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(回答先: Re: 京都府船井郡の丹波町ほかの歴史---ここにも縄文人の足跡がありそう 投稿者 竹中半兵衛 日時 2004 年 3 月 10 日 23:51:40)
竹中半兵衛さん、始めまして。お気遣い頂き、有難うございます。
『悲の器』『邪宗門』の高橋和巳も、『ロビンソンの末裔』『輝ける闇』の開高健も、『千年の愉楽』『紀州 木の国・根の国物語』『熊野集』の中上健次も既に亡く、逆にあの時代を生き延びた作家には、インパクトのある作品が生まれなくなりました。
大変珍しいことに、三重大学工学部 物理工学科 量子工学 助教授 佐野和博氏(1957年生まれ)が、附属図書館ＨＰの「教官お勧め本：夏休みのための読書案内 2002年夏」という特集に、 "「暗い」小説の勧め" というタイトルで、同館所蔵の高橋和巳作品を３冊、推薦しています：
① 『悲の器』、② 『邪宗門』、③『憂鬱なる党派』
http://www.lib.mie-u.ac.jp/student/summer_reading2002.html
「暗い」ことが嫌われて久しい時代ですが、太宰治は『右大臣実朝』の中で、「平家ハ、アカルイ」「アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」と書いています。これは、源実朝が自分のおかれた環境の絶対絶命(将軍職を続けても引退しても何れ殺される)を知って、明るい歌を遺したという文脈で語られています。
余談ですが、高橋和巳作品で唯一映画化された『日本の悪霊』(黒木和雄 監督)には、能の観世栄夫や、暗黒舞踏の土方巽、フォーク・シンガーの岡林信康が出演しており、あの時代を偲ばせます。
私的には、『邪宗門』こそ、そのスケールとドラマチックな展開から、高橋作品中で最も映画向き(小説であるより)と思うのですが、最近は出版社さえ自粛！？している位なので、映画化は見込み薄です。
ところで、高橋和巳は生前、「日本でただ一人のジャイナ教徒」を、(冗談半分に)自称していたそうです。
http://www.ne.jp/asahi/arc/ind/jaina/8_pilgrim/pilgrim2.htm
インド独立に至る「非暴力不服従」運動で知られるマハトマ・ガンジーは、人間のみならず、生きとし生けるものを害しないという態度、特に、不殺生の戒律を遵守するジャイナ教の感化を受けて育ったといわれています。
ガンジーは、暴力でインド独立を勝ち取ろうとすると「インドを大規模に武装化しなくてはいけない。それはインドをヨーロッパ化することだ。」との世界認識に立っていたそうです。
[狭間直樹・長崎暢子『自立へ向かうアジア』（世界の歴史27）中央公論新社 1999年]
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。