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水が示す生命の可能性 NASAの火星探査【Asahi.com】
http://www.asyura2.com/0403/jisin11/msg/234.html
投稿者 ほっくん 日時 2004 年 6 月 10 日 23:13:02:6f17C7oeuUdXU
 

(回答先: 火星の「水の歴史」 クレーターで決死の調査始まる【Asahi.com】 投稿者 ほっくん 日時 2004 年 6 月 10 日 23:10:22)

水が示す生命の可能性 NASAの火星探査
http://www.asahi.com/special/mars/TKY200403100194.html

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 火星はかつて、今とはまったく違う世界だった−−。米航空宇宙局(NASA)は、探査車オポチュニティーが「大量の液体の水が存在した証拠」を発見した、と先週発表した。今は寒く乾いた赤い惑星に、かつて湿潤な時代があったなら、そこで生命が誕生していた可能性がある。その後、大量の水はどこへ消えたのか。生物の痕跡は残っていないのか。将来の有人探査への期待も膨らむ。


◇カギ握る「海」の範囲と期間

 「大量の水」の最大の根拠は、岩石に、硫酸塩を筆頭に無機塩類が40%も含まれていたことだ。探査車科学チームのベントン・クラーク博士(ロッキードマーチン社)は「塩類の豊富な水がゆっくり蒸発した、としか考えられない」と話す。

 海や湖が存在したのだろうか。主任科学者スティーブ・スクワイアーズ教授(コーネル大)は「大量の水が岩石に浸透したのは間違いないが、たまった水の底に岩石があった状態なのか、水が(たまらずに)地面に染み込んで岩石ができたのかは不明」としている。

 地球に生命が誕生するには、広い海と10億年もの歳月が必要だった。火星に存在した水の範囲と期間は、どうだろうか。

 「範囲」を探る手がかりの一つは、今回の調査地点の東740メートルにある直径160メートルのクレーターだ。上空からの映像では、硫酸塩を豊富に含む岩石群のような白い物体に縁取られている。

 「この地域には他にも白い物体がある。オポチュニティーの性能の限界まで調べたい」とNASAジェット推進研究所のジョイ・クリスプ博士。これらにも水の痕跡が刻まれていれば、「範囲」は少なくとも湖以上だったことになる。

 一方、「期間」について東京大の佐々木晶・助教授(惑星科学)は「堆積(たいせき)岩の地層ができるほどだから、少なくとも100万年単位だった」と見る。

 水がゆっくり消えたなら、高所と低所の岩石では水につかっていた期間の長さが異なる。「双方の岩石の特徴を比べれば、水の歴史が分かるのでは」とスクワイアーズ教授は期待する。岩石を地球に持ち帰れば、年代の特定も可能という。


◇誕生の最低条件そろう

  生命の誕生には、有機物と大量の水が必要だ。

 地球では、約46億年前の形成直後から隕石(いんせき)によって有機物がもたらされ、40億〜35億年前に海で生命が生まれたとされる。

 地球とほぼ同時期に生まれた火星にも、隕石が有機物を運び込んだ可能性が強い。海や湖があれば、生命誕生の最低条件はそろっていたことになる。実際に、生命は生まれたのだろうか。

 クラーク博士は「生物が活動すれば、その部分では物質の放射性同位体の組成が微妙に変わる」と言う。だが、それを調べる同位体分析装置は、オポチュニティーも、相棒の探査車スピリットも備えていない。今回の探査は、NASAの中期的な火星探査戦略のまだ「入り口」なのだ。

 来年打ち上げる観測衛星で火星地表をくまなく調べ、07年以降に探査車3台とデータを中継する通信衛星で幅広い地点を探査する。

 NASAの首席科学者ジム・ガービン博士は「09年以降の探査車に、同位体分析装置を積むことを検討する」と述べた。

 中期戦略の最終目標は、14、16年の探査機で岩石や土砂を地球に持ち帰ること。日本科学未来館の石橋之宏さん(惑星科学)によると、サンプルの分析で過去の火星の大気や温度が分かり、生命誕生の可能性を探ることができるという。

 ただ、無人探査には限界もある。探査車科学チームのジョン・グロッツィンガー教授(マサチューセッツ工科大)は「生物化石を見つけるには、広い範囲を探査して多くの岩石を調べなければ」と、人間が火星に乗り込む必要性を指摘した。

 ブッシュ大統領は1月に発表した宇宙新戦略で、火星の有人探査もありうるとした。生命誕生の可能性が出てきた今、その言葉がにわかに現実味を帯びている。

 NASAのエド・ワイラー次官補は「飛行士を送り込む準備として、今後の探査で環境や資源を細かく調べる必要が出てきた」と強調している。


◇宇宙?地下?極地? なぜ、どこへ消えた 行方に3つの仮説

 地球は今も水が豊かで、生命を支え続けている。だが、火星の「大量の液体の水」は、いつか失われてしまった。どこに消えたのか。

 国立天文台の渡部潤一助教授は「宇宙空間に逃げた、地下で凍った、極地の氷となったという三つの行き先が考えられる」と話す。

 火星の大気に酸素は乏しく、酸素からできるオゾンの層はほとんど形成されない。このため大量の紫外線が降り注いで水を水素と酸素に分解する。火星の重力は地球の4割しかないので、軽い水素は宇宙空間に逃げていってしまう−−これが宇宙散逸説だ。

 地下氷結説では、水が地下に染み込み、その後、火星の温度が低下したために凍ったとする。

 だがコーネル大のスクワイアーズ教授は「今の火星は猛烈に寒い(赤道付近でも零下100度〜プラス数度)が、地中深くなるほど温度が上がる。地下何十メートル、何百メートルなら、液体の水がある可能性が強まる」と言う。

 また、火星の両極地方を覆う白い「極冠」では、二酸化炭素が凍ったドライアイスの下に大量の氷がある、ということが最近の探査機による観測で確実視されている。

 このように、火星の「大量の液体の水」が失われたのは、地球に比べて重力が小さく、太陽から遠いため低温であることの影響が大きいようだ。

 太陽系では、木星の衛星エウロパの地下にも液体の水があると考えられている。生命の可能性があるという見方の一方、「温度など他の環境条件から難しいだろう」(佐々木・東大助教授)との意見もある。

 水星や月の極地には、氷の固まりである彗星(すいせい)が衝突してもたらした氷が残っているとされる。だが、生命を育めるのは「液体の水」。地球外生命の可能性があるのは、太陽系の中では、過去の火星だけかもしれない。


〈水の証拠〉

 オポチュニティーが、着陸地点周辺に帯状に露出する岩石群を分析し、

(1)硫酸塩を豊富に含む

(2)鉄ミョウバン石が存在する

(3)長さ1センチほどの細長い空洞が無数にある

(4)岩石内に直径数ミリの球体が散在する

−−などが分かった。

 NASAによると、(1)(2)は岩石が水中で形成されたか、形成後、長く水につかっていたことを示す。(3)は、水に溶けていた無機塩類が結晶化した後、脱落してできたと見られる。(4)は、(3)の空洞に再び塩類を含む水が浸入し、無機物が雪だるま式に固まってできた可能性があるという。

 オポチュニティーとは火星の反対側に着陸したもう1台の探査車スピリットが調べた火成岩には、鉱物の結晶が詰まった亀裂があった。

 水分を含んだ火星のマグマが冷えて固まる過程で、内部の亀裂に水がたまり、水に溶けていた鉱物成分が結晶化した可能性が強いという。 (03/10 12:55)

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