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藤井耕一郎(著)「NTTを殺したのは誰だ!」 --- アメリカの狙いはNTT潰しと光ファイバー潰しだ。(株式日記と経済展望)
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投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 3 月 17 日 17:57:38:Sn9PPGX/.xYlo
 

藤井耕一郎(著)「NTTを殺したのは誰だ!」 --- アメリカの狙いはNTT潰しと光ファイバー潰しだ。
2004年3月17日 水曜日


◆NTTは「犯罪者」である

2003年に入って、ヤフーBBの接続事業者・ソフトバンクBBが、ADSLのNTT杜内の接続工事を「自前でやらせろ」と、NTTに要求した事件があった。この事件は、日本政府に対するアメリカの要求と、ソフトバンク・グループによるNTTへの要求が、まさに歩調をそろえて行なわれてきた事実を示している。

事件は、NTT西日本に対して、総務省が「NTT西日本はソフトバンクBBとの協議に応じるように」と答申した報道で話題を呼んだ。ソフトバンク側は工事の短縮と費用節減になり、それは「消費者のためになるからだ」と主張した。しかしNTTは、自社設備に対して競争相手が「自前の工事」をするのは容認できないと、協議を拒否していた。

たしかにソフトバンクBBの行動は、これまでの日本のビジネスの慣例を一挙に覆すもので、ソフトバンクの孫正義杜長は「さすがは常識を打破する革命児だ」と評されたものだ。しかし実際は、アメリカ政府の要求を“切り込み隊長"として、いち早く実行に移そうとしたにすぎない。ただし、事なかれ役人の総本山である総務省は「自前の工事を認めよ」とNTTに命令したわけではない。あくまで「協議に応じなさい」と命じただけである。

これは、「紛争処理」を看板に掲げているわりに生ぬるい対応にも見えるが、もしもソフトバンク・グループが猛烈な勢いで「自前の工事」をやりはじめたら、ヤフーBB=BBフォンの“無料キャンペーン"で繰り広げられた強引な顧客の勧誘が、そのままNTT局舎内の「自前の工事」に直結しかねないからだ。総務省の紛争処理委員会が及び腰だったのも不思議はない。

それにしても、NTTとソフトバンクBBの「協議」が進展せずにずるずる先延ばしにされる事態になれば、アメリカ政府がすかさず援護射撃support shootingを始めるのは必至である。事実、2003年10月、アメリカの意を受けた公取は「独占・寡占規制の見直し」を発表している。これは刑事告発の積極化や課徴金の見直しで、さらなる開放策を示したものだ。もし正式に導入されたら、「消費者保護」を名目に、なんでもかんでも「違法」になってしまう。もはやNTTは犯罪者扱いなのである。

そしてこのなかで、「正当な理由のない施設利用の拒否」をNTTに禁止している。つまり、今後は、NTT局舎内で、競合する事業者が「自由に工事できる」ようになる。これではマンガだ。ちなみに、この「見直し」は《有用な施設・情報等の利用拒否等》も禁止している。《情報》がどこまでを指すのか不明だが、場合によっては、NTT加入者の個人情報がすべて競合社に流れる可能性さえあるのだ。ソフトバンクが個人情報を売却して“信義を破壊"したように、アメリカの意向を受けた公取もまた、率先して信義の破壊を行なおうとしているのである。

◆消費者金融にも口を出すアメリカ

ここまで、NTTに対するアメリカ政府の姿勢を具体的に見てきた。NTTの「ISDN」や「光ファイバー」に対しては、極力それを抑圧しようとし、反対にNTTのインフラを借り受けて行なうADSLなどに対レては徹底的な支援・援護射撃を行なってきた「戦略」がはっきりしてきたと思う。

そして、日本の「IT戦略」が、実際はアメリカの「戦略」にほかならない奇怪な“どんでん返し"の構図は、通信分野に限らず「IT分野」、全体に及んでいると考えなければならない。

なにやら話がジョージ・オーウェルGeorge Owellの小説『1984年』に出てくるキテレツなスローガン「戦争は平和である! 自由は屈従である! 無知は力である!」みたいな話になってくる。そこで、「日本はITの国際的なリーダーになるべきだ」という言葉を、いわば“裏返し'',にして読み替える必要が出てくるのだ。つまり、この言葉は「日本は国;際的なリーダーであるアメリカに従うべきだ」と解釈しなければならないのである。これでは、大学入試の英文解釈問題のほうが、よほど簡単.ではないか。

本書の冒頭で紹介した「e-Japan戦略U」についての歓迎の声明文に'も「日本はITにおけるリーダー」といった表現が登場する。しかし、これも裏返しの意味をもった``お為ごかし"であることはもう明白であろう。

アメリカが歓迎し支持した《日本が情報技術(IT)の国際的リーダーになるために取ってきた措置》は、結果として、IP化の進展による「通信業界の壊減的打撃」となり、「NTTの極端な収益減」を招き、通信企業が「“ハゲタカ"に売却される」事態を生み出し、それらが合わさって、「国際競争カランキング」で、かつては輝ける世界第1位だった日本が、2002年度では49カ国中30位に転落するはめになった。

49カ国中30位というのは、「真ん中より下」ということである。これで「リーダーを狙う」のは“いかがなものか"と考えるほうが真っ当なのではないか。アメリカはトップ・ランナーにある余裕で、けっして'シメシメとほくそ笑むような顔は見せず、“ほめ殺し"にも似た高度な戦術を駆使しながら、さらに追い討ちをかけるように、いまでは「消費者金融の分野にもITを導入せよ」などと迫っている。

IT分野に関するアメリカの要求事項はそうとうに事細かである。ふつうに考えれば、「なんで消費者金融のシステムにまでアメリカが口を出すのか」と不思議に思う人も多いだろう。これは、「ほのぼのレイク」のCMで知られるレイクが、すでにコー工一クレジットともどもアメリカの「GE(General Electric=ゼネラル・エレクトリック)」傘下に入っている現実を思い出していただければ、納得できるだろう。

◆最終目標はやはり光ファイバー化の阻止だった

それにしても、日本から見れば「ふと気がつくと」という感じだが、アメリカは官民あげて日本から技術的な「覇権」を“奪還"する戦略を検討していたのだから、これは疑いなく計画的な作戦operationである。

アメリカにおける「インターネット資本主義」イデオロギーの代表的論客と言える経済学者のジョージ・ギルダー氏George Gilderは、いまから10年前の本『テレビの消える日』(森泉淳訳、講談杜、1993)で、日本に奪われた覇権を「奪還する」ための最大の武器が、コンピュータ・ネットワークだと喝破している。この本は、「テレビ後の時代」にアメリカがいかに有利であるかを述べたものだ。「まえがき」には、

なによりも、政府の政策転換がいそがれる。アメリカはこれまでの戦略を見直し、テレビを離れて新しいテクノロジーの領域に踏みこむことで、技術レースにのぞむべきだろう。日本のまねをし、そのあとを追いかけるというレースをしていては、勝ち目はない。それよりも、アメリカ自身のシステム、アメリカ自身のテクノロジーがもつ創造性・将来性をあくまでも追求すべきだ。

とあって、日本に追い抜かれたアメリカは、「テレビ後の時代」をにらんで、高速通信ネットワークでトップの座を奪い返せと訴えている。そして、その際、なによりも重要な技術と位置づけられたのが「光ファイバー」だったのである。『テレビの消える日』は、「もっと光を!」と題した章で《新しいテクノロジーの領域》を追求するにあたり、鍵をにぎる光ファイバー技術でのアメリカの遅れを取り戻せと力説している。『テレビの消える日』はAT&Tの怠慢によりアメリカの光ファイバー化が遅れた点を批判しつつ、“敵''enemyである日本政府と企業に対して次のように述べる。

日本の政府は、デジタル・テレコミュニケーションに関して、三つの大々的な研究プロジェクトをおこし、あの名高い半導体プロジェクトにも勝るような努力を傾けていた。NTTは、2000年を目標に、全国の都市を日本製の光ファイバー、日本製のデジタル交換機で結ぶ計画を立てており、その目標を達成するため、NTTの機器の大部分を請け負っているNECは、ベル研究所で学んだ日本の科学者を採用して、オブトエレクトロニクスの分野で世界のトップに立とうと努めていた。

つい10年前までは、こんな「光ファイバーによる日本脅威論」が声高に唱えられていたわけだ。そして、いまから考えると、「なるほど」と思わされるのは、光ファイバーに関連して、NTTのISDNが各家庭や事務所を結んだ広帯域ネットワークになりそうだという危機感が表明されていたことである。

ギルダー氏の本は、たぶんアメリカ政府が「戦略」を立てる上で大いに参考にしたに違いない。NTTが《全国の都市を日本製の光ファイバー、日本製のデジタル交換機で結ぶ計画を立てて》いることに神経をとがらせている。こうした危機感が、アメリカによるその後の「NTT包囲網」戦略の原動力になっている。

では、その後の10年で、日米の競争はどうなったか? 言うまでもなく、総合力で、日本はアメリカにあっという間に追い抜かれた。ただし、それはあの手この手の「外圧」という足椥をはめられたからにほかならない。

旧電電公杜に対する資材調達開放要求から始まった外圧は、NTTに規制緩和を迫りつつ、それは日本にADSLを急速に普及させる役割を果たした。だが、それと同時に、NTTのISDN計画と、さらにはISDN技術と連動していた光ファイバー計画に見事なほどのブレーキをかけた。

ギルダー氏は、《日本のまねをし、そのあとを追いかけるというレースをしていては、勝ち目はない》と述べたが、たしかにアメリカ政府は日本のマネはしなかった。その代わりに取った手法が「日本にアメリカのまねをさせる」戦略だったことになる。だからこそ、ギルダー氏が一貫してだらしないと批判しているAT&Tが、日本のNTTのお手本にされているのである。

日本の衰退をもたらしたのは、こうしたアメリカの戦略を見抜けなかった日本の“甘さ"にあったのである。つくづく、私たちの上に存在する官僚と政治家politiciansの「賢者」ぶりが、身につまされる。戦争というものは、どんなにいい武器(技術)を持っていようと、司令部がアホだと負ける。かつて阪神タイガースの江本孟紀投手(現・国会議員)は、「ベンチがアホやから」という名言をはいたという。いまこの言葉を、NTT社員全員がはきたい心境にあるに違いない。(P182−P188)


藤井耕一郎 著 「NTTを殺したのは誰だ」

(私のコメント)
日本には日本人の顔をしたアメリカ人が、政界、官界、財界に跋扈している。日本のIT革命の旗頭のソフトバンクの孫正義氏もその一人だ。彼は日本のパソコンのOSを潰し、NTTのISDNを潰してきた。さらには光ファイバー網の建設も妨害している。あおぞら銀行を買収したのはいいが、途中でハゲタカ外資に転売している。さらにはヤフーBBにおいては個人情報をめぐる黒い事件まで起こした。

官界においては通産省が半導体産業を踏み潰してしまった。アメリカの外圧に屈したとも言えるのでしょうが、官僚に裏切り者がいなければ防げた事態だ。政界の小泉首相にいたっては、アメリカこそ日本を開放してくれた正義の味方と絶賛している。確かにアメリカの威光を笠に着ていれば権力を得るには手っ取り早いし楽だ。

官僚にしても中曽根内閣以降アメリカ留学組でないと出世出来なくなってしまった。気がつけば日本は丸ごとアメリカに取り囲まれ、にっちもさっちも行かなくなってしまった。その結果が日本はアメリカのために自国の利益を犠牲にしてまで尽くさなければならなくなっている。アメリカにはむかおうとすればスキャンダルを暴露されて社会から葬り去られる。

「NTTを殺したのは誰だ」と言う本も読んでみると、アメリカによるNTT包囲網が築かれ、着々と日本の電子産業や通信機産業が衰退化していくように仕組まれてきた様子が描かれている。目先的にはユーザーに対して利益になるように見えても、それは罠であり着実に日本の技術開発は力を失って来ている。

小泉首相の言う構造改革も、アメリカのために都合のよい日本に作り変えるための構造改革なのだ。アメリカはそれをグローバルスタンダードと言っているが、アメリカの真似をしていれば日本はアメリカの道連れとなり心中せざるを得なくなるだろう。著者の藤井耕一郎氏はアメリカの大停電を例にあげているが、市場原理主義を突き詰めてゆけばあのような結果を招くことになる。

いずれ日本でもアメリカで起きたような大停電が起きるのだろう。そしてアメリカが戦争をすれば日本もお付き合いで戦争に駆り出されるようになる。ヨーロッパ諸国はそのことに気付いているから通貨も防衛もアメリカ離れをして独自の道を歩むようになりましたが、日本だけはますますアメリカに取り込まれるようになってしまった。

アメリカはなぜそこまで日本の電子技術や通信技術に対する妨害工作に力を注ぐのだろうか。日本の技術が二流ならアメリカも無視するだろう。ところがアメリカを凌ぐまでになると国防族が騒ぎ出して、戦略として日本潰しにかかってくるのだ。日本の政治家達は呑気に構えていたから、ひとたまりも無く日本は弱体化した。

しかし日本が弱体化したところで、アメリカがより強力な国になったわけではなく、アメリカ経済は破綻の道へひた走っている。日本はそんなアメリカに無理心中をしかねない状況だからこそ警告を発しているのですが、ポチ小泉首相はそれに気付こうとしない。

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