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狂牛病と孤発型CJD
http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/348.html
投稿者 【公安情報ESPIO! 転載】 日時 2004 年 9 月 10 日 18:32:04:w8JWnsowmFTSM
 

●(((((((((((((((((((((( ESPIO! ))))))))))))))))))))))●
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■狂牛病と孤発型CJD          Vol.307 09/10/04
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●HP(登録・解除) http://www.emaga.com/info/xp010617.html


1.ジャネット・スカーベック
 9月7日放送の「ニュース23」が、米国のBSE(牛海綿状脳
症)検査体制に関する話題を取り上げた。

 http://homepage3.nifty.com/argus/n23cow.jpg

 レポーターはジャーナリストの神保哲生氏である。
 番組中紹介のあったジャネット・スカーベックという女性の活動
に興味を惹かれたので、ネット検索してみると、すでに7月6日に
田中宇氏が、次のような記事を掲載していたことを知った。

 http://tanakanews.com/e0706BSE.htm

 末尾で田中氏独特の陰謀論が展開されている点を除けば、手際よ
く公然情報が整理されているので、上記放送を見逃した方は、まず
この記事を読んでいただきたい・・・もしスカーベック女史が懸念
するとおりだとしたら、BSE由来の可能性がある海綿状脳症によ
る死亡者が、すでに米国で相当数発生していたことになるからであ
る(注:2.末尾を参照)。

 

2.CDCの見解
 CDC(米国厚生省疾病管理・予防センター)は、今年5月7日
付けの「疫学週報」記事で、次のように疑惑を否定している。

 http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm53e507a1.htm

 つまり、いずれもガーデン・ステート競馬場

 http://www.courierpostonline.com/video/race041401.htm
 http://www.mapquest.com/maps/map.adp?location=1jcxbKQI4lJMhPoCWZ07opweESIXfzCB9plQsgcTuWX3EMkxvAzUFKk7gbuGMt7szwYlJgSqNMCEou%2f4vEM1%2bcb9cJgiYtL4&address=Rte%2e%2070%20adjacent%20to%20the%20Garden%20State%20Racetrack&city=Cherry%20Hill&state=NJ&zipcode=&country=US

と接点があったとされる17名の死亡者のうち、3名はCJD(ク
ロイツフェルト・ヤコブ病)ではなく、3名は現在調査中。残り1
1名は「孤発型」のCJDであって、BSEと関連があるとされる
「変異型」ではない、というのである(孤発型=sporadicを田中氏
は「散発性」と訳している。両方の訳出例が見つかるが、ここでは
前者に統一した)。
 CDCは、当該期間中の競馬場利用者総数の推計と、米国におけ
る孤発型CJDの発症件数等から見ても、上記死亡者数は通常の推
計の範囲内であるとしている。
 たしかに、変異型と孤発型のCJDは異なっている。

 http://www.cdc.gov/ncidod/diseases/cjd/cjd_fact_sheet.htm

 これまでのところ、BSEと関連があると考えられているのは、
変異型に限られている(下記のファイル2頁目)。
 
 http://www.nsc.go.jp/anzen/chihou/10/kaneko.pdf

<参考>
 2003年12月現在、米国でも変異型CJDの患者1名が存在
する。ただし、英国の長期滞在者である。
 http://www.nsc.go.jp/anzen/chihou/10/kaneko.pdf
 (ファイル4頁目)

3.犠牲者は競馬場従業員
 しかし、なんとも奇妙な話ではないか。
 スカーベック女史は会計学の修士号を持っていて、税の研究につ
いて議会で証言までしている。その彼女は、「政府の計算は辻褄が
合わない」と指摘する。

 http://www.cbsnews.com/stories/2004/04/28/earlyshow/contributors/melindamurphy/main614154.shtml 
 
 「間近に競馬場で食事をしたニュージャージー出身の犠牲者5名
のうち、2名は競馬場従業員100名の中の2名で、3名はシーズ
ン・パス(定期券)所有者1000名の中の3名なんです。110
0名の中から1人のCJD(孤発型CJD)患者が出るのは、90
9年に1回ですよ(100万に1人の発生率)。」
 さらに上記記事の後段で指摘されているように、人間の孤発型C
JDによく似たBSEを、イタリアの研究者が報告している。

 http://www.forth.go.jp/hpro/bin/hb2141.cgi?key=20040219%2D0020
 http://www.cbsnews.com/stories/2004/03/16/health/main606515.shtml
 http://www.pnas.org/cgi/content/full/101/9/3065?maxtoshow=&HITS=10&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Salvatore+Monaco&searchid=1094701406701_8658&stored_search=&FIRSTINDEX=0

4.「牛の病気は人間にはうつらない」
 BSE問題を捉えにくい一つの理由は、たとえ異常プリオンを摂
取しても、それが蓄積されて活性化するまでに、相当な年数がかか
ると考えられているからだ。孤発型CJDの発症率は100万に1
人程度。変異型は今のところごくわずかしか見られない(2.末尾
参照)。発症率が低いのは、種の壁を越えてプリオンが活性化する
のが困難だからだ、という説もある。
 孤発型CJDの死亡者数が多少増減しても、2、3倍程度なら、
統計の範囲内ということにされてしまう。変異型のほうはさらに数
が少ない分だけ発見の衝撃は大きいが、たとえばイギリスに長期滞
在していたという経歴が見つかれば、原因と結果の連鎖は曖昧にな
る。即、国内問題になるというわけではないのである。
 『狂牛病』(岩波新書)

 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004307597/250-3857552-8161037

によれば、22歳で変異型CJDを発症した女性は、なんと11歳
の時から菜食主義者だったのだという(104ないし105頁)。
厳格な菜食主義者でも、知らない内に牛由来物質を摂取していた可
能性は十分に考えられると思うが、こうなってくると何が原因なの
か、ますます分からなくなる。
 したがって、死亡者全員が競馬場と接点を持っていたからと言っ
て、安直に原因を特定するのは、たしかに科学的ではない。しかし
同時に、データを完全に無視し、排除することも科学的だとは思え
ない。
 最初の狂牛病がイギリスで確認されたのは1986年。以来10
年間、科学者も行政官も、この牛の病気は人間にはうつらないと保
証し続けてきた。狂牛病が人間に感染する可能性があることを、イ
ギリス健康保健省の大臣が議会で認めたのは1996年3月のこと
である。ちなみに、異常な牛が発見されたのは1985年。一部の
研究者は「牛におけるスクレイピー」

 http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20030922press_2.htm

と早くも診断していたが、獣医学研究所の同意は得られなかった(
同書1ないし22頁)。
 10年間、感染の可能性が“科学的に”否定された現実には戦慄
を覚える。

5.孤発型CJDの件数
 ところで、もし人間の孤発型CJDもBSEと何らかの関係があ
ったり、あるいは別の病気と取り違えて誤診されたりしていれば、
前者の発生件数にも顕著な動きが認められるかもしれない。
 欧州各国の孤発型CJDの死亡者数は次のとおりである。

 http://www.eurocjd.ed.ac.uk/sporadic.htm

 このデータを見る限りでは何ともよく分からないが、たとえば次
のようなデータもある。


・「孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病による死亡人数 イングラ
ンドおよびウエールズ 1970−2002年」
 http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai8/prion8-sankousiryou3.pdf
 (ファイル12頁目)


 原因は定かでないし、様々な要因が考えられるにしても、長いス
パンで見ると、数自体は明らかに増加傾向にあると言わねばならな
い。
 それにしても、肝心のアメリカのデータがない。探してみたが、
まとまったものが見当たらない。まさかと思うが、ひょっとしたら
連邦政府としてはデータをとりまとめて公表していないのかもしれ
ない。
 
 http://www.prwatch.org/forum/showthread.php?t=4651

 掲げられているのは次のような数字である。

http://www.cdc.gov/ncidod/diseases/cjd/cjd_fact_sheet.htm
 the average annual death rates of CJD (not vCJD) have remained
relatively constant, ranging from 0.95 cases per 1 million in
1999-2001 to 1.14 cases per 1 million in 1995-1998

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm53e507a1.htm#fig1

6.50歳以上は3.4人
 この点、2.に掲げたCDCの記事では、

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm53e507a1.htm
 Based on an annual CJD rate of 3.4 cases per 1 million
persons (CDC, unpublished data, 2004) .....

とされている。
 事もなげに記されているが、驚かされるのは100万人中3.4
人という計算データである。この数字は、先のCDCデータと異な
るし、欧州各国と比べても明らかに大きい。
 
 http://www.eurocjd.ed.ac.uk/sporadic.htm

 変だと思って、注意深く読むと"Editorial Note"に次のように記
されている。

 This sporadic disease occurs worldwide at a rate of approximately
one case per 1 million population per year, although rates of up to
two cases per million are not unusual (4). Risk increases with age,
and in persons aged >50 years, the annual rate is approximately 3.4
cases per million.

 前半の「100万人に1人で、場合によっては2人にもなる」と
いうところは、まさにそのとおりになっているからいい。
 
 http://www.eurocjd.ed.ac.uk/sporadic.htm

 妙なのは後半部分で、年齢が上がると発症の危険も増えるので、
50歳以上では100万人に3.4人だというのである。
 孤発型CJDを発症するのは平均60才台だから、

 http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r7/Prion/Prion3.htm

高齢者に限れば発症率も上がるということなのだろう。何か引っ掛
かるが、とりあえず、この数字自体は正しいとしよう。
 わざわざ50歳以上という限定をつけているのは、今回の件でC
JDあるいはその可能性があるとされた患者がいずれも50歳以上
だったからに違いない。

 http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm53e507a1.htm
 (表1)

 つまり、簡単に言うと、50歳以上ではより高い率で発症するの
で、母集団の数がその分小さくても不自然ではない、と言わんとす
るもののようである。

7.疑問
 ・・・果たして、本当にそう言えるんだろうか。
 まず変なのは、ガーデン・ステート競馬場の利用者・関係者が全
員50歳以上だった、などということは考えられない点だ。当然の
ことながら、100万人中3.4人という数字で、掛け算、割り算
をして、数の多寡を論じることなどできない。50歳以上の利用者
の概数が把握されていなければ、こんな計算法はナンセンスだ。
 さらにおかしいのは、計算の目安とされている競馬場の利用者数
である。その記録によれば、1988年から1992年までの間で
410万人だという。1年当たりおよそ100万人。しかし、まさ
か競馬場が利用者のアイデンティティを逐一チェックしていたとは
考えられないから、これは明らかに「延べ人数」で、同一人が何度
もカウントされているものと考えられる。重複を除けば、グンと数
が減ることが容易に予想できるのである。
 スカーベック女史が指摘する、従業員や定期券保有者が患者に含
まれていることにCDCは触れていないが、それはひとまず措いた
としても、根拠データが大雑把で、とても推計の誤差を云々できる
ようなレベルとは考えられない。
 現在および過去のCJD発症者の中に、他にも多数、競馬場と接
点を持つ者が存在した蓋然性すら考えられるが、そういう点につい
ての調査結果も明らかではない。14名の発症者の住む各州に、当
時、他にもCJD発症者がいたかどうか、いたとして何人か、全体
として各州人口に占める割合はどの程度だったのか詳細は不明で、
わずかに"CJD death rate for New Jersey during the same period
was similar." と記されているばかりである(もしこれらが通常値
に近ければ、競馬場の出入りとは無関係である根拠として、積極的
にデータが呈示されているはずである)。
 以上のとおり、少なくとも発症率に関するCDCの指摘に、説得
力があるようには思われないのだ。
 もしガーデン・ステート競馬場とCJD死亡者の間に無視できな
い関連があって、これを合理的に説明できないのだとしたら、むし
ろ今までのCJDないしBSEに関する知見やパラダイムを再検討
し、更に調査を徹底させることこそが、科学的な態度ではないだろ
うか。

8.政治的な茶番
 そんな中、小泉首相とブッシュ米大統領が、年内にも米国産牛肉
の輸入を再開することで合意する可能性が出てきた。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040907-00000106-yom-pol

 まさに昨日、食品安全委員会が開かれたわけだが、

 http://www.fsc.go.jp/osirase/annai.html
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040909-00000111-yom-soci

同委員会の専門調査会は20か月齢以下の感染検出は困難とする報
告書をすでにまとめていた。

 http://www.fsc.go.jp/sonota/chukan_torimatome/bse-taisaku160907.pdf
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040906-00000214-yom-soci  
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040907-00000092-kyodo-bus_all

 結果的に、全頭検査体制に科学的根拠はないとする米国の方針に
沿う内容となっている。これまで日本は強硬に全頭検査を米国に要
求していたのであって、方針転換の背景には大統領選との関連を指
摘する向きもある。
 たしかに20か月齢以下の牛を摂食しても、異常プリオンを大量
に取り込む可能性は低いのかもしれないが、「感染の検出が困難で
あること」と「安全であること」は明らかに違う。
 何も問題もなかった牛が20か月齢を過ぎて、突如としてBSE
を発症するとは考え難い。「結果があるからには、原因がある」と
いう因果律を現代医学は大前提にしているわけだろうから、たとえ
現在は検査不可能でも、何か病気を進行ないし誘発させるような「
隠れた因子」があると仮定するほうが、よほど「科学的」だろう(
もっとも逆に言えば、たとえ検査をクリアしても、検査限界を下回
る異常プリオンが蓄積されている可能性もあるわけだから、絶対に
安全だとは断定できない)。
 実際、BSEの発症も、人間への感染も、その機構はよく分かっ
ていない。よく分からないはずなのに、なぜか自信ありげに安全の
太鼓判が捺されるのは実に不可解だ。科学の名の下に、政治的決着
が合理化される有様はほとんど茶番としか思えないが、茶番劇の舞
台で踊らされるのは我々である。「どう転んでも交通事故の年間死
亡者数を遥かに下回るのは間違いないから、犠牲が出て十分持ちこ
たえられる」とでもいう“科学的”計算が働いているのだろうか?

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■情報発信者/野田敬生(hironari noda)

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