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生物資源の盗賊行為(バイオパイラシー)とグローバリゼーション〜先住民族の直面する新たな植民地主義の波←バイオ金鉱探し
http://www.asyura2.com/0403/ishihara8/msg/215.html
投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 5 月 17 日 13:54:41:SoCnfA7pPD5s2
 

(回答先: バイオパイラシー:それは生命の窃盗行為←これをモンサントやノバルティスが大学の調査団や研究者の助けを借りて行う 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 5 月 17 日 13:50:41)

「プエブラ=パナマ計画」と中米-グァテマラの先住民族(1−2)

By デブラ・ハリー(バイオ植民地主義に関する先住民族協議会 ディレクター)

 歴史的に先住民族の生活スタイル・知恵・文化・歴史・世界観に対しては、多大な科学的関心が注がれてきた。先住民族は世界で最も研究されている人々と言えるかも知れない。今日、ゲノム学革命はバイオ金鉱探しという形で新しい科学的研究の波を作り出している。そして、世界中の先住民族の生活に影響を与えている。他の望まれない植民地化の進展と同様に、バイオ技術産業は私たちのすぐ側までやって来ている。

 先住民族はいまや世界中で科学的研究の新たな波の最前線に立たされている。その科学的研究とは、新たな薬学や栄養学、他のバイオ技術を使った製品に役立つ遺伝子資源を独占的に支配することを目指している。先住民族の血管や領域に存在する遺伝子的多様性は収奪の危機にさらされている。

 先住民族の固有の遺伝子資源は何世紀にも渡って先住民族の暮らしの中で育まれてきたものであるが、公私両方のバイオ技術産業によって探し求められている。バイオ産業は病気と関連する遺伝子を特定しようと、また、バイオ技術を使った新たな動植物、薬剤、他の遺伝子研究に有益な産物を作り出そうとしているのである。

 人間の遺伝子研究の分野においては、遺伝子の多様性の研究は多くの研究項目の中で高い優先順位を付けられているようだ。先住民族は今のところ進化遺伝子研究、薬学遺伝子研究、そして遺伝子多形性(SNP)、つまり病気を引き起こす遺伝子研究の被験者となっている。この研究では、研究者たちが被験者に充分な情報を与えて上での同意を得ることをせず、またドナーの承諾なしに遺伝子サンプルの二次利用や商業化を許すことによって、多大な人権侵害が起きている。

 そして、知的所有権、つまり特許の適用によって、企業は遺伝子や遺伝子研究からの製品、データに関する所有権を主張する事ができ、よって自然に発達してきたり、先住民族の農民が何世紀にも渡って育んできた遺伝子資源を囲い込むのである。

 現在の枠組みの下では企業はその「発明」にまったく関わってこなかった生体組織に対して独占的所有権を主張することができる。結果として、その資源を盗まれた社会や人々の犠牲の上に、企業の株主たちに利益がもたらされるのである。


バイオ植民地主義

 植民地主義は、その土地に誰も住んでいない(何百万人という先住民族を除けば)とか、生産性がない(自然のままの状態であれば)と主張する「自明の運命」(マニフェスト・デスティニー)や「無主地」(テラ・ヌリウス)といった征服のドクトリンによって推進された長い歴史をもつ盗みと支配のプロセスである。そして、穀物や薬草、遺伝子資源や伝統的知恵を「発見」したと自ら勝手に宣言するこれらのバイオ金鉱探査者たちは、その新しい「所有者」となるのである。

 知的所有権は自然や生活のプロセスを「私有財産」に変えるものとして使われている。私有財産であるから、それは譲渡可能である。つまり、それは商品として所有され、売買されることができるのである。その結果、盗みのプロセスが正当なものとされる。それを私たちは「バイオ植民地主義」と呼んでいる。

 この「金の遺伝子」の探求は多くの研究プロジェクトの明確な動機となっているようだ。先住民族の共同体は研究の利益とリスクを説明する情報を研究者からのみ得ているために、この仕組みの中では不利な立場に置かれている。先住民族は自らのDNAが特許化されたり、新製品の開発に使われることを通して商品として用いられるかもしれないことを知らされない事が多い。遺伝子研究における利益優先の動機によって、先住民族はより搾取されやすくなるのである。

 人種主義と人権侵害行為、人種差別的態度、そして非人間化は研究対象をモノ化し、十全な人間性を否定する研究のパラダイムを生んでいる。先住民族は研究の完全に対等な参加者やパートナーとしてはみなされていない。このような態度は研究における標準的な倫理規範に反する行動を正当化してしまう。

 先住民族は自分たちが科学的興味の対象として扱われ、自分たちが必要としているものに対して、また研究がどのように自分たちに否定的な影響を与えるかについて関心を払われていないということに気づき始めている。

 研究者たちは血液サンプルを得るという賞品に目を奪われ、対象者たちが遺伝子学を理解できないと主張して、情報を与えられた上での同意を得ていなかったり、誤った環境下で生物学的サンプルを集めようとしている。ある場合には、医療行為や金、その他の申し訳程度の報酬を申し出て協力的な研究対象を見つけるという「強制」が最も効果的な手段であるかもしれない。

 個別の研究目的それ自体は悪意のあるものではないように見えるが、集団単位での遺伝子研究は必ずそのグループ全体に適用されることになる。そして、いったん生物学的サンプルが入手されれば、他の研究者たちがさらにそのサンプルに関心を注ぐことが往々にしてある。科学者たちは自分たちのコレクションを仲間たちと、当然のこととして、または金と引き替えに共有することもしばしばある。倫理規範違反行為が起こったとき、法的保護に訴えることは事実上ほとんどできない。


影響を受けるグループに対するELSIの失敗

 アメリカはヒトゲノム計画基金のうち毎年5%を、研究に関連する倫理的、法的、社会的影響 (ELSI)関連問題にとりくむために充当してきた。ELSIプログラムは、ゲノム研究によって引き起こされる問題に先住民族が対処できるように支援することを目指したが、それは惨憺たる失敗に終わった。先住民族は遺伝子研究の規模やそれが自分たちのコミュニティに及ぼすかもしれない影響に関してほとんど知らない。

 十年にもおよぶELSIの資金援助にもかかわらず、先住民族は遺伝子学についての基本的教育を得たり、起こりうる影響を理解するのを自分たちで行わなければならなくなっている。一方、その間政府は先住民族グループと有意義な協議を行わないまま、世住民族に関する研究プロジェクトにせっせと資金援助をしてきたのである。

 現在の生物学研究倫理綱領は集団規模の研究によって引き起こされる固有な状況、特に固有のグループ内意思決定プロセスや文化的世界観に関して取り組むことができていない。遺伝子変異研究はグループ研究であるが、ほとんどの倫理ガイドラインは集団の権利を扱っていない。この文脈において倫理に則った研究における課題のひとつは、個人の権利の尊重というこれまでのモデルと同時に、集団による評価や意思決定の尊重を含めることである。


遺伝子研究と民族保護戦略

 この科学技術の新時代が先住民族による遺伝子資源の集団的保護と管理に新たな挑戦を突きつけていることははっきりとしてきた。西欧の知的所用権は、通常、集団全体の利益のための資源の保護・管理に重点を置く先住民族のもつシステムとは似ても似つかないものだ。ある著者はその対立を簡潔に述べている。

 「特に、『所有』というカテゴリー、もしくは西洋で生まれた歴史的に見れば偶発的で個人主義的な『所有』の概念が、農業技術、細胞株、種子遺伝資源、口承などのような、個人というよりむしろ共同体に属するものに関して検討するとき、そもそも適切なのかどうかということは特に深刻な問題である。もし、私たちが異なる生活世界や人間の考察の仕方の存在を、そして知的所有権法において自然界との関係性を認めることができなければ、不幸にも生物多様性や真の多文化社会への望みは手遅れになってしまうだろう。」

 先住民族グループは、研究をコントロールすることで自分たち自身や自分たちの領域を守るために、自ら積極的手段を取る権利を主張している。バイオ植民地主義に関する先住民族協議会(IPCB)は最近、先住民族研究保護法(IRPA)を作成したが、これは先住民族政府(Tribal Governments)がその領域内の先住民族を望まない研究から守るのを助け、研究が有益であると思われた場合は研究項目をコントロールする枠組みを提供するものである。

 これは研究対象として扱われることから、情報を得て決定や選択を行う力をもった主体的なパートナーへとパラダイムを転換させる。民族によって研究がコントロールされることでより有益な結果がもたらされ、実際に人々の必要に合致する研究になる可能性が高いと考えられる。

 健康に関する問題の多くは経済、環境、社会的要因によって引き起こされるのであり、遺伝子で引き起こされるのではないことを認識することが重要である。これは公共資源が遺伝子技術産業への資金援助という誤った使われ方をしており、人々の健康ケアに真の意味で成果をもたらすようなプログラムやサービスからは離れていってしまっているということを意味している。先住民族の指導者たちは、公共資源が彼らの共同体にとってきわめて有益になるだろうプログラムやサービスから離れていっているが故に、特に懸念を抱いているのである。

 先住民族は自分たちのDNAを集めることを含む幅広い遺伝子研究活動に反対しているが、それは研究が潜在的にもつ否定的影響への批判的分析を根拠にしている。植民地主義の抑圧という歴史的経験から、先住民族にはバイオテクノロジーやそれを推進する研究者のどちらも信じる理由はほとんどないのである。

 世界中の先住民族の声は驚くほどよく似ている。それは遺伝子工学の適切さを問うものであり、生物資源の盗賊行為(バイオパイラシー)を非難するものであり、彼らの共同体や環境を遺伝子ハンターから守る権利を主張するものである。その努力は、過去にそうであったようにこれからも、すべての生命資源を独占し商品化しようとするグローバリゼーションの時代に対して生きたオルタナティブを指し示している。

Debra Harry
Executive Director
Indigenous Peoples Council on Biocolonialism

PO Box 818
Wadsworth, NV 89424
USA
Tel: (775) 835-6932 Fax: (775) 835-6934
Email: ipcb@ipcb.org Website: www.ipcb.org

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