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イラク統治評議会、連邦制盛り込んだ基本法を起草
2004 年 3 月 2 日
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【バグダッド=加藤賢治】イラク統治評議会は1日未明、6月末の主権回復から本格政権発足までの間、暫定憲法となる基本法の最終案を起草した。イラクを占領統治する連合国暫定当局(CPA)も合意した。3日午後に両者が調印する。
同法案は、正副大統領らによる集団指導体制や、中央と地方が権力を分け合う連邦制、男女平等などを盛り込んだ、アラブ世界では極めて民主的な内容。クルド人自治区の取り扱いなどをめぐる各派の対立から、2月28日の起草期限に間に合わなかったが、主権移譲を急ぎたい米国からの強い圧力もあって、難問を先送りして決着させた。これにより、民主化プロセスが加速化しよう。
読売新聞が入手した基本法案(全64条)によると、3権分立を明記。立法府となる国民議会(定数275)は直接選挙によって選出し、選挙を「可能なら年内に、遅くとも来年1月末までに実施する」とした。行政は、独裁の復活を防ぐため、議員の投票で選出される大統領1人と副大統領2人から成る「大統領府」が担うとされた。政体は「連邦制」とし、イラク北部の少数民族クルド人の自治区は維持する。
宗教勢力と世俗勢力が対立していたイスラム教の扱いについては、正式に「国教」と定める一方、「信仰の自由」を保障することでバランスを取った。
また、国民議会に「少なくとも約25%」の女性枠を与えることを目標にすると明記した。
国民議会は恒久憲法を来年8月15日までに起草し、2か月以内に国民投票を実施。国民が憲法を信任すれば来年12月15日までに選挙で本格的な議会を選び、来年末までに本格政権を発足させる。
ただ、今年6月末にCPAから主権の移譲される暫定政府をどう選ぶかについては、統治評議会とCPAがイラク国民や国連と協議し決定するとして、先送りした。
◆法案の概要◆
読売新聞が入手したイラク基本法案の概要は次の通り。
【基本諸原則】
▽国民議会選挙は2004年12月31日まで、遅くとも2005年1月31日までには行われる。
▽イラクの政治制度は、共和制、連邦制、民主主義、多元主義。クルド自治政府を正式に認める。
▽イスラム教は公式な国教で、法源の1つ。イスラム教の教義に反する法律は制定されない。
▽アラビア語とクルド語を2つの公用語とする。
【基本的権利】
▽国民は性別や党派、理念、信条、民族、宗教、門地の違いを問わず平等。表現の自由、集会や政党、結社の自由を保障する。
【移行政府】
▽選挙後に設立される移行政府は国会、大統領府、内閣、司法府で構成する。
▽CPAが制定した法や命令は、立法で廃止・修正されるまで全面的に有効。
▽移行政府の管轄外の民兵組織や武装組織は禁止。
▽CPAと統治評議会は、暫定政府への権限移譲と同時に機能を停止する。
【立法府】
▽定数は275。議員の少なくとも約25%を女性とすることが目標。
▽国会は、大統領府(大統領1人と副大統領2人)を選出。
▽バース党の元幹部、過去の抑圧機関の構成員、国民の弾圧に加わった者は、法的手続きによって免除されない限り、国会議員候補となることはできない。
【行政府】
▽国会は、議員の4分の3の賛成で大統領と副大統領を罷免できる。大統領府は、国民議会で可決した法案に対し拒否権を持つ。
▽大統領府は、首相を指名し、首相の推薦に基づき閣僚を指名する。首相と閣僚は、国民議会の過半数の賛成により承認される。
▽大統領府は国軍の最高司令官の役割を務める。
【地域、県、市、地区】
▽キルクークを含む係争地に関する解決は、恒久憲法が批准されるまで延期。
【移行期間】
▽国会は2005年8月15日までに恒久憲法起草を終え、10月15日までに国民投票を行う。
▽国民投票で恒久憲法が承認されれば、恒久政府を選出するための選挙を2005年12月15日までに実施する。