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(回答先: 『カソリックの「二重構造」についての概要』へのレス(小魚骨さんへ) 投稿者 三四郎 日時 2004 年 6 月 21 日 12:06:18)
三四郎さん、どうもです。
興味深く刺激的なレスありがとうございます。
>遊牧・狩猟民は確かに獰猛で強いですが、例えばローマは農耕共同体が帝国へと発展
>したわけで、ガリア・ゲルマンなど狩猟民族を農耕民族の強さである「組織力」で逆
>に征服した歴史なので、必ずしも農民は負けっぱなしというわけではないと思います。
ローマに都市国家を形成した人々は、ギリシアと同じように、コーカサスから東欧にかけての領域を故地とする遊牧系のようです。(小アジア西海岸からローマに移住し征服した種族という説)
その後、古代ローマが自営農民の「組織力」で版図を拡大していったことは事実です。
(ギリシアを支配した遊牧民も定住農耕に移行しています)
農民が負けっぱなしという説を唱えているわけではありません。
元が「儒教的中華思想」を基礎に中国を支配し、清が儒教を尊重したように、遊牧・騎馬民が、定住農耕共同体の価値観を我がものとしていった事実もあります。
トルコ系遊牧・騎馬民も、本来親和性が高いとは言え異教であったイスラムに同化して支配を確立しました。
「“後進国”英国における「重商主義」と「資本の原始的蓄積」そして「近代資本主義」の確立」( http://www.asyura2.com/0403/dispute18/msg/278.html )で書いたように、勝ち負けや善悪ではなく、「これまでの世界史は、遊牧・騎馬民と農耕民の“交流史”」という見方がベースです。
(遊牧・騎馬民には先祖がそうである海洋国際商人(国際金融家)を含みます)
>現代ある諸問題のルーツが帝政時代に多く見当たるような気もします。(別の見方を
>すれば対応策が作りやすくなる。)
興味深い指摘だと思っていますので、「帝政時代」が何を指すのか、どのような諸問題がそれに多く見当たるのかフォローをしていただければ幸いです。
>海洋国際商人(国際金融家)に関しては以前も「カルタゴ→ヴェネツィア説」テーマ
>に質問したことありましたが、その時は非常に緻密かつ説得力のある論証をして頂き
>ました。
>それでも金融活動に当たって”海洋的”であるべき理由がいまいち良く分かりません。
>陸路でも商業・金融活動は出来ますし、海洋民族でなくとも資本活動は充分可能です。
海洋国際商人のみが国際金融家であるという見方ではありません。
ユダヤ人は、歴史的には陸上国際商人の色合いが濃いのですが、国際金融家として枢要な位置を占めています。
言えるのは、フェニキア・カルタゴ・ヴェネチア・アムステルダムという国際商人(国際金融家)の変遷史から海洋国際商人のほうが大きな貨幣的利益を上げていたであろうことです。(金融家が大きな力を持てる源泉は所有する貨幣量の大きさです)
鉄道も航空機もない時代においては、海上輸送を制することが国際商人の優劣を決めたと考えています。
(19世紀まではそう言える状況でした。海洋国際商人の有利さは、古代ローマにおいて、海上輸送のコストが陸上輸送の1/5とされていることからもわかります)
このような意味で、歴史的に海洋国際商人として代々商売をしてきたファミリーが国際金融家の頂点に立っているだろうと推測しています。
【三四郎さん】
「「新大陸」という言葉が出ましたので少々脱線させて頂きます。
「新大陸」から分捕ってきた金銀が、イスラムやモンゴルによってユーラシア大陸の隅に押し込められていた国々の世界的飛躍への原資となった歴史的事実がありますが、ここであることに思い当たります。
それなら欧州諸国の大航海時代・近代化・資本主義化・帝国主義化はすべて「偶然」なのではということです。
「新大陸」に豊富な銀山があり、高度に発達した先住者の文明が膨大な金を蓄積していたのだが、反面軍事的に完全に劣勢にあった(そうでなければ強奪出来ない)。という前提がなければヨーロッパの資本蓄積〜近代化および世界的植民地支配は不可能になっていた筈です。
金融力による世界の完全支配を画策して来たと思われる国際金融勢力は幾世紀にも渡る
高度で緻密な「大戦略」に基づく行動を行っていると思っていましたが、このように考えると、極めて偶然性の強い、いわば単なる幸運によって現在の力を獲得したということになりませんか?このあたりについての意見をぜひ伺いたいと思います。」
「新大陸」から国際的な貨幣である金銀を略奪できたのは「偶然」だとしても、近代化・資本主義化・帝国主義化は「偶然」ではないと考えています。
「新大陸」の金銀に依存しなくとも、国際商人(国際金融家)が貨幣的富を蓄積し、インドやアジアとの交易にいそしむようになったら、時期はもっと後だったとしても、近代化・資本主義化・帝国主義化に向かったと考えるからです。
「新大陸」の金銀をもっとも多く欧州に運び込んだスペインが、“消費”に使うだけで「近代化」につなげなかったことでわかるように、膨大な金銀が近代化・資本主義化・帝国主義化を生み出したわけではありません。
「新大陸」の金銀が世界史における近代化・資本主義化・帝国主義化を早めたとは言えると思っています。
>付け加えさせて頂くと、秦による中華帝国の確立も古代ペルシア帝国の影響があると
>思います。
その大きさは不明ですが、秦の統治思想にペルシアやインドの影響はあるだろうと思います。
(人々はけっこう昔から交流しており、広大とは言えユーラシアの東半分しかも中央部からやや南の範囲ですから、物質的精神的な交流があったはずです)
>(私の空想を付け加え)これらの宗教の歴史的経緯を簡単にまとめて見ました。(間
>違えていたら御指摘ください)
>シュメール・バビロニア→ミトラ・ゾロアスター+エジプト密儀→ユダヤ+プラトン学
>派→キリスト教(グノーシス含む)→近代フリーメーソン(特にキリスト教は各地の
>神話・信仰をイエス・マリア・聖人崇拝として"戦略的"に吸収、乗っ取り、版図を拡大。)
シュメールと古代アーリアの観念体系の関係性は見えていません。
シュメールは、メソポタミア土着のセム系でもアーリア系でもないようです。アーリア系に押されたイラン・アフガン・インドの先住民がメソポタミアにやってきてつくった農耕都市国家なのかもしれません。
新バビロニアが、「ペルシア+シュメール」で新しい観念体系を作ったことが、ユダヤ教・ミトラ教・キリスト教諸派を生み出していったという認識を持っています。
ユダヤ教に対するプラトン学派の影響は、中世になってからだと考えています。
エジプト密儀は、いちばん気になっていますが、その世界観や教義がほとんど見えません。(それがいちばん気になるわけでもあるのですが...(笑))
>ミトラ教聖職者とは世襲の血族であり、同じファミリーがカトリック上層部となった
>という可能性はあるでしょうか?
一部はあったでしょうが、支配権争奪戦に破れたほうのほとんどは、別のかたちで生き延びたと推測しています。
マミ教やボゴミールそしてグノーシスに移行した人は少なくなかったかもしれませんね。
>また密教の最上級司祭階級と、国際金融家の関係はどうなっているのでしょうか?
>同一の血族・勢力でしょうか?
カソリックは、教義の二重構造とそれを秘匿する秘密結社性がポイントだと思っていますので、「密教の最上級司祭階級」と「顕教の最上級司祭階級」に分かれているとは考えていません。
「最上級司祭階級」は、国際金融家の“知的執事”と言える存在だと思っています。
家業を継がない男子が「最上級司祭階級」になった例は少なくないだろうと推測しています。
【三四郎さん】
「「金儲けの為に宗教を利用する」「宗教目的達成の為、金融を手段として利用する」ではかなり違います。
このあたり小魚骨さんはどのようにお考えですか?
(個人的には「宗教目的達成の為、金融を手段として利用する」ほうが厄介だと思います。
ビジネスと割り切っている連中の方が多少は安心しますね。
もし「宇宙(世界)に関するより深い知識や魂が"純粋な"光として本来の居場所に還るための奥義を体得する」為に、金融力を駆使し、謀略・虐殺をもいとわず全世界に寄生し乗っ取ろうとしているのなら、なんとも始末に負えない困った連中です…。)」
宗教目的を価値観と置き換えると、「宗教目的達成の為、金融を手段として利用する」と言えますし、貨幣的富に神に次ぐ“力”を認識しているのなら、「金儲けの為に宗教を利用する」とも言えます。
ただ言えるのは、“彼ら”は、守銭奴や成金志向ではないということです。
秩序意識や支配の安定性などを考慮する「政治家」でもあるということは重要だと思っています。
(こちらから見れば寄生ですが、“彼ら”に言わせれば、正当で合理的な契約行為です。困ったことですが、“彼ら”ではない人たちまでがそう信じているようですから、一理はあるのかもしれません(笑))
>小魚骨さんから見て『新約聖書』における黙示録の存在意義・目的はどこにあるので
>しょう?
>(単に信者拡大〜支配の為、(どうにでもとれる)終末を強調していただけではとい
>う気もしますが…。)
黙示録は、人々を支配構造にとどめるための“脅迫”とそれを盾にした“救済説”だと思っています。
カソリックや米国の宗教右派は、啓示宗教というより、黙示宗教と言えるかもしれません(笑)
新約聖書に黙示録がなかったら、たんなる「奇蹟と道徳の書」になってしまうかも...(笑)