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郵政民営化の雲行きがおかしくなってきた。7日の経済財政諮問会議で了承された今月中にまとめる中間報告の素案では、10年程度の移行期間を経て、完全民営化後も郵便貯金、簡易生命保険は国債の安定消化の受け皿としか読めないからだ。
郵政改革の最大の狙いは、公的金融の肥大化による金融市場のゆがみを是正することである。素案でも、民営化の意義として、公的部門への資金流入の縮小が挙げられている。また、目指すべき方向として、郵政公社が保有する膨大な資金の民間金融システムへの円滑な統合も、盛り込まれている。その通りである。
そうであるならば、郵貯、簡保の機能に加えて、その規模も議論せざるを得ない。郵便局ネットワークの見直しも欠かせない。郵政事業本来の在り方からすれば、金融過疎地でのネットワーク維持は任務であろうが、都市部の特定局は思い切った改廃の検討が必要である。
ところが、諮問会議では窓口ネットワーク機能をすべての国民が利用可能な状態で維持することが前提となっている。国債の安定消化と合わせて読めば、民営化後もいまの郵便局網で安定的に資金を集め、国債の最大の引き受け手として機能することが期待されている。財務省や総務省から異論が出なかったのは当然のことだ。
日本郵政公社は民営化後、ネットワーク維持のため、新規事業への進出を積極的に行うだろう。ドイツの例にならい、郵便事業の総合物流事業に向けた買収や合併が想定されているのはそのためだ。
民間会社となれば、既存分野の業容拡大も課題となる。郵貯にしろ、簡保にしろ再肥大化しないという保証はない。しかも、財務省などにとって国債の安定消化の観点から、悪いことではない。
それでは改革でも何でもない。国債の受け皿が民営化されるだけである。金融事業の規模はいまからしっかり議論しておく必要がある。官業は民業の補完であることからすれば、郵貯、簡保は金融過疎地に限るなどの歯止めが欠かせない。ところが、中間報告は経営形態論などには触れない。民営化の最終的な姿も提示されない。
小泉純一郎首相にすれば、民営化法案を来年の通常国会に提出し、07年から民営化に取り掛かることで、改革はかくかくたる成果を上げたということになるのかもしれない。しかし、改革の理念や狙いが置き去りになるとすれば、何の意味があるだろうか。
10年程度という移行期間も合点がいかない。ドイツの郵政民営化の経験や、郵貯の主力商品である定額貯金の預け入れ期間が最長10年であることなどが、背景にあるのだろう。しかし、金融改革の一環でもあるのだからスピード感が必要だ。なぜ、もっと野心的なスケジュールを立てられないのか。
鳴り物入りで始まり、小泉首相が道路公団改革の100倍も重要だという郵政改革も、このままでは茶番に終わる。原点に立ち返る必要がある。
毎日新聞 2004年4月9日 0時42分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040409k0000m070148000c.html