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政府は僕らの自作自演にしようとした [週刊現代]
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投稿者 なるほど 日時 2004 年 5 月 08 日 03:16:45:dfhdU2/i2Qkk2
 

(回答先: イラク人質事件:二人の会見内容について(辺境通信) 投稿者 エンセン 日時 2004 年 5 月 08 日 00:37:21)

件  名 : [資料] 「政府は僕らの自作自演にしようとした」/ インタビュー : 寺澤有より



警視庁出入り禁止記者が聞く
-- 警察庁外事課職員は名刺を渡さなかった (渡せないわな)
-- 警視庁は名前も肩書きも名乗らなかった (あっちょんぶりけ)


以下, 週刊『現代』vol.46(No.20) 2004/05/22 新緑特大号 pp.40-44
講談社 \333+税 発売 05/07 より


単独インタビュー 今井紀明 18歳 異常なバッシングへ ★大反論★
「政府は僕らの自作自演にしようとした」/ インタビュー: 寺澤有


[リード] 「パソコンを開いたら, 届いたメールが6000通ですよ. 誹謗中傷も, もちろんありました」 イラクの現実を広く伝えようとした今井紀明さんの行動は, いつからか罵声を浴びる対象となった. 世論形成の作為を目の当りにした今井さんの本音に旧知のジャーナリストが迫った --.

[リード] ● 取り調べた警察が「自作自演」を誘導, その情報を流した ● 日本政府は国際的な評価を落とした ● 僕らは帰りの航空券を持っていた. それを使いたかった ● NGOの活動を奨励していたのは政府. それを「自己責任」と言って責めるのはおかしい ● 家族に関する報道には呆れた

■ 「日本人は良くない」

あれは, 武装グループから解放される直前でした. 彼らとイラクの和平について, 少しの英語と身ぶり手振りで話し合ったんです. 武器を取って戦わないやり方で, イラクは平和にならないのかって. 僕たちは拘束されている立場なのに大激論になりました. でも最後に彼らは

「別の道を探したい」

そう言いました.

解放後バグダッドで日本の警察から事情聴取を受けたとき拘束した犯人をどう思うか聞かれたんです.

「できれば彼らを捕まえてほしくないです」

僕はたしかにそう答えました. はっきり覚えています.

警察の人からは

「ストックホルム症候群 (監禁状態にある被害者が加害者に必要以上の親近感を覚える心理状態) じゃないか」

と言われましたが警察の人にその気持ちをうまく説明できませんでした.

> 今も鮮明に覚えている. 4月8日今井紀明クン(18歳)ら日本人3人がイラクで人質にされたという第一報に私はたいへん驚かされた.

> 今井クンとの交流は, 昨年 6月, 記者クラブ制度を批判した私の記事を読んだ彼が「高校生で市民新聞の記者をやっている者です」とメールを送ってきたところから始まった. 8月に『ビジネスとジャーナリズム』という卒業論文を書くために私に話を聞きたいと言って上京してきた.

> 今井クンともう一人の人質だった郡山総一郎さんは 4月30日, 記者会見を行ったが今井クンは体調不良のため途中退席した. 一人歩きした「自己責任」「自作自演」といった異常とも言えるバッシングへの彼の率直な思いは語られなかったと感じた.

> 「物事は自分の目で見るまで確かめられない」 --.

> 昨年夏に上京した際ジャーナリスト志望だった今井クンはそう言った. イラクで拘束され 9日目に解放されて帰国した今井クンが見て確かめたものは何だったのだろうか. 私はあらためて聞いてみた --.

武装グループに拘束されている間, 自分達が「人質」となって「自衛隊撤退」の取引に使われていたなんて, 全然知りませんでした. それを知ったのは, 帰国してからです.

拘束 8日目に民兵がテレビでアルジャジーラを見せてくれたんですがそこに僕たちの家族が映っていました. 彼らが僕たちを指して,

「Famous People (有名人)」

と言ったので初めて自分たちのことが騒ぎになっていることを知ったくらいです. それまではてっきり「行方不明」ぐらいに報じられているものと思っていました.

今でも僕は「人質事件」というより「拘束事件」だと思っています. イラクでは拘束事件が日常的に起こっているんです. 米軍によってイラク人が何人も捕まっています. それも1ヶ月や2ヶ月もの間, 僕らよりひどい状態で拘束されている. 彼らの家族は僕らの家族が味わったような思いをしているんだということ, そしてその事態に日本が手を貸しているということを, 多くの人に知ってもらいたいと思います.

僕がイラク行きを決めたのは今年3月です. (ともに拘束された) 高遠菜穂子さんが, ストリート・チルドレンの救済活動をするために, 一緒に行くことになっていましたから安心感がありました. 昼飯を抜いて節約したり駐車場管理のアルバイトをしたり劣化ウラン弾についての講演会を開いたりしてカネを貯めて航空券を買ってしまってから親に話したんです. 父さんはマジにキレて,

「どうしてお前が行く必要があるんだ」

って. 母さんは,

「いずれジャーナリストとしてどこかへ行くんでしょ. 遅かれ早かれ, 危険なんだから, 今から経験してもいいんじゃない」

と分かってくれました.

4月5日, モスクワ経由のアエロフロート・ロシア航空で (ヨルダンの首都) アンマンに着きました. 高遠さんが

「(アンマンからバグダッドへ向かう高速道路上の) ファルージャが戦闘で封鎖されているかもしれない」

と言いました. 僕らはその日バグダッド行きをやめてインターネットカフェで情報収集をしました。現地のホテルで聞き込みもしたんですが, そのときに郡山さんと会って一緒にバグダッドに行くことにしました.

ファルージャの手前で高速道を降り一般道を迂回してバグダッドに向かうことにしてタクシーを手配しました. 4月6日の午後10時過ぎにアンマンを出発しました. 翌 7日の午前11時ごろ, 高速を降りて一般道のガソリンスタンドに向かった時のことです. 給油待ちの車の列に並んでいると, 少年がやってきて,

「何人 (なにじん) だ」

と尋ねたんです. 運転手が,

「(乗客は) 日本人だが, なぜ」

と聞き返すと, 少年は走り去りました. その10分後です. AK47(突撃銃)や RPG (携行ロケットランチャー) で武装した民兵十数名がタクシーを取り囲んだんです.

運転手は民兵たちの頬にキスをしたりしてなだめているようでしたが, 周囲には民間人も集まってきて,

「日本人は良くない」

といった内容の言葉を叫びながらクビを切る仕草を繰り返していました. 銃口を突きつけられて放心状態でどうしていいか分かりませんでした.

■ どこが自作自演なのか

目隠しをして運ばれ降ろされたのは 10〜12畳ぐらいの部屋でした. 「General (司令官の意)」と呼ばれる英語を話す人物が,

「Are you spies? (お前らはスパイか?)」

と尋ねてきたので高遠さんが僕たちがスパイではなくイラク人のために活動していることを必死に説明しました. ジェネラルはようやく,

「Sorry (すまない)」

を繰り返し命は保障するという意味のことを言いました. 大皿で食事が運ばれ民兵たちと食事しました.

僕たちの拘束中のビデオ映像が事件の「自作自演」説の根拠になっているんですよね ? 撮影が行われたのは食事が終ったときのことです. ビデオカメラを持った男が部屋に入ってきてジェネラルらが僕たちを横一列に並ばせました. それまで笑顔さえ見せていた民兵たちがもの凄い剣幕で怒鳴り始め僕たちを小突いたり足蹴にしたりし始めたんです.

僕の喉元には銃剣が突きつけられ民兵が「No xx」と復唱するように迫ってきたんですが, 言葉がなかなか聞き取れないんです. 本当に怖かった. 怖すぎて萎縮してしまい, 叫び声を上げたり, 涙を流したりすることもできなかった. 民兵たちにはそれが不満だったらしく, いったん撮影を中断し仲間内で相談してから, ますます激しく僕たちを脅しました. その時, 僕はようやくの思いで,

「No Koizumi」

と呻き声を上げ, 高遠さんは泣き出しました. 撮影後, ジェネラルが寄ってきて, 「Sorry」と謝りました. 高遠さんは泣き続けていました.

これが, なぜ「自作自演」ということになるんですか. あの状況で演技ができる人がいたら, 教えて下さい. 撮影前, ジェネラルが高遠さんに,

「泣いてほしい」

と言っていたことを僕は拘束3日後ぐらいに知りました. その高遠さんにしても,

「『泣いてほしい』と言われた意味がわからなかった. いきなり, ビデオ撮影が始まって, 何も考えられなかった」

と話していました.

辛かったのはジェネラルらが何度も解放すると約束してくれるのですが, そのたびに約束が破られるんです. それが精神的にきつかった. 拘束中, 僕は体調を崩して寝込んだんですが, 彼らは一日5回のお祈りとは別に, 僕のために祈ってくれたこともありました.

拘束8日目に, 武装グループと和平について議論したんですが僕たちの精神状態もギリギリでした. いま思うと, すごいんですが, 僕たちは人質なのに, 武装による解決を目指す彼らに向かって高遠さんは「Fuck You!」とか「I wanna kill you !」とかケンカ腰なんですよ. 彼らは圧倒されて黙っていました.

解放された後, バグダッドの日本大使館に行きました. 特別大使という人が来て, 大使館の裏にあるアパートで休むよう言われました. アパートで1時間ほど休んでいると, 大使館の人が,

「警察の人が事情聴取をしますから来てください」

と, 再び大使館に呼ばれました. 事情聴取を行った人は, 警察庁外事課の職員だと名乗りました. 名刺は「後で渡す」と言われましたが, 結局もらえませんでした.

聞かれたことは, 拘束されたときの状況, 犯人グループの靴, 服, 部屋の概要, ……. しかし, いま思うと, この人は僕から「自作自演」を裏づける証言を誘導しようとしていたのかもしれません. 僕がビデオ撮影の件を説明する前に,

「日本では『自作自演説』みたいなものがながれているんですよ」

という言い方をしたと思います.

「あれは演技じゃなかったのか ?」

と, ここまではっきり聞いたかどうかはたしかではないんですが, 僕が

「あんな状況で演技できるはずないじゃないですか」

って食ってかかったことを覚えています. また, こうも聞かれました.

「犯人グループから声明文が出されたんだけれど, 持っていないの」

声明文も僕たちの「自作自演」だとでも言うんでしょうか. そんなもの持っているわけないじゃないですか.

■ 「帰国の旅費は税金」について

僕たち3人は空路は別々ですがアンマンからの航空券を持っていました. それで帰りたかったので, そうお願いしたんですが, 日本政府が用意したアラブ首長国連邦のドバイ経由で帰国することと, ドバイの病院で診察を受けるよう指示されました. 結果的に報道陣から守ってくれた点で外務省には感謝しています. でも, 帰国の旅費が税金から出ているから返せみたいな言われ方をされるんだったら, 航空券を持っていて自分たちはその方法で帰ろうとしたことを, せめて分かってほしいです.

ドバイのアメリカンホスピタルで治療を受けたんですが, PTSD (心的外傷後ストレス) と診断されました. 病院に警視庁の人が来て, 1時間聴取されました. 高遠さんは北海道警の人に聞かれていたみたいでした. 警視庁の人は, ものすごく高圧的だったことを覚えています. 名前も肩書きもいっさい教えてもらえませんでした.

警察の人たちは,「秘密は守る」と前置きして事情聴取したんです. なのに, 日本に帰ったら大手の新聞に「警視庁によると」というクレジットで, 「自作自演」とか「演技」とか書かれている. 要するにあらかじめ決まった筋書きで僕たちに質問して, その筋書きをマスコミに漏らして書かせたんでしょう. だから帰国後の記者会見で, ビデオを撮られた経緯を説明したのに, 翌日に『ビデオ演出認める』と一面に書かれてしまう.

日本で自分たちがどうやって報じられているのかを, なんとなく知ることになったのは, ドバイに来た兄貴 (洋介さん) から,

「大変なことになっているぞ. とにかくよっぽど低姿勢にしてなきゃダメだ」「とにかく謝れ」

としきりに言われたからです. さすがにいまは家族も「謝っちゃダメだ」に変わりましたけどね. 帰国して僕たちが新聞や雑誌で, どうやって報道されているかを見て唖然としました. 怒りを抑える余裕もないし, とにかく「何だ, これは」という感じです.

共産党のレッテルは貼られるは「自己責任」だと責められるわで, とにかく僕はそんな存在なんだな, と認識するのが精一杯でした. どうやって反論していいか分からないんです.

> 今井クンたちが解放されたことを知った私は, すぐにメールを打った.

> 「ともかく無事でよかった」

> 北海道の自宅に帰った今井クンからメールがあり,

> 「僕自身あまり動ける体調でもありません」

> と書かれていた. その後, 電話もあり,

> 「PTSDで手足が発疹だらけですし, 一日2〜3時間しか眠れません. 記者会見も止められています」

> そう話していた.

「自分は何のためにイラクに行ったんだろう」

それが分からなくなって, 信念や自信がなくなって体調もどんどん悪くなっていって …… . そして現実感覚がなくなりました. 夜は眠れず, メシを食べられない最悪の状態が続きました.

背中, 手, 足に発疹が広がりました. 足が動かないくらいに痛くなって, 最初は虫刺されだと医者に言われたんですが, 帰国後にどんどんひどくなって精神的なストレスが原因だと診断されました.

■ 「自己責任」という自己矛盾

「自己責任」という論調に対してはっきりいいたいことがあります. NGOの活動を元々奨励していたのは政府です. NGOの情報がなければ, 現地で何が起こっているか報告なんてできない. マスコミも同じです. フリージャーナリストがいなかったら, 日本の新聞やテレビは, 戦争報道なんてできやしない. そうした活動をしにイラクに行って拘束された僕たちに, これほど「自己責任」があると責められる筋合いがあるんでしょうか. 単純な理屈です. なのに, みんなこの問題を棚上げにして自己矛盾に陥っている.

日本政府は今回の対応で国際的な評価を落としたはずです. それは僕たちが言っているんじゃない. イラクの人たちが言っているんです. イラク人のための自衛隊派遣なんでしょ ? なのに, 当のイラク人たちが, こういう事件を起こす. 政府は, 自衛隊派遣によって事件を引き起こした責任をどう取るのかなっていう気持ちはあります.

現地対策本部がバグダッドではなくアンマンにあったことも腑に落ちませんでした. 命を懸けてイラク国内に入ることは自衛隊以外の人間にさせないということでしょう. 政府は情報収集をイラクの警察やヨルダンの情報機関に丸投げしたのだと思います. たしかに, 僕たちのために外務省の方が夜も寝ずに働いてくれたことに感謝していますが, 実のある情報収集ができたのかは疑問です.

> 今井クンは自分の体験を書き記したいと言った. 私が初めて会った頃の今井クンはジャーナリストになって劣化ウラン弾の被害をあまねく伝えたいという希望に燃えていた.

> しかし, 自分と自分の家族を傷つけたのは, 今井クンが目指すジャーナリストの世界だった. 事件の前と後で今井クンの心境に変化はあったのだろうか.

あの武装グループがテロリストとはどうしても思えないんです. ただ単に抵抗している人たち. 米兵がイラクからいなくなれば, 何事もない彼らの日常が始まる気がする.

拘束中にファルージャが空爆される音を聞いたんです. あの瞬間, 何百人ものイラク人が死んでるんですよ. あの, 現実を伝えたい気持ちはいまも持ち続けています.

---

ibid. p.180 本はともだち リレー読書日記

二宮清純 筋違いの"人質バッシング"と"小泉流延命術"のトリック (抄)

■ 両論併記の無責任

小泉流の延命術はきわめて単純だ. 苦境に立たされるときまって仮想敵をつくり, 自らは白馬にまたがった騎士を演じるのだ. 「抵抗勢力には屈しない」「テロには屈しない」 -- 見え透いたやり方だが、いまだにこのトリックに気づいていない国民がいる. いつかそのツケを支払わされるのは私たち自身だというのに ……

■家族と本人叩き/拍手喝采民主主義に囚われたら■
http://wave.prohosting.com/sars01/
Mirror site http://philo.t35.com/
「小泉の波立ち」≫ ニュースと感想
http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/main.htm
「ヒミツの大計画」元カキコを発見!
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/iraq/1082308313/

http://www.freeml.com/message/truce@freeml.com/0016646

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