算すると、現在の海洋の総体積の1.5倍もの水の量になります。 つまり、地球上の水は、貰い水ではなく身から出た水というわけです。
金星や火星も地球と同じような形成過程をとったと思われますが、地球だけに大量の液体の水が存在する理由は、ひとえに地球の大きさ(重量)と太陽までの距離がたまたま適当であったためと説明されています。 前号の仮説にくらべて、あまりにも当たり前の説のように思われますが、これとても一般に定着しつつあるという段階にすぎず、何時かまた違った説が生まれないともいいきれません。その時をお楽しみに。
なお、現在は、地球の水の起源は地球そのものである、という考えが定説になっているようですが、これとても何時ひっくり返るか分かりませんので、この高橋仮説が再び日の目をみる可能性が全く無いというわけでもないと筆者は考えております。