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(回答先: 調査結果：イギリスの蝶や鳥が大幅に減少【WIRED NEWS】『沈黙の春』到来！「春が来ても自然は黙りこくっている」 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 3 月 24 日 16:42:12)
http://web.hc.keio.ac.jp/~fukuyama/frogs/decline/decline.html
両生類の減少
両棲類は、カエル、サンショウウオ、アシナシイモリの３種類に大別できます。日本には、アシナシイモリはいませんから、カエルかサンショウウオが両棲類と呼ばれています。両棲類は水と陸地に棲む生物です。両方棲める便利な生物では無くて、両方の環境が無いと棲めない、つまり環境変化の影響を受けやすい生物いうことになります。人間活動によって地球環境は大きく変化し、両棲類の生活も色々な形で脅かされています。ここ２０年間で世界中で両棲類が減りつつあることが、最近明らかになってきました。
減少の原因のすべてが明らかになっている訳ではありませんが、一部は分かっているのもあります。たとえば、薄くなったオゾン層を通過した強い紫外線によって卵が全滅するケース、今まで無かった病原体が入って全滅するケースなど、地球環境の大きな変化によって引き起こされているものもあります。また、一部の種は人間が食べてしまうことによって減少しています。カエルは養殖が難しいので、多くの場合は野生のものを採集します。需要が増えれば、当然野生の個体が減って行くわけです。こうした減少の原因の他にも、他の生物と同様に生息地の破壊や改変が両生類の生息を脅かしています。特に両生類は陸と水辺の両方が必要で、どちらか片一方が消えても減っていくのです。
日本でも両棲類は減少しています。日本の場合、顕著な減少は水田で起こっています。水田のみに依存する両棲類は水田の減少に伴って確実に減少しています。さらに、たとえ水田が残っていても、圃場整備という水田環境の改変によって両棲類が激減しつつあります。圃場整備とは耕作の効率化を目的とした水田の改修工事です。一般に昔からある水田は一枚一枚の田が小さく不揃いに区切られて、雨が降ると水がたまるような場所がたくさんあります。これでは生産性が上がりません。そこで、大型機械を導入し水の利用を効率化するために一枚の田の面積を大きく整地し直し、コンクリートの水路を作って必要な時だけ水を導入し普段は乾燥させてしまいます。圃場整備は水田に暮らす生物のことは考慮されていません。結果として両生類に大きな影響が出てしまいます。例えば、春先に水田に降った雨の溜まり水で卵を産むアカガエルの仲間は、圃場整備されてしまうと産卵場所を無くしてしまいます。また、水田で一生を過ごすダルマガエルは一時的に水田が乾燥しても生息することが出来ません。こうして、都市部・農村部を問わず、全国的に水田からカエルが消えています。
カエルが消えると困るか
カエルが消えると何が問題でしょうか。私はカエルが好きなので減ってしまっては困ります。生き物にシンパシーを持つとはそういうことだと思います。好きな人にとっては理由はどうでも良いのです。しかし、それでは皆さんに納得してもらえないので、カエルがいなくなると困る理由を考えてみましょう。
カエルが減っているといっても、田んぼに行けばいくらでもいるじゃないかと、皆さん思われているのではないでしょうか。確かにかつてはそうでした。田んぼに行けばカエルはいくらでもいました。カエルほど簡単に捕獲でき、いじめても叱責されない陸上の脊椎動物は他にいません。だから、子どもたちが無造作にカエルを捕まえて、ストローを使って、空気で膨らませて破裂させて殺すことも容易でした。同じ事をネズミやリスで同じことやったりしたらたいへんなことになるでしょう。もちろん、どんな生物も虐待してはいけません。それはカエルも同じなのですが、どうやらカエルは大変無造作に扱われ大切にされない傾向にあるのです。
しかし、無造作に扱われるということに対して別の見方をすれば、カエルは野生の脊椎動物の中では一番接しやすい生物で、子どもたちとの接点が近い生き物だと思います。子どもたちはカエルと遊ぶことによって生物は傷つきやすいものであることを学習するかも知れません。そういう機会を与えてくれる生物が減少することは決して良いことではありません。すなわち「子どもたちの遊び相手が消える」から困る、あるいは教育者にとっては「身近な教材が消える」から困るという理由はとても重要だと思います。
この他にもカエルは生態系の中でも重要な位置を占めており、カエルの減少は他の生物に大きな影響を与えることが知られています。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。