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【記者:David DeRosa】
3月17日(ブルームバーグ):日本が円に関して混乱したメッセージを発している。そのメッセージが、外国為替市場の変動の大きな一因となっている。
谷垣禎一財務相が16日の国会答弁で、昨年来の為替市場での巨額な円売り・ドル買い介入について言及した発言は外為市場で大きなニュースとして受け取られた。同相は、「惰性でもっていつまでもやるとか、そんな考えは毛頭ない」とし、「やるときはやるし、必要がないときはやらない」と述べた。
この発言を受け、ドルは激しい売りを浴びて即座に1円余り下落したものの、市場関係者が、谷垣財務相はすぐにでも円売りをやめると実際に言ったのではないと分かると、ドルは買い戻された。
あるいはこうも言えるのかもしれない。市場はまず谷垣財務相の発言に反応したが、その後で同相が為替市場に関して行う発言はいつも実際には何ら重要ではないと理解し、ドルを買い戻し始めたと。トレーダーらやストラテジストらによると、谷垣財務相がこの発言を行った16日、日本の通貨当局は約10億ドル(約1080億円)相当の円売り・ドル買いを行ったという。
また、谷垣財務相は記者会見で、政策の方針に変更はなく「外為市場に急な動きがあったときは、しかるべき手段を取る」と語った。
谷垣さん、いったい何が日本の政策なのかを教えてほしい。われわれは日本の通貨当局が何をしようしているのか本当に知りたいと思っている。為替相場に関する日本の姿勢は世界で最も積極的で、その市場介入規模は驚異的だ。それでも日本がいったい何をしようとしているのかは明確ではない。これには、世界中の利害が関係している。日本は、為替市場への介入を通して何を望んでいるのかを正確にはっきりと示す必要がある。
輸出支援
最も単純な説明は、日本は輸出企業を擁護しており、日本製品が世界市場で割高とならないように円高阻止に動いているというものだ。こうした明らかに保護主義的な説明は、日本が直接には決して認めてこなかったものだ。貿易上の目的から市場を操作することは、日本が名目上は標榜している自由貿易の最も基本的な哲学とは正反対に位置するものだ。
もし日本が輸出を支えていると言えないなら、自国の通貨政策を弁護するために何が言えるのだろうか。谷垣財務相は、市場に投機的な動きや行き過ぎがあった場合、円売りを行うとしている。そうであれば、外為市場は投機が集中する大きな場所に違いないし、市場は投機家であふれており、日本の通貨当局は毎日24時間、市場に張り付いていなければならない。
奇妙にして不思議
為替市場で日本と同じ対応をしている国がほかにないのは奇妙なことではないだろうか。それに、世界で最も重要な2つの中央銀行である米連邦準備制度と欧州中央銀行(ECB)が、谷垣財務相が感じているように、ドルやユーロ、それに円に対する投機に対し警戒する必要性を共有していないというのも少なからず不思議なことではないだろうか。加えて、日本自身も円売りばかりで、決して円買いを行おうとしないのはどういうことだろう。
谷垣財務相の言葉を信じるためには、同相の暗黙の断定を受け入れる必要がある。つまり、同相が投機的な動きや行き過ぎとしていることのすべては一つの方向に向いている。それが意味するのは、円相場は人為的に上昇しているということだ。谷垣財務相の発言は理にかなっていない。世界はそのことを同相に訴える必要がある。(デービッド・デローサ)
(デービッド・デローザ氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:What Is Japan Really Saying About the Yen?: David DeRosa (抜粋)
更新日時 : 2004/03/18 13:05 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html