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(回答先: 社説:郵政民営化 雲行きがおかしくなってきた [毎日新聞]【国債本位制国家だからね】 投稿者 あっしら 日時 2004 年 4 月 09 日 04:15:22)
【記者:下土井京子】
4月9日(ブルームバーグ):発足から1年を迎えた日本郵政公社の生田正治総裁が、強気の姿勢で民営化後の郵政3事業の「ビジョン」を語り始めている。ユニバーサル(全国一律)サービスの維持を強調する総裁にとって、郵便窓口を利用した郵便貯金・簡易保険の存続は最重要課題。「郵便は当然として郵貯・簡保機能も大変重要だ」とし、3事業を一体で維持すべきとの考えを明確にしている。
ミニファミリーバンク
「ユニバーサルサービスは郵貯・簡保が前提だ」。6日、自民党本部で開かれた郵政事業改革に関する特命委員会(村井仁委員長)に出席した生田総裁は、郵便事業とともに金融事業を強化しているドイツポストの例を挙げながら、「ミニファミリーバンク」の必要性を訴えた。目指すは、地域住民の生活保障に焦点をあてた身近な小口金融サービスだ。
生田総裁はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「郵貯の平均(貯金額)は400万円を切るぐらい。生命保険も平均300万円台。身の回りのお金と万一の時のお金だ。地域住民に不便がないように、相談役も兼ねながらのコンサルティングセールスを1つのビジネスとして考えている」と述べ、金庫代わり、タンス預金代わりとしての郵貯・簡保の存在意義を語っている。
そのうえで、「地方改革が進み、地方自治体の出先機関が合理化されれば、行政手続きも手伝わなければならない。郵便局は地域住民の生活インフラのセーフティーネットになる」と郵便局窓口の重要性を強調。公社では、すでに既存の3事業に行政サービスなど多様な機能を盛り込んだ「ワンストップ・コンビニエンス・オフィス」構想を打ち出している。
公社は、手数料収入の拡大のため、国債販売体制の強化や低リスク・低リターンの郵便局型投資信託の窓口販売を検討している。しかし、生田総裁は、手数料収入は現在850億円程度で、上限3000億円程度にとどまるとの試算を提示。民営化後は貸し出しは行わず決済業務などに特化した「ナローバンク」を目指すべきだとの議論に対しては、コストを賄うことは到底できないと否定的な姿勢を明確にしている。
民業圧迫論に物申す
『定期付き終身保険』の販売、郵便局型投資信託の窓販検討??。公社が、業務拡大に踏み出すたびに銀行業界や生保業界から「民業圧迫」の指摘があがる。これに対し、生田総裁は「銀行の競争排除の論理に立てば、郵便局はない方がよいに決まっている。この際なくしておけば、少し自分の方に回ってくるかもしれないという生命保険の論理に立つなら、ない方がよい。一部の業界の利益のために国民の利便性を犠牲にするのはよくない」と反論する。
利率変動型が主流になるなか、今年1月に販売をスタートした簡保の新商品は、従来型。生田総裁は「新規契約のうち8割は他の簡保からの移行。本当の意味での競合関係にはない」と指摘、年間1000億円から650億円程度に激減していた新契約保険料の減少に何とか歯止めをかけた程度という。反発を強めている米国に対しても「米国の生保は第3分野の過半を制し、日本の売り上げ1、2位を占めている。何を対象に怒っておられるのか分からない」と辛らつだ。
今国会での関連法案提出が先送りとなった投資信託の窓販は、「個人の金融資産を資本・証券市場に生きたお金として流すべき」と、総裁就任以前から訴えていた持論だ。生田氏は「1兆円売っても200億円。200億円程度の利益を求めていない」としたうえで、「銀行は、自分の売り分が減るから反対と、一生懸命後ろ旗を立てているが、銀行は銀行で売ればよい。今売っているものに手を出すと言っているわけではない」と訴える。
切り札は国債
公社が目指しているのは郵貯・簡保の資金量の健全なスリム化と、それに合わせた人員削減などの効率化だ。公社は、郵貯の残高は02年度末の233.2兆円から公社化最終年度の06年度末には208兆円、13年度末にはさらに150兆円程度に縮小すると試算。簡保の運用残高も125.7兆円から、114兆円、90兆円に減少。 10年後には、郵貯・簡保の資金量が計約240兆円と3分の2になるとの見通しを示している。
現在、公社が保有している資金量353兆円のうち、国債や地方債、財投債も含めた公的部門に投入されているのは315兆円とほぼ9割。生田総裁は「国債の価格維持や急激な金利アップのインパクトを与えないよう考える必要がある。われわれの資金が国家の財政を維持していくという観点から、郵貯・簡保を急激に縮小させた方がよいのか、自然に任せたほうがよいのか、意見が分かれてくる」と述べ、縮小論にクギを刺した。
生田総裁が、国債を郵貯・簡保維持の「切り札」としてけん制しているのは明らか。対する財務省は、「国債をどう安定的に消化して市場を不測の混乱に陥らせないようにするかは大きな関心事」(谷垣禎一財務相)と、しながらも民営化後の青写真を描き切れていないのが現状だ。一方で、「現段階で郵貯・簡保が生き残るためには資金を国債運用に回すしかない。持ちつ持たれつの関係だ」と、冷ややかな声も多い。
公社の思惑通り
「ユニバーサルサービスとして、地方に行くほど維持を求められるのは一定額の貯金や生命保険だ。そのためには、郵便ネットワークや労働力も必要となってくる」。生田総裁がそう力説する背後には、膨大な資金量を誇る郵貯を柱に3事業一体でなければ民営化後の事業は成り立たず、雇用も維持できない、とする危機感が背後にある。
経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は、4月末にまとめる中間報告に、窓口ネットワークを利用した3事業のサービス提供や、民間とのイコールフッティング確保のための経営の自由度向上などを盛り込む。まさに公社の思惑通り。生田総裁は「非常に健全な議論。公社が進めているプランは将来、どのような組織形態になろうと絶対にいいこと」と、自信のほどを見せた。
6日の特命委員会で、生田総裁は「公社が進めている事業がもし間違っているというのであれば、整理をする必要がある」とも発言。「予想外に強気の姿勢だった」と出席者を驚かせた。また、07年度の民営化までに、国内外での投資自由化などの業務拡大のための日本郵政公社法の改正も要望。早速、竹中平蔵経済財政・金融担当相から、「大変良いこと」と支持を得た。
「小泉首相も竹中経財相も、生田総裁に大変気を遣っている。生田総裁が進めている経営方針を無視し、はしごを外してしまえば、たちまち民営化は立ち行かなくなる。中間報告はだれが取りまとめても現在の公社の在り方を肯定する内容にならざるを得ない」。そう話す政府関係者の1人は、組織形態や制度設計を除く根本的な民営化論議はすでに道半ばまで来たと分析している。
「郵政改革それぞれの言い分」のバックナンバーは以下の通り。(1)諮問会議・本間氏?国債は政治イシュー (3月19日)
更新日時 : 2004/04/09 07:43 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html