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http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04102301.htm
04.10.23
各紙の報道によると、昨日から開かれていた日米協議で、今日午後、検査対象から除外する生後20ヵ月以下の牛のうち、米国政府が農場の記録簿に基づき正確な月齢を保証した牛の輸入を再開する方向を確認して終了した。早ければ、日本の新BSE対策が施行される来年春にも輸入が再開される可能性があるという。
今はマスコミ報道があるだけで、実際にどんな話があったのか分からないが、協議では日本側が全頭検査を見直して生後20ヵ月以下の若い牛ならBSE検査なしで輸入を認める方針を伝えた。米国側も21ヵ月以上の牛は検査して輸出することで一致、専ら牛の月齢の識別方法をめぐる議論が行なわれたということのようだ。つまり、生後20ヵ月以下の若い牛の輸入再開は確定、あとは月齢識別の仕方に関する技術的調整が行われただけということになる。
だが、ここにいたる前、誰がどこで、生後20ヵ月以下の若い牛の輸入を認めたのか。伝えられるとおりなら、日本側の交渉担当者(佐々江賢一郎外務省経済局長、中川 坦農林水産省消費・安全局長、外口 崇厚生労働省食品安全部長)が、自ら勝手に決定したことになる。そして、これを米国側に伝えたのならば、もはや決定は覆せないことにもなる。行政の勝手な判断でこんな決定がなぜできるのか。彼らに誰がこんな権限を与えたのか。こんな権限を与える権限は誰がもつのか。国民の生命にかかわるこのような決定は、本来ならば確立した法的手続に基づくべきものだ。このような法的手続が存在しない今、誰にもそんな権限はないはずだ。
日本政府はかねて、輸入再開には、米国側が日本と同等の安全措置を取ることが条件と言ってきたし、いまでもそう言っている。これも法的に確認されたものではない。だが、百歩譲り、これが誰もが認める原則として事実上定着しているとすれば、これを根拠とする決定は可能かもしれない。だが、それにより、輸入再開の条件が画定しているわけでもない。
協議が始まったに21日の定例記者会見で、厚生労働省事務次官は、「米国産牛肉の輸入再開の条件について、・・・具体的には1つは全ての月齢の牛から特定危険部位を除去するということ。それから21ヵ月以上の牛はBSE検査の対象とし、これを求めるということだろうと思います。併せて、・・・月齢の判別については客観的に証明が可能なものであることを求めている」と述べた。報じられたとおりならば、この中の「全ての月齢の牛から特定危険部位を除去するということ」は、まったく問題にならないままに、輸入再開の言質を与えたことになる。
日本と同等の措置の中身は確定していないとはいえ、このなかの最も基本的な要素に特定危険部位の除去が含まれていたということにはコンセンサスがあろう。そして、これについては、日本は全頭からの除去、米国は脳や脊髄などの中枢神経系特定危険部位の除去は30ヵ月以上の牛からしか除去しないという決定的違いがあることも知られた事実である。特定危険部位の除去方法についても検証されているわけではない。にもかかわらず、合意困難が予想されるこの問題を残したままで輸入再開を決めたとすれば、これは日本と同等という根拠さえも無視したことになる(追記:10月25日、その後米国農務省のホームページに掲載された「共同声明」によると、米国は全頭からの特定危険部位除去に合意した。合意の詳細は後刻伝える)。この決定には、何の合法性もない。
このようなことが起こるのは、日本がBSEリスク国からの牛肉輸入にかかわる確たる貿易ルール、法的に定めららたルールを持たないからだ。それは、行政の裁量に任されており、輸入許可の条件は「交渉」事項になってしまう。それは、交渉の成り行き次第で、あるいは政治的配慮でどうとも変わり、これに歯止めをかける手段がない。
米国に言質を与えてしまった今では、もはや手遅れだが(訴訟による取り消しはあるかもしれない)、今後のためにEUの法的に定められた貿易ルールを紹介しておこう。このようなルールが確立していれば、輸入再開条件をめぐる「交渉」の余地などありえない。
BSEにかかわるEUの牛及び生鮮牛肉等(骨付き、及び骨抜き)の輸入にかかわるルールは、「一定の伝達性海綿状脳症の予防・抑制・根絶のためのルールを定める01年5月22日の欧州議会及び理事会規則No.999/2001」(Regulation (EC) No 999/2001 of the European Parliament and of the Council of 22 May 2001 laying down rules for the prevention, control and eradication of certain transmissible spongiform encephalopathies)の付属書\に定められている。それは、5段階のBSEリスクレベルに応じた、それぞれの輸入条件を定める。今問題となる生鮮牛肉について言えば、BSEリスクレベルV(カテゴリー3)と評価された米国からの輸入条件は、次のとおりである(同・第C章のB)。念のために、原文も付す。
「カテゴリー3の国又は地域が原産の牛の生鮮肉(骨付き又は骨抜き)及び製品の輸入は、
(a)哺乳動物由来の蛋白質による反芻動物飼育が禁止されてきたこと、またこの禁止が有効に執行されてきたこと、
(b)共同体[欧州共同体のこと]に輸出される牛の生鮮肉及び製品が、付属書Xに述べられた特定危険部位、又は頭骨ないしは脊柱の骨から機械的に回収された肉を含まないか、それから派生したものではないこと、
を証明する国際保健証明書の提出を必要とする。」
(原文)Imports of fresh meat (on the bone or deboned) and products of bovine animal origin from countries or regions placed in category 3 are to be subject to the presentation of an international health certificate attesting that:
(a) the feeding of ruminants with proteins derived from mammals has been banned and the ban has been effectively enforced;
(b) the fresh meat and products of bovine animal origin intended for export to the Community do not contain or are not derived from specified risk material referred to in Annex V or mechanically recovered meat obtained from the bone of the head or vertebral column.
これは、言うまでもなく、EU域内と同等の条件を確保するためである。