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総合文化研究所の船渡陽子助手および天文学専攻の牧野淳一郎助教授らのグループが、カイパーベルトにあるペア小天体の生成メカニズムを解明しました。このプレスリリースの詳細については、以下の発表資料ページを御覧ください。
ペア小天体の形成メカニズムを解明.--太陽系形成初期の謎にせまる--2004年2年4日発表資料
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<<解説記事>> ――― 古い時代のことが知りたい!
▼ 太陽系形成時の化石、カイパーベルト天体形成の謎とき一歩前進
太陽系外縁部で、最近続々と発見されてきた「カイバーベルト天体」。この天体は、太陽系形成時の化石といわれ、太陽系の成り立ちを知る大きな手がかりになる。しかし、その形成過程は未解明のままだ。
このほど、東大総合文化研究科の船渡陽子助手、理学系研究科天文学専攻の牧野淳一郎助教授らのグループは、この天体に特徴的なペア小天体の形成システムについて、新しい理論を発表した。「カイパーベルト天体のペア小天体は、3つの微惑星が重力によってお互いに引き付けあいながら相互作用することでできる」というものである。
この理論によると、望遠鏡によるカイパーベルト天体の観察結果が非常に良く説明できることから、船渡氏らは、「カイパーベルト天体の形成を、ひいては太陽系の成立を理解する有力な手がかりになる」とコメントしている。この結果は Nature 2004/2/5 号にレター論文として掲載された。
▼ 太陽系形成時の化石、カイパーベルト天体
古い時代のことが知りたい。たとえば、それが地球上の生命の始まりについてだったら、古生物の化石を地層から掘り起こして調べればいい。では、太陽系の始まりを知りたい場合は?・・・実は、太陽系にも、その初期形成を知る手がかりとなる「化石」がある。それが、「カイパーベルト天体」といわれる小天体だ。
太陽系の惑星は、原始太陽系円盤の中でチリが集まって微惑星が形成され、それらがさらに衝突・合体を繰り返して形成された、と考えられている。太陽系の中心部では惑星の形成がほぼ終了しているが、外縁部では、惑星の材料となるチリが少なくて軌道運動が遅いため、惑星形成がまだ終わっていず、いわば太陽系形成時の「化石」状態にあるという。これがカイパーベルト天体である。したがって、カイパーベルト天体を調べれば、惑星がどうやって形成されてきたのか、太陽系の成り立ちを解くヒントが得られるというのだ。
▼ 公転する2つの惑星系に第3の惑星が割り込み交換相互作用
カイパーベルト天体は、火星と木星の間にある小惑星帯に似ているが、異なっている点がいくつかある。その中のひとつがペア小天体だ。
ペア小天体とは、ふたつの小天体が、離れていながら重力によって結びつき、相互に公転している系。カイパーベルト天体では、ほぼ同じ大きさの惑星同士が、ある一定の距離を保って公転しているものの割合が多いという特徴がある。
これまで、ペア小天体については、ふたつの微惑星が接近・衝突することによって形成されるという理論が提案されている。しかし、そうした理論では、カイパーベルト天体特有のペア小天体形成システムを説明することができなかった。
そこで今回、船渡氏らは、「微惑星三体の交換相互作用によるペア小天体形成」という理論を考え出した(図)。この理論は、互いに公転する大・小ふたつの微惑星からなるペア小天体の系に、大きい微惑星が接近遭遇。3つの微惑星が重力によって引き合い、衝突しあい、接近と乖離の繰り返しという非常に複雑な相互作用を及ぼしあいながら、最終的に小さい微惑星が追い出され、2つの同じ大きさの微惑星が公転する系ができる、というものだ。
(三体相互作用のアニメーションのページ参照)
互いに公転する大・小ふたつの微惑星からなるペア小天体の系に、大きい微惑星が接近遭遇 | 3つの微惑星が重力によって引き合い、衝突しあい、接近と乖離の繰り返しという非常に複雑な相互作用を及ぼしあう | 小さい微惑星が追い出され、2つの同じ大きさの微惑星が公転する系ができる |
船渡氏は、この理論を証明するため、数値実験を100万例について行った。その結果、数値実験から予想されたカイパーベルト連星の数や性質は、観測結果と非常に良く適合していた。このことから、同氏は「この理論はカイパーベルト天体のペア小天体形成メカニズムを説明する理論として有望であるばかりでなく、カイパーベルト天体全体や太陽系における惑星形成の初期段階を知る新しい手がかりになる」と述べている。