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(回答先: 原発がどんなものか知ってほしい(7)この国は狂っている (JANJAN) 2005/01/07 投稿者 月読 日時 2005 年 1 月 07 日 20:59:52)
平井憲夫さんのお話――原発がどんなものか知ってほしい(4)私はいったい何人殺したのか 2005/01/04
●普通の職場環境とは全く違う
放射能というのは蓄積します。いくら微量でも10年なら10年分が蓄積します。これが怖いんです。日本の放射線管理というのは、年間50mmSV(ミリシーベルトを守ればいい、それを超えなければいいという姿勢です(注:01年4月から「5年間の平均が20mmSV、1年50mmSVを超えてはならない」に変更)。
例えば、定検工事ですと3カ月くらいかかりますから、それで割ると1日分が出ます。でも、放射線量が高いところですと、1日に5分から7分間しか作業が出来ないところもあります。しかし、それでは全く仕事になりませんから、3日分とか、1週間分をいっぺんに浴びせながら作業をさせるんです。これは、絶対にやってはいけない方法ですが、そうやって10分間なり20分間なりの作業ができるんです。そんなことをすると白血病とかガンになると知ってくれていると、まだいいのですが……。電力会社はこういうことはいっさい教えません。
稼動中の原発で、機械に付いている大きなネジが1本緩んだことがありました。動いている原発は放射能の量がものすごいですから、その1本のネジを締めるのに働く人30人を用意しました。一列に並んで ヨーイドンで7mくらい先にあるネジまで走って行きます。着いて、1、2、3と数えるくらいで、もうアラームメーターがビーッと鳴る。中には走って行って、「ネジを締めるスパナは、どこにあるんだ?」と叫んだだけで、もう終わりの人もいる。ネジをたった1山、2山、3山締めるだけで160人分、金額で400万円くらいかかりました。
なぜ、止めて修理しないのかと思われるでしょうが、それは原発を1日止めると、何億円もの損になりますから、電力会社は出来るだけ止めないんです。放射能というのは非常に危険なものですが、企業というものは、人の命よりもお金なんですよ。
●「絶対安全」と5時間の洗脳教育
原発など、放射能のある職場で働く人を放射線従事者といいます。日本の放射線従事者は今までに約27万人ですが、そのほとんどが原発作業者です。今も9万人くらいの人が原発で働いています。その人たちが年1回行われる原発の定検工事などを、毎日、毎日、被ばくしながら支えているんです。
原発で初めて働く作業者に対し、放射線管理教育を約5時間かけて行います。この教育の最大の目的は、不安の解消のためです。原発が危険だとはいっさい教えません。「国の被ばく線量で管理しているから、絶対大丈夫だ。安心して働きなさい」「世間で原発反対の人たちが、放射能でガンや白血病に冒されると言っているが、あれは『真っ赤な大ウソ』だ」「国が決めたことを守っていれば絶対に大丈夫だ」と洗脳します。
こういう「原発安全」の洗脳を、電力会社は地域の人にも行っています。有名人を呼んで講演会を開いたり、文化サークルで料理教室をしたり、カラー印刷の立派なチラシを新聞折り込みしたりして。だから、事故があって、ちょっと不安に思ったとしても、そういう安全宣伝にすぐに洗脳されてしまって、「原発がなくなったら、電気がなくなって困る」と思い込むようになるんです。
私自身が20年近く、現場の責任者として、働く人にオウムの麻原以上のマインド・コントロール、「洗脳教育」をやって来ました。何人殺したかわかりません。みなさんから現場で働く人は不安に思っていないのかとよく聞かれますが、放射能や被ばくが危険だとかはいっさい知らされていませんから、不安だとは大半の人は思っていません。体の具合が悪くなっても、それが原発のせいだとは全然考えもしないんです。作業者全員が毎日被ばくをするんですが、それをいかに本人や外部に知られないように処理するか、それが責任者の仕事です。本人や外部に被ばくの問題が漏れるようでは、現場責任者は失格なんです。これが原発の現場です。
私はこのような仕事を長くやっていて、毎日がいたたまれない日も多く、夜は酒の力をかり、酒量が日毎に増していきました。そうした自分自身に、問いかけることも多くなっていました。一体なんのために、誰のために、このようなウソの毎日を過ごさねばならないのかと。気がついたら、20年の原発労働で、私の体も被ばくでぼろぼろになっていました。
●だれが助けるのか
東京電力の福島原発で現場作業員がグラインダーで額(ひたい)を切って、大怪我をしたことがありました。血が吹き出ていて、一刻を争う大怪我でしたから、直ぐに救急車を呼んで運び出しました。ところが、その怪我人は放射能まみれだったんです。でも、電力会社もあわてていたので、防護服を脱がせたり、体を洗ったりする除洗をしなかった。救急隊員にも放射能汚染の知識が全くなかったんで、その怪我人は放射能の除洗をしないままに、病院に運ばれてしまったんです。
だから、その怪我人を触った救急隊員が汚染される、救急車も汚染される、医者も看護婦さんも、その看護婦さんが触った他の患者さんも汚染される、その患者さんが外へ出て、また汚染が広がるというふうに、町中がパニックになるほどの大変な事態になってしまいました。みんなが大怪我をして出血のひどい人を何とか助けたいと思って必死だっただけで、放射能は全く見えませんから、その人が放射能で汚染されていることなんか、だれも気が付かなかったんですよ。
1人でもこんなに大変なんです。それが仮に大事故が起きて大勢の住民が放射能で汚染された時、一体どうなるんでしょうか。想像できますか。人ごとではないんです。この国の人、みんなの問題です。
(編集部注: 「平井憲夫さんのお話−−原発がどんなものか知ってほしい」は、原子力発電所建設の現場監督に長く携わった故・平井憲夫さんの話を「PKO法『雑則』を広める会」の佐藤弓子さんたちが1995年5月にまとめたものです。したがって文中の「私」とは平井憲夫さんのことです)
http://www.janjan.jp/living/0501/0412292132/1.php
平井憲夫さんのお話――原発がどんなものか知ってほしい(1)作業員から検査官まですべて素人
http://www.janjan.jp/area/0501/0412292126/1.php?PHPSESSID=59ef1d182944bbc82b984859365419f8
平井憲夫さんのお話――原発がどんなものか知ってほしい(2)大地震が起これば配管は支えきれない
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平井憲夫さんのお話――原発がどんなものか知ってほしい(3)ガンの宣告を受けて
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平井憲夫さんのお話――原発がどんなものか知ってほしい(7)この国は狂っている
http://www.janjan.jp/living/0501/0412292140/1.php
事故と平井憲夫さんの遺言
http://www.janjan.jp/area/0412/0412292123/1.php?PHPSESSID=59ef1d182944bbc82b984859365419f8