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(回答先: 「東京原発」オフィシャルサイト 投稿者 なるほど 日時 2004 年 3 月 18 日 10:45:02)
低予算ながら、気合の入った力作エンタテイメント
原子力発電所の抱える問題を痛烈に批判した社会派エンタテイメント。広瀬隆著「東京に原発を」を映画化したような内容だ。社会問題に真っ向から挑み、それを見事な娯楽作品に仕上げたこのような作品は、最近の邦画では見たことがなく、高く評価したい。
原発問題をある程度知っている人が見れば「よくぞ言ってくれた!」と快哉を叫ぶだろう。もちろん、興味ない人にもぜひ見てほしいと思わせる力作だ。とくに大都市にすむ人がこれを見たら、案外ショックを受けるかもしれない。公開する劇場は少ないが、もし見れるのなら、見ておいて損のない一本といえる。
全編、極端なまでに原発反対の主張を貫き、推進派を徹底的におちょくり、こきおろす。このあたりは、マイケル・ムーアを思わせる。『東京原発』を見ると、どうせ社会問題をやるなら中途半端に中立の立場ではなく、これくらいはやってくれないと面白くないなぁと感じる。
『東京原発』は、その貧弱な予算規模から考えたら、相当よくできた映画だ。実にまっとうなエンタテイメントで、このような作品が邦画に現れたことはとても喜ばしい。1年以上前に完成していたこの作品は、公開劇場が見つからず、あやうくお蔵入りするところだったらしいが、テレビスター頼りのつまらないタイアップ映画や監督ひとりよがりのクソ映画ばかり公開していないで、こういうマトモな日本製エンタテイメントをもっと世に出すべきではないのかと私は言いたい。ユーザーは、邦画にもっとこういう骨太な作品を望んでいるのだと私は思っているのだが、いかがだろう。
『東京原発』の弱点は、前半の討論劇のところのデータ量が多すぎて、原発問題の初心者にはちょっとわかりにくかろうという点だ。後半の都市核廃棄物テロのあたりは、「こうしたことは起こりうる」という単純なたとえではなく、エピソード自体が「万が一」についての痛烈な皮肉となる構成になっており、とても巧い。
私自身は、反対派の極端な意見や政府推進側のお定まりのインチキ話を、直接何度も取材して聞いた経験があり、この問題についてはよく知っているほうだと思っているが、『東京原発』で訴えているのは、推進側がもっとも触れてほしくない(つまり、一般には知られたくない)部分だ。私の知る限り、この映画の監督が伝えようとしている部分を論破した推進派は一人もいない。ぜひご覧あれ。
http://movie.maeda-y.com/movie/00288.htm