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(回答先: 日本のとるべき戦略 6 投稿者 岩住達郎 日時 2004 年 5 月 17 日 06:56:24)
8.現在の米国型民主主義の最大の誤りはそれが物欲最大化と結合している事にある。
日本人は戦後のアメリカによる洗脳教育の為に、米国型民主主義が唯一の民主主義であると思いこんでいる。民主主義には国民の民族性により色々な型があり、日本には日本型の民主主義を形成する必要がある事を先ず認識せねばならない。この日本型民主主義の形成には上記の日本固有の哲学が組み込まれるべきものであるが、その議論の前に米国型民主主義の欠陥について理解が必要である。(先ず他国の短所を研究せよ)
1980年代以降のアメリカ経済成長は借金を消費に使う事によって支えられて来た。本来、借金は投資に使いその利子以上の利益を上げる見込みが高い場合にのみ容認される。日本とアメリカが犯した最大の誤りは、日本人特有の曖昧で卑屈な態度から、アメリカの日本からの借金の使い道を厳しく監督しないで貸し続け、アメリカは其れを良いことに収入以上の贅沢をして消費してしまった事にある。この事態は現在でも是正されずに続行しているが、実は、このアメリカの浪費癖は米国型民主主義が原因なのである。
アメリカの政治家は選挙民に何らかの利益を約束し投票を要望する。選挙民の求める利益は庶民向けと企業向けで多岐にわたるが、最重要の課題は経済の成長による国民の生活水準の向上である。問題は、この生活水準をどの様に表現するかにある。生活水準を精神的満足感と物質的満足感の綜合とすると、精神的満足感は定量化が困難であるが物質的満足感はお金の単位で表現できるので容易である。従って、GDPとか生産性の増大が政治家の最大関心事となる。アメリカ経済の総責任者が大統領であり、日本の総理大臣と違って絶大な権力を持っている以上、国民の人気取りの為に無理をしてでも経済を拡大しようという強い動機が存在する。即ち、国民に必要以上の大量消費を奨励する事が大統領にとって最も簡単な支持獲得の解決策となり、その為税金を下げ、税収の不足分を外国から借りる結果となる。
大量消費は当然大量浪費に直結し、大量の資源とエネルギーが必要となり、物的資源の豊富なアメリカといえども不足分を外国から輸入せざるを得ない。従って、アメリカの政界で成功するには無理をしてでも国民に浪費を奨励し、良くないとは知りながら、輸入に必要なお金は借金で賄ってその場を凌ごう、という結末になる。勿論、アメリカの知識人達は今の事態を続ければ悲惨な結末に終わることを知っているが、そうかと云って将来の悲劇を避ける為に国民に節約と耐乏生活を呼びかける政治家は、今のアメリカ型民主主義では、決して当選しない事も確かなのである。国民に苦痛に耐えてくれと訴える政治家が当選するのは世界中で日本だけの現象なのだ。その日本でさえも国民は政府に、少しでも政府から貰える物は貰えという賤しい根性から、もっと施しを要求し利権まみれで財政赤字を膨張させる様な政治家に投票する。こういう政治家の利権の為に国民の貯蓄を使ってはならない。
地球が有限の大きさであるから、当然資源と石化エネルギーも有限であり、アメリカの浪費を無限に続ける事は物理的に不可能である。現在の時点では未だ限界に達していないとは云え、世界人口の増加と生活水準の向上の為に、地球上の人類生存は物理的許容量の限界に近づいている事は明らかである。こういった世界事情にありながらアメリカが現在取っている政策は、アメリカ国民の民主主義を維持する為という大義名分で、外国からの資源と富の略奪を合理化し、他国の犠牲の下に繁栄を維持しようとしている。この政策がいかに他国民に取って残酷であってもアメリカに取って善であり、その出発点はアメリカ国民に民主主義を約束した事と、経済の無限拡大を目指した事にある。
アメリカの民主主義には世界の他国との共存共栄という概念は含まれていないのであるから、アメリカ憲法が改正され、アメリカは世界の他国との共存共栄をその国策とする、という明確な一節が挿入されない限りアメリカは外国侵略を止めないであろう。これは何もアメリカに限った事で無く、人類史上軍事力の優る国が常に行ってきた行動である。アメリカは自国の存続の為に世界中の資源を強制徴収をするのに軍事力を使うのは躊躇しない。アメリカ国民の「民主主義」を守るためには世界中で強盗を働くことは憲法違反では無いのである。
昔は地球資源の有限性が問題になった事は無かったが、現在は事情が違う。将来の世界平和の為に今できることは、国連決議でアメリカ憲法の改正を要求し、アメリカが拒否すれば、残りの世界が団結してアメリカに経済封鎖を宣言して完全な自給自足を強制するしかない。アメリカの広大な土地と資源があれば経済封鎖下にあっても国民は慎ましやかに暮らせる。アメリカ人自身も借金生活の悪癖を直し、世界中の人から嫌われるている事を自覚する良い機会になる。アメリカを経済封鎖して世界が不況に陥ることを怖れるべきでない。
(続く)