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【一盗,二婢,三娼,四妻】
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投稿者 でんでん 日時 2004 年 6 月 24 日 15:50:29:2h9LgIXYOVcE2
 

(回答先: セックス談義 〔大告白大会に便乗して〕(笑) 投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2004 年 6 月 23 日 19:11:55)

人は、社会からの「規制」が強ければ強いほど、それを破る事に罪の意識が高まる。

〜世に云う「妻譲渡事件」。

登場人物は、文豪、「谷崎潤一郎」とその妻「千代」・・・そして、相手は、これも大詩人で作家でもある、「佐藤春夫」。

「悪魔主義」と称された華麗なる作風と生き様の谷崎と、かたき友情をむすんでいた佐藤。
度重なる 谷崎の千代に対する冷酷な仕打ちに、佐藤の「千代への同情」は、いつしか「強い愛情へ」と 変って行った。
その谷崎と佐藤は交際を絶ち、神経症に悩まされるようになった佐藤は、郷里の和歌山へと引っ込んでしまう。

この後 数年、二人は、この経緯を題材にした作品を発表し合い、激しく応酬する。
『 さんま苦いか塩っぱいか。』 と歌った、佐藤春夫の有名な「秋刀魚の歌」はこの時期の作品で、「千代に対する真情」が込められている。

 『秋刀魚の歌』  佐藤春夫
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あはれ 秋風よ
情あらば伝えてよ
 男ありて
今日の夕餉に ひとりさんまを食ひて 思いにふける と。

さんま、さんま。
そが上に青き蜜柑の酸をしたたらせて
さんまを食ふはその男のふる里のならひなり。
そのならひをあやしみなつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎて夕餉にむかひけむ。

あはれ、人に捨てられんとする人妻と
妻にそむかれたる男と食卓にむかへば、
愛うすき父を持ちし女の児は
小さき箸をあやつりなやみつつ
父ならぬ男にさんまの腸をくれむと言ふにあらずや。

あはれ 秋風よ
汝こそは見つらめ
世のつねならぬかの団欒を。
いかに 秋風よ
いとせめて
証せよ かの一ときの団欒夢に非ずと。

あはれ 秋風よ
情あらば伝えてよ、
夫を失はざりし妻と
父を失はざりし幼児とに伝えてよ
 男ありて
今日の夕餉に ひとり さんまを食ひて 涙をながす、と。

さんま、さんま、
さんま苦いか塩っぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あわれ
げにこそは問はまほしくをかし


禁断の果実、パンドラの匣・・・脳に汗をかくような、言葉ですら直ぐ反応し、惹かれてしまうおいらだな。


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