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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu74.htm
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「オイルピーク」 石油文明の終焉と日本への打撃
東京大学名誉教授 富山国際大学教授 石井吉徳
2004年7月14日 水曜日
◆地球の「オイルピーク」に関する声明
http://ecosocio.tuins.ac.jp/ishii/votinggreen/opinions/oilpeak.html
教育界と科学界のメンバーであり、世界の石油生産のピークの研究に関与している我々は、将来の問題とその影響について、以下の声明を発表します。
◆石油は限りある資源です。
石油は地質学的な過去に形成されたもので、世界のより多くの主要な石油地質学者は、回収可能な石油全体の95パーセント以上がこれまでに発見されているとしています。従って、我々は適度な確実性を持って、利用可能な石油のトータル量を知っています。この声明の時点で、我々は回収可能な石油の約半分を既に消費しており、1日当たり約7500万バレルを消費し続けます。1981年以来、我々は発見するよりも速い速度で石油を消費してきており、増え続ける消費と減少する発見の間のギャップは広がり続けています。石油は現在、発見される4倍の速度で消費されており、状況は危機的になっています。
◆石油は最も重要なエネルギー源です。
石油は現代文明の成長を可能にした燃料であり、工業国は現在全て、異常なまでに石油に依存しています。石油は一次エネルギー全体の40パーセント、輸送エネルギーの90パーセントを供給しています。農業、化学、製薬業、殆どの衣類産業、また他の多くの産業において、更に重要です。石油の物理的、及び化学的な万能性はその高エネルギー密度と相まって、他の既知エネルギー源が十分な、または適切な代用品として役立たないほどのものです。要するに、石油は産業界の生き血なのです。
◆世界の石油生産は、ピークに達しています。
この問題に関する50年間以上の研究と分析の結果、世界の産油国が石油を生産することができる速度が最大限に達した、または非常に近いレベルに達しているということが現在明らかになっています。これが「オイルピーク」が意味するものです。大きな努力と消費により、現在の石油生産のレベルはおそらくもう数年間維持することができますが、その後の石油生産は変えることができない減少を始めるに違いありません。この減少は我々の物質界を管理する自然の法則が保証する確実なもので、いかなる科学、技術、工学をもそれを防ぐことはできません。限りある資源の消費は有限の努力でしかあり得ず、また、減少の開始を遅らせる試みはより急激でコントロールの効かない減少を保証するだけです。
◆オイルピークは、世界を不安定にする大きな影響力です。
差し迫った石油生産ピークの前兆は、我々の経済、環境、及び地政学に既に影響を与えています。供給の厳然たる制限は、現在最も微細な混乱にも極端な価格反応を示している石油市場を不安定にします。より高い石油価格は、支出できる収入を減らすと同時に消費者物価を上昇させることにより、経済を傷つけています。環境規制の緩和、よりデリケートな野生生物保護地域での掘削、石炭や核技術への移行を通じて弱まった経済を支える努力は、環境に対する懸念を高めています。また、現在50を越える石油産出国で減少がみられるなか、石油に富んだ中東に置かれた焦点は劇的に鋭くなりました。中東の国々は伝統的に、生産を増加させることで逼迫した石油市場を緩和することができましたが、中東自身がオイルピークに近づくと共に、提供できる緩和が制限され、一時的なものになっています。それにもかかわらず、多くの国々が中東の石油に極度に頼るようになり、この地域における紛争の地政学的利害関係は過去最高レベルに達しています。
◆解決策はサイエンスに基づいていなければなりません。
熱力学の法則や物理学は、ビジネスや経済学に相反し、この危機を通して我々を導いてくれるに違いありません。公開市場は、様々な代替技術の重大な技術的制限を予知することができないため、重要な資源の枯渇に対処するようには装備されていません。例えば、天然ガスはそれ自体有限の資源で、北アメリカでは既に減少しています。水素はよく万能の方策と言われますが、水素は一次エネルギー源というより、むしろバッテリーのようにエネルギーを運搬するものです。そのため、水素は厳密にはエネルギーを損失するものです。核エネルギーを7倍増加して石油の代替とすれば、重大かつ高額な廃棄物問題が発生するでしょう。太陽、風、地熱、及びバイオマスを含む再生可能なエネルギーは奨励されるべきであり、またそれらの大規模な配備の可能性を評価しなければなりません。既に証明されていてもいなくても、まだ研究所の中にある他の技術をこの問題が決定づける時間枠内や規模で展開させることは非常に困難かもしれません。
◆我々は、世界の全政府がこの問題に非常に真剣に取り組むよう、呼びかけています。
石油ピークは不可避です。最初の警告はほぼ半世紀前に公になり、石油地質学者たちはそれ以来ますます、世界の石油供給に対する懸念を示してきました。1995年以来、ベテランの地質学者のグループは、徹底的な分析に基づいた非常に特定された警告を発しています。我々は、今その声が聞かれるよう求めます。最初の対応は、消費の決定的な削減、及び世界の油田の大きさの徹底的な再評価を含んでいなければなりません。維持できる将来を作るのに参加できるよう、いずれのコミュニティーもこの問題に関して通告されていなければなりません。
オイルピークは現代文明が直面する最重要の課題です。一丸となって我々の集合的な脆弱を認め、我々の文化や文明の構造をかつて試みたことがない方法で変えるために、動き始める時が来ています。我々は課題の大きさも、行動を起こさなかったことによる結果も、過小評価していません。どうか我々のこの声明を採用され、増加しつつあるこのメンバーの一員として、あらゆるレベルで働きかけて下さい。
◆日本の危機への対応 (平成15年4月17日(内閣総理大臣他に送付)
http://ecosocio.tuins.ac.jp/ishii/votinggreen/opinions/enegy_future.html
1) 石油はいずれ無くなる。
・可採年数約43年であるが、生産量のピークは早ければ2004年と見られる。また天然ガス可採年数62年である。エネルギー資源価格高騰、争奪紛争への懸念が高まる。
・日本は無資源国となっている。(石炭可採年数231年も日本は生産中止)
・核融合エネルギーは、見通しが立つのは今世紀後半と見られ、来る危機に間に合わない。超長期の可能性追求対応策である。
・メタンハイドレードは存在確認のみ、資源としての利用可能見通しは未知。現状では不確実な対象でしかない。
・原子力は、ウランも可採年数73年と有限である。また国民容認についても、不安定な状況にある。供給者の上流から下流に至る全過程についての責任意識向上と国民理解への一層の努力が必要である。
−ここ数年間で危機顕在化の可能性は極めて高い―
2) 石油依存の日本農業は壊滅的打撃を受ける。
・ 化学肥料、農薬、燃料への依存度は、世界の中でも極めて高い。
・ 土壌の荒廃が進行している。(過剰化学品使用)。
・ 水質汚染も進行し無視できない状況となっている。
−食糧自給率約40%の現状は、先進国中最悪であり、農業従事者の高齢化は異常―
3) 石油資源依存の化学工業製品への影響。
・合成樹脂、合成繊維、合成ゴム、化学品等の価格高騰への懸念。特にC4、C5以上の製品が問題である。
・プラステイックスは容量ベースで鉄鋼を超す。合成繊維、合成ゴムは天然繊維、天然ゴムと並ぶ使用量。
・ 天然材料等への回帰志向の兆しが始まっている。
・石炭依存技術は喪失し、また可能性があっても高コストは避けられない。
などである。
◆中国:2020年には石油不足量が2.5億トン
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040712-00000031-scn-bus_all
2020年に中国国内の石油供給不足量が2.5億トンに達するとの予測が発表された。エネルギー不足が今後、中国の工業化、さらに経済成長の制約要因となることは避けられない状況にあり、関連部門の対応が急がれている。12日付の中国新聞社が香港・大公報の記事を引用して伝えた。
専門家の予測によれば、2020年に中国の石油消費量は4.5億−6.1億トンに達し、同年の国内供給量は1.8億−2億トン、2.5億−4.3億トンの不足が発生する。中国国内の石油産出量が今後大幅に増加することは予測し難く、需要の拡大に対しては輸入で賄うしかない状況に陥るとみられている。2020年前後には、石油輸入量は3億トンに達し、中国は世界最大の石油輸入国になる見込み。
現在、中国の石油消費量は2.3億トンで、世界消費の6%程度を占める。中国は、カザフスタン、キルギスタン、ロシアなどの近隣諸国との石油共同開発プロジェクトや、中東産油国との貿易関係の強化など積極的な対応策を打ち出しているが、依然として需要を満たすほどの満足な供給ルートは確保していない。
2003年の原油輸入量は1億トンに接近しており、石油の対外依存度は36.5%に達した。今年の原油輸入量は1億トンの大台を突破すると予測され、中国のエネルギー危機は深刻さを増している。この状況に、北京では科学技術分野における中長期発展戦略の策定を急いでいるという。(編集担当:吉田雅史)
(サーチナ・中国情報局)
[7月12日15時13分更新]
(私のコメント)
最近の夏になると世界の各地で停電騒ぎが起きます。今年も早くから中国では停電が頻発しており、年中行事のようになっています。オリンピックが開催されるギリシャのアテネでも停電騒ぎが起きてオリンピックの開催が出来るのか心配されている。アメリカでも東北部やカリフォルニアで大停電騒ぎを起こしています。これらは夏場のクーラーなどの需要が爆発的に伸びているために給電体制が整わないからだ。
このように目には見えなくても地球人類のエネルギー消費は年々爆発的の伸び続けている。省エネ化も進んできていますが自動車や家電製品を買い込んで使う消費量の増大のスピードのほうがはるかに早い。特に中国や東南アジアの石油エネルギーの増大量はすざましい。中国は去年400万台も自動車を生産し、今年の2004年には500万台を突破する勢いだ。
このような突如の自動車大国の登場は、将来の石油の需給に大きな影響をもたらす。日本のように鉄道網が発達しているところと違って、アメリカやロシアや中国といった巨大国家はは自動車に頼らなければ輸送問題は片付かない。アメリカやロシアは自前で石油を調達できますが、中国はかなりの分を輸入に頼ることになる。すでに中国は日本の輸入量を追い抜いた。
世界各国はますます中東の石油を頼りにして来ており、石油消費大国アメリカが中東に軍隊を派遣したくなる気持ちもわかる。最終的には武力に勝るものが石油を支配し世界を支配するようになるのだろう。もしアメリカがイラクの石油支配に失敗したら、石油によって成り立つアメリカの将来はないだろう。
石油を必要としているのは何もアメリカだけではなく、世界中が石油がなくては産業が成り立たないから、中東の石油を巡って争奪戦が繰り広げられている。地政学的に見てアメリカが一番不利であり、本格的な争奪戦が起きた時、地続きのロシアや中国やヨーロッパには中東の石油の争奪戦は不利だ。だからこそアメリカは立場の似た日本やイギリスやオーストラリアを巻き込んでイラクへ軍隊を派遣しているのだろう。
石油なんか金を出せば幾らでも買えるではないかと言う事も今は出来ますが、数十年後に本当に石油が枯渇し始めたら、生死に関わることだから本当に武力による石油の争奪戦がおこなわれるだろう。それならば日本も平和憲法だの集団的自衛権などといっている余裕はなくなるだろう。
ある資源屋の20世紀論 (関岡正弘)
http://www.asyura2.com/2003/dispute5/msg/313.html
アラビア・プレートはなぜ石油の宝庫?
http://www.asyura.com/2003/bd24/msg/640.html
米石油帝国の衰退と中国の発展の挫折は近い
http://www.asyura2.com/0403/hasan34/msg/147.html