現在地 HOME > 掲示板 > 地域8 > 196.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
2004/05/05
今年2月28日、東京・日比谷公会堂にて『東京都の教育・大学「改革」シンポジウム』(主催:都立の大学を考える都民の会が開かれた。2000人収容の会場に約1800人の都民が集まり、ほぼ満席となった。1800人が集まったのは、石原都政が強行している都立の大学「改革」に都民からノーを叩きつけるためだ。
事の発端は、昨年8月1日の定例記者会見で石原慎太郎東京都知事が突如発表した新大学構想である。これは平成17年春の東京都立大学(東京都八王子市)、他都立3大学・短期大学統合に向けて、これまで大学と都庁が準備してきたものとは全く違う構想であった。これに対して、東京都立大学総長を始めとした教員および学生が一斉に反対した。そしてこの流れは都民1800人のシンポジウムに至る。その後も都庁は大学との協議は改革への「妥協」であるとしていっさい応じてこなかった。
都立4大学を所轄する大学管理本部は、これまでも教員に対して「やくざ」まがいの脅しを繰り返してきた。そして今度は平成16年度の研究費について「傾斜的配分」を行うと一方的に通告してきた。都庁の選定した研究室にのみ重点的に予算を配分するというのである。4月23日付新大学経営準備室長名義の文書には,「新大学に就任を予定していない教員は応募できない。また、共同研究グループの構成員となれない。」とある。予算掌握を武器にして各研究室への締め付けを行ったのである。新大学の経営準備室長が現行・都立大学の予算に権限を持つことは明らかに違法である。
すでに都立大学の崩壊は始まっている。新大学構想に反発していた「21世紀 COEプログラム」(*1)事業推進者の近代経済学グループは新大学に参加しないことになり、新大学の経済学コースの設置が見送られた。COEグループを切り捨てたのである。法学部では新大学構想に反発して多くの教員が辞職したために授業開講数が大幅減となった。こうした中で最も被害を被っているのはもちろん学生である。約半数が大学院へ進学する理学部・工学部の学生は、先の見えない大学院構想に不安の色を隠せない。
都庁は新大学について「社会の役に立つ大学」を謳っているが、果たして8月1日新構想による都立新大学が本当に社会が求める大学なのだろうか。行政に締め付けられて育った学生を社会・産業界が求めているのだろうか。石原都政が目指しているのは、都立高校同様に、上意下達でコントロールできる大学なのではないだろうか。
4月28日、大学管理本部は文部科学省に対して都立新大学の設置認可申請を行った(「東京都立大学・短期大学教職員組合」参照)。混乱が収拾に向かわないままでの設置認可申請となった。この混乱の責任は誰が取るのだろうか。都知事か、大学管理本部長か、それとも行政へのチェック機能を果たさない都議会議員だろうか。しかし、彼らは退任すればそれで終わりである。一度破壊された学問の場を復旧することは極めて困難だ。全ての「付け」は都民に帰ってくることを忘れてはならない。
(*1)COEプログラム:日本国内の厳選された少数の大学(経済学分野では、都立大学を含めて8大学)に、国際的な研究拠点(Center of Excellence)を構築するためのプログラム
関連記事
東京都立大学の危機−都庁から脅迫状!?
迷走続く、「都立大改革」
都立大学の新構想に異議あり
(河井相模)
http://www.janjan.jp/area/0405/0405033961/1.php
今回の都立新大学をめぐる問題も、石原さんの「失敗の歴史」に新しい頁を書き加えることになるかもしれません [五十嵐仁の転成仁語]