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(回答先: NY原油先物、史上最高値に 43・85ドル 石油価格は1バレル100ドル以上にも上昇する 投稿者 TORA 日時 2004 年 8 月 01 日 15:31:19)
TORAさん、どうもです。
現在のドルの実質購買力のまま1バレル=100ドルになるというシナリオは世界経済がズタズタになるものですから、ありえない話か仕組まれた“革命”ということになりますが、仮にそうなったら、従来通りの量の原油輸入を続けられるのは日本だけです。
日本の貿易収支黒字は10兆円で経常収支黒字は16兆円です。(経常収支で14兆円から16兆円の黒字)
日本の原油輸入金額はおよそ4兆6千億円です。原油価格が3倍になったとしても13兆8千億円ですから、13兆8千億円−4兆6千億円=9兆2千億円の黒字削減になるだけで、原油の輸入代金に事欠くわけではありません。
(もちろん、世界貿易が壊滅的な落ち込みを呈することになるので日本の貿易黒字も大きく縮小しますが、日本はそれほどの国際競争力を誇っている最強産業国家だということです)
先進工業国で73年の「第一次石油ショック」そして78年の「第二次石油ショック」を克服した国は、日本と西ドイツだけという歴史は重みを持っています。
原油純輸出国の先進工業国は別として、原油輸入国で1バレル=100ドルの原油価格をしのげるのは、今となっては日本しかありません。
米国は、原油輸入比率が60%ほどまで上昇していますから、1バレル=100ドルになれば、5千億ドル(約55兆円)という貿易収支赤字が一気に増加することになります。
(イラクやサウジからタダや特別価格で原油を持ち出されると考えるのは幻想です。そのような反自由主義的経済取引をやろうとしたら猛反発を受け、米国は中東の拠点を失うことになります。米国の“良さ”は、自由な経済取引という体裁をあくまでも守ることです)
米国の経常収支の穴埋めを日本などがやってあげられるという状況ではなくなるので、連邦準備制度が増刷するしか対応できなくなります。
ドルの増刷と国外流出は世界的なインフレにつながるので、ドル建ての原油価格はさらに上昇するはずです。
米国国内経済も、原油輸入価格の上昇に見合う家計や企業の可処分所得(粗利益)の増加がなければ、とんでもない不況に陥ることになります。
連邦準備制度は、輸入決済向けのドルだけではなく、国内のガソリンなどの価格高騰に対応して勤労者他の家計の可処分所得を増加させるためにもドルを増刷しなければなりません。
それがうまくいかなければ、石油関連財の販売数量も落ち込みますが、それ以外の消費財や生産財はとんでもない販売不振と価格下落に見舞われることになります。
(このような論理から、1バレル=100ドルは、仕組まれた“革命”を遂行する手段以外としては現実化することはないと考えています)
経済成長が著しい中国であっても、対米貿易収支で1000億ドル(約11兆円)の黒字を計上していながら収支が赤字の月もあるように、トータルの黒字はたいしたレベルではなく、経常収支黒字はせいぜい360億ドル(3兆9千億円)といったものです。
これでは、原油が1バーレル=100ドルになる輸入価格上昇に耐えられる発展段階ではありません。
1バーレル=100ドルになれば、産油国に膨大な貿易黒字が生まれ、石油メジャーの利益はすさまじい額になるはずですが、実際はそうならずに、とてつもない世界貿易の落ち込みにつながります。
日本しかまともに買えない価格が長続きすることもなければ定着することもありません。
(世界経済に混乱を引き起こす目的以外に1バレル=100ドルの原油価格はありえません)
仮の話として「原油高騰状況」が続けば、省エネ技術や生産性の高さで群を抜く日本企業は、70年代がそうであったように、「原油高騰状況」でさらに国際競争力を高めていくはずです。
逆に、ドル安が進むかたちでだらだらと原油価格が上昇し、日本の国際競争力が「デフレ不況」のなかでだらだらと下落するほうが、悲劇的だと考えています。
だらだらとドル安が進んだ結果として1バレル=100ドルになるのなら、そのときはとっくに人民元を自由化しているはずの中国も対応できます。
★ 参照書き込み
『「産業資本主義」の終焉:外国為替レートの変動論理:固定相場制と変動相場制の違い』
( http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/853.html )