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円の通貨圏も広がって当たり前、軍事力を考えない経済学では国家戦略は立てられない (日下公人)
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投稿者 TORA 日時 2004 年 7 月 06 日 16:04:30:CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu74.htm

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円の通貨圏も広がって当たり前、軍事力を考えない
経済学では国家戦略は立てられない (日下公人)

2004年7月6日 火曜日

◆「円の通貨圏」も広がって当たり前

「円の通貨圏」も自然に広がっていくはずである。というのも、世界のGDPの一八%を日本が占めている。その上金融は「最大の債権国」だ。日本は世界中にお金を貸しているのだから、世界中の通貨が円になっても不思議はない。

ところが日本は「通貨圏なんか広がりません。考えてもいません。円は売ります。どんどん値下げします」と言って円安政策をとるから、呆れてみんな寄り付かない。こんな世迷い言を言ってはばからない財務省なら、ないほうがいい。

日本人は賢くて働くから、放っておげぱ絶対に円高になる。円高になると思えば、みんなが円を持つので、なおさら円高になる好循環が訪れる。こうなると日本は欲しいものを何でも円で輸入ができるようになる。円で輸入ができるならドルを稼ぐ必要がない。「踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪」とぱかりに、アメリカの後をついていく必要がなくなる。

「円高では、日本の輸出産業が打撃を受ける」という意見があるが、打撃を受げれぱいいのだ。それで潰れるものは潰れるし、したたかに生き残る企業もある。そもそもいわゆる輸出産業は日本人の給料が安くて、円が弱い時代の産業だ。それを無理やり「円安政策」で保護しようとしても無理がある。

円高による輸出産業の苦境は、輸入産業が儲かるチャンスにほかならない。消費者にとっては食品や衣料などが安くなるたど、いいことだらげだ。この裏表の関係が発想として浮かばなかったのは、役所はこれまで「輸出は大事」と言ってきた手前、前言を翻せなかったからだろう。

ところで日本の輸出産業は、今や昔の輸出産業ではない。第一に超高級品を輸出している。自動車も電器も芸術品だと海外の人は驚いている。つまり競合していない。それどころか価格競争段階のその先を走っている。第二に海外で生産している。それも利益を持ち帰れない国に投資している。

◆「バーゲニング・パワー」は日本にある

円を強くするために日本が取るべき戦略は、まず「使い勝手をよくする」海外からは、円で持っていると動かしにくいと言われている。よけいな口出しをせず、使い勝手を良くしておけぱ、海外の人々が円を持っようになる。つまり、国際通貨としての「円の規模」が大きくたる。ちょうどマザーズから一部上場へと成長するようたものだ。これこそが本当に必要な観制緩和である。

もうひとつ大切なことは「日本政府自身が、円の投げ売りをしないこと」だ。日本がことさら円安政策を打ち出すので、海外はみんな呆れている。中央銀行が保有する外貨準備に円を持つと値下がりする。

さらに、日本人自身が「円で売ってくれ」と要求すべきである。だんだんそうなってきたが。バーゲニソグ・パワー(取引におげる交渉力)は日本にあるのだから、要求すれぱそうたる。たとえぽ牛肉、豚肉、大豆、石油などの世界一の買い手は日本なのだから「円でなきゃ要らない」と言えぱいい。相手の「ドルでなきゃ売らない」という要求に、及び腰になっているからいげないのだ。

ビジネスなのだから、そこは交渉だ。「そうですか。円でなけれぱ買わないよ」と言ってみることだ。断わられたら困ると考える人がいるが、他に売ってくれるところを探すまでである。日本が買わなくなったら、たちまちに困る人々や国がある。たとえぱ、マグロを日本人が食べなくなったら、世界中で失業者が現われる。

オーストラリアでは、寒村の漁港がマグロ御殿が居並ぶ高級住宅地へと変貌を遂げた例もある。われわれのごく当たり前の生活が、世界に大きな影響を及ぽしている。だからこそアメリカは石油を押さえて、それをドルでないと売らないことにしている。さて、日本はどうすれぱよいのか。

◆日本円の裏付けは「輸入カ」

私は、日本の石油輸入量は半分に減らせるはずだと考えている。いつまでも「日本は石油が一滴も出ない」と同じことを言っていないで、代替エネルギーを本気で考えれぱいいのである。天然ガスや石炭を使う、省エネ自動車にする、原子力発電に力を入れる、燃料電池を実用化し普及させるなど、さまざまな対策を実行するのだ。仮に、日本の石油輸入量が半減すれぱ石油価格はまちがいなく暴落する。

日本が石油輸入半減に向げて本当に取り組んだと思えぱ、売る側も反省する。現在すでに、産油国はいささか日本を見くびりすぎていたと気がついている。お金には、その価値の「裏付げ」が必要だ。ドルにとっての裏付げは、アメリカの「軍事力」と「石油」である。円にとっての裏付けは何だろうか。経済産業省は「輸出力」だと思っているが、私は日本の「経済力」と「購買力」だと見る。つまり「輸入力」と「指導力」だ。

日本ほど石油を買う国はないのだから、買い手が右往左往することはない。日本が油田開発をする必要など、さらさらない。石油ショックの直後から「日の丸原油」の確保を旗印に、日本政府の肝いりで海外の油田開発が進んだが、たいていは失敗で、せっかく掘り当てても、没収されたらおしまいだ。実際、アラピア石油では採掘権の延長ができずに取り上げられてしまった。

こんなことなら海上自衛隊の増強に予算をつけてホルムズ海峡をバトロールさせておいたほうが、よっぽど安かった。これは別に変わったアイデアではない。イギリスもフランスもイタリアもやっていることである。世界最高価格で、世界最大量を買う国が日本なのだから、「買う」と言っているかぎり、向こうは開発して配達までしてくれる。

日本の石油輸入動向が、価格を決めた好例がある。「日の丸原油」のきっかげとなった石油ショックでは、一バレルニドルだった石油価格が、二〇ドル、三〇ドルと高騰した。このとき日本人は、蛍光灯を一本ずつ消し、エレベーターも一台ずつ止め、夏はサラリーマソが半袖で暮らした。もちろん省エネ技術も開発した。そこで日本の石油輸入量は劇的に頭打ちになった。

この結果、石油価格は一ニドルまで下がった。サウジアラビアとソ連は、期待していた儲けが吹き飛んでしまった。サウジァラピアの利益とはアメリカの利益だったが雲散霧消した。日本は石油の消費量を減らしながら、その後も経済成長を続けたのだ。(P196〜P201)

◆「軍事カを考えない経済学」では国家戦略は立てられない

中国は外貨準備を四〇〇〇億ドルも持っている。これは国家戦略の武器として使える。中国が外貨準備の運用先として、ドルを売ってユー口を買うことにすれば、ドルは確実に下がる。日本にも七〇〇〇億ドルの外貨準備がある。ところが、日本はアメリカの言うとおりに使うから、アメリカから見れぱ自分のお金とまったく変わらない。勝手にアメリカ国債を売ったりしないし、ユー口に移そうとは考えない。その点、中国は自分で判断して売り買いをする。しかも国家が一元的に管理する。

横目でそれを見て日本はどうするのか。それが国家戦略のシナリオを書くということたのだが、三つの路線が考えられる。

第一は、何があってもアメリカに付いていくという路線。アメリカがさらに締め付げを強くして、日本人のお金を搾り取ろうとしても二つ返事で従う。これも選択肢のひとつである。

二番目は、中国のすることに合わせていると儲かるから、ときどきは中国に付く。儲かることなら中国にでもアメリカにでも、どちらにでも付く。これは単に儲けを追求する路線である。

三番目は、日本も国家戦略として、軍事力を強化し自らの国益を追求する。中国と歩調を揃えて、両国の外貨準備を合わせた一兆五〇〇〇億ドルでアメリカを揺さぶると、アメリカの一国支配は揺らぐ。

アメリカへの追随をやめれぱ、日本はもっと繁栄する。日本の商習慣がグローバル.スタンダードとなり、それぞれの国が共存しうる永続的な経済発展が実現するはずだ。ただ、このときに不可欠なのが「軍事力」である。端的に述べると、原子爆弾とミサイル、その他の新兵器があるかどうかだ。フランスは今まで、アメリカのドル高.ドル安政策に低抗したことがあるが、これは曲がりなりにも原爆を持つているからできることだった。

軍事力を考えない官僚や経済学者の意見など聞いても仕方がない。条件を限定し、数式を整え・変数をいじるだけでわかったような顔をする黒板の上の経済学は、国家戦略のシナリオを書くには役に立たない。

◆日本が軍事カを持つ意味

私は日本も原子爆弾とミサイルを持ったほうがいいと主張してきた。この一年、大きなチャンスがあった。北朝鮮を巡る各国の思惑の中で、日本の核武装を考慮する動きがアメリカに出てきた。日本は悪用しないという信用があるからで、日本も悪用する気はない。.

軍事力がないという理由で、付け込まれるのなら「原爆を保有します」という態度を見せたほうがいい。日本にはそれだげの技術力も、経済力もあるのだから、「意思」を見せるだげで効果、がある。

原子爆弾を持ち、憲法九条を改正して自衛隊を軍隊にして、なんなら徴兵制まで整えれば、日本人の気持ちが変わる。国内に対する効果が大きい。昼行灯のような武士が、座敷で寝ころんでいても、出かけるとき刀を腰に差すと姿勢から気持ちまでが変わる。家の中に床の間があって、そこに刀を置いておくと、家中が引き締まる。お客も無礼をしなくなる。つまり抑止力である。

肝心なのは、日本人が「無礼は許さん」という意思を持つことで、精神的に去勢されているから、とめどもなくしゃぶられる。ソビエト崩壊前モスクワ大学へ行くと「日本などしゃぶっても、踏み倒しても、何をしてもいいのだげれど日米安保があるから無茶ができない」と教授方が一言っていた。中国も同様である。

平和第一主義はよいが、非武装中立は実行できないし、アメリカ一辺倒ではアメリカからしゃぶられる。たしかに武力なしで友好親善が実現すれぱ理想である。だがこの理想の実現は、両方がよほど知的でなげれぱ成り立たない。こちらだげ道徳が高くて知的なのではダメで、相手も同じレベルであることが大前提となる。

「争ったら結局損だ」「着地点はこの辺にしておこう」という知性が両方にそなわっているか、という問題である。「日本人相手に一回は儲げられる」という程度の知性では、ときには一喝してやらないといけない。

残念ながら、世界はまだまだ成熟していないし、知性や道徳の低い国が多い。「やるとやきはやるぞ」という意思と実力を見せられるまで、どこで止めるべきかが自分ではわからない連中に取り巻かれているのが日本である。

「軍事力」と「道徳」には重要な接点がある。軍事力を行使するときは、まず道徳的によくよく手を打ってから使う必要があるのだ。ところが軍事力が優れていると、往々にして道徳のほうが手薄になる。必ず勝つのだから、どんなに躁躍しようがかまわないという粗雑な考えに陥りやすい。現代のアメリカのように、過度な軍事力は道徳の低下を招くのである。

本来は、必ず勝つなら、なおさら相手をよく手なずげるべきである。圧勝と懐柔のほかに「無力化」がある。今のアメリカは、それを指して民主化と言っているように思える。そう疑う力が、日本に必要である。(P207〜P211)


日下公人(著)「道徳という土なくして経済の花は咲かず」
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(私のコメント)
昨日の続きになりますが、中国の台頭を日本はアメリカに対する牽制として利用すべきだ。そのためには巧みな外交戦略が必要になりますが、日本の政治家には頭がなく、官僚には度胸がない。冷戦時代のソビエトも牽制勢力として使えたのでしょうが、共産主義国家でもあり、経済的、外交的共通点もなく、日本国内で共産党や社会党の存在が牽制になった程度だった。

ところが中国に対してはこれといった対立点もなく、ドルをめぐる通貨問題では共同歩調が取れる。中国の外貨4000億ドルと日本の外貨7000億ドルを合わせればアメリカに対する牽制にもなる。これが日本だけならアメリカは米国債やドルを紙くず同然にして踏み倒すことも出来る。しかし中国にはそうも行かないだろう。中国にはアメリカまで届くミサイルはあるし核弾頭もある。

日本の政治家や官僚はただひたすらアメリカサマサマで来たから、アメリカからどんな屈従的な要求にも従ってきた。日本はあたかも独立国家のような振りをしているが、軍事と外交に関する限り日本はいまだに独立国ではない。その点では権限を委譲されたイラクと大して変わらないのだ。

1980年頃まではアメリカにべったり付いていればそれなりのメリットがあった。しかし現在のアメリカは日本にとって危険要素であり、アメリカ追従外交は必ずしも利益にならないこともある。日本は太った豚でありアメリカにとっては収穫期なのだ。ならば中国とも手を組んでアメリカに対抗する戦略も考えていいのではないか。

中国には核があり長距離ミサイルもある。日本にはハイテク技術と経済力がある。この二つが組み合わせれば、アメリカにとって日本からあまり悪辣な手段で収奪することは、日本を中国側に追いやる結果になるだろう。台湾と日本が中国の勢力下に入れば西太平洋はアメリカにとって経済水域ではなくなる。アメリカにとっても中国の潜水艦が西海岸を脅かすことは望まないだろう。

当面はアメリカとの関係を重視しつつ、中国やEUとも関係を深めてアメリカべったりの外交と通商から、アメリカとも是々非々で外交が出来るようにすべきだろう。最終的には日本も核武装してアメリカにもものが言える国になるべきですが、親米ポチ保守派の政治家や官僚はますますアメリカに擦り寄る姿勢を強めている。

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