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マイケル・ムーアからジョージ・"わたしは戦時大統領だ!"・ブッシュへの公開状
2004年2月11日(「フリントでの偉大な坐り込みスト」67周年の日)
親愛なるミスター・ブッシュ
きのうはどうもありがとう。あなたが州軍で勤務した何日か分の給与記録(だかなんだか知らないけど)の読みにくいコピー、拝見しましたよ。これでわかりました。あなたは任務を全うしなかっただけじゃなく、やってもいない仕事で給料をもらってたんですね。その給料小切手は現金化したんですか? それって、えっと、法に反しません?
マスコミは真実を求めて、あなたの報道官をきびしく追及しましたね――嘘や、はぐらかしや、隠蔽は受け付けないという態度で――あれはなかなかの見ものでした。あなたが政権について以来、初めて見る光景じゃないでしょうか(記者会見の模様と質疑の筆記録は http://www.whitehouse.gov/news/releases/2004/02/20040210-3.html#1 に)。
きのう報道官がヒラつかせたあの紙切れなんか無意味だと、何人もの記者が指摘しました。あれが偽造文書でないとしても、給料をもらったからって、任務を果たしたとはかぎりませんからね。26歳の陸軍退役大佐ダン・スミスは、APの記者にこう話しています。
「給与記録が意味しているのは、その人が軍に在籍していたことだけです」とスミスはいった。「実際にどんな任務を果たしたかがわかるわけじゃありません。記録されているのは所属部隊と、給料や諸手当の額だけですから」
ブッシュさん、この問題はウヤムヤになりそうもないです――きのうの行動で、あなたは墓穴をさらに深くしただけだと思いますね。あなたはなぜこの問題がいつまでも尾を引くのか、不思議に思っていることでしょう。先月ぼくが「脱走兵」という言葉を口にして、ピーター・ジェニングズに噛みつかれたとき、あなたはそれでお終い、この話題はメイン州のガラ空きのハイウェイを飛ばす車から投げ捨てられたコカインの小袋みたいに、あっという間に消えてなくなると思ったんでしょう。
でも、あなたの「脱走」問題は消えなかった――その理由はこうです。あなたはこの11ヵ月間に、州軍に所属するぼくたちの息子たちや娘たちを死地に追いやった。イラクに大量破壊兵器があるだの、サダムとアルカイダが結託しているだのと大嘘をつき、兵士の親たちを含む国民を誤った判断に導いた。若者たちを終わりのない戦争に追いやることで、〈ハリバートン〉や石油関連会社が儲かるようにした。そして厚かましくも飛行服を着て、空母の甲板を大いばりで歩き、「戦闘終結」を宣言した――あなたの再選運動を請け負った広告代理店のカメラが回っているところで。
だからこそ、あなたの無許可離隊が卑劣きわまりないものに見え、戦死者の遺族が嫌悪のあまりあなたから顔をそむけたくなるんです。あなたの徴兵逃れが2000年大統領選であまり問題にならなかったのは、国が戦争をしていなかったからです。2004年のアメリカが死屍累々の泥沼にはまりこんでいるからこそ、あなたの軍歴をめぐる虚構とあの飛行服姿が、重大な問題になっているんです。
あなたはまだ州軍「勤務」をめぐる数々の疑問に答えていません。ここでもう一度、できるだけ簡単な表現で疑問点を列挙しておきます(以下はすべてAP通信と《ボストン・グローブ》紙の調査にもとづいています)。
1. あなたはどうやって500人の志願者を飛び越えて、テキサス州軍航空隊に入り、ベトナム行きを免れることができたんですか? あなたのお父さんは(当時、テキサス州選出の連邦下院議員でした)どこに電話をかけて、あなたを州軍に押しこんでくれたんです?
2. あなたは1972年7月に健康診断を受けそびれたあと、なぜ飛行任務をはずされて地上勤務を命じられたんですか? それとも診断は受けたけど、合格しなかったんですか? もしそうなら、なぜ合格しなかったんです? 尿検査のせいですか? 記録によれば、州軍は多額の費用を使ってあなたに飛行訓練を受けさせたのに、あなたはそれ以後、一度も州軍で飛ばなかった。なぜなんです?
3. テキサス州の州軍司令官が、あなたは出勤しなかったといっている時期、あなたと一緒に任務を遂行したと証明できる人を、ひとりでも出せますか? あなたはなぜ、アラバマ州の予備役部隊で一緒だったという人を連れてこれないんです? ただのひとりも名乗り出てこないのはどういうわけです?
4. あなたはアラバマの予備役部隊で勤務したといいますが、そこで何をしたかいえますか? あなたの任務はどういうものでした? 地上勤務になったそうですが、何をするよう命じられたんですか?
5. 毎週末、任地に出頭したときあなたが名前と勤務番号を書いたはずの署名登録簿は、どこにあるんですか? 〈CNN〉のエアロン・ブラウンは、予備役兵時代には出頭するたびに署名をしたといっていたし、ゲストの《ワシントン・ポスト》紙の記者も、そのとおり、「その記録の4つの写し」が複数の部署に保管されているはずだといいました。関係部署に記録を出してくれるよう頼んでみましたか?
6. 無許可離隊をしていたように見える時期、本当に給料をもらったのなら、税金の還付申請をしているはずですが、その記録の提出を国税庁に許可するつもりはありますか?
7. あなたはどうして名誉除隊ができたんです? どこにどう手を回したんです? 誰が誰に電話をかけたんですか?
ぼくはあなたに嫌な思いをさせて申し訳ないと思っていますよ。「将軍対脱走兵」の討論を見たいといったのは、ただの悪フザケでした。こんな騒ぎになるなんて思ってなかったんです。なのにあなたは、日曜日にトム・ラッサートから攻め立てられて、「わたしは戦時大統領だ!」なんて変なことを口走ってしまった。自分でそう信じたいか、ぼくたち国民に信じてもらいたいか、どっちかなんでしょうね。アメリカ国民は、戦争中に最高司令官を罷免したりしない。あなたはそこに希望をつないでいるんでしょう。あなたには戦争が必要というわけです。
でも、ぼくたちには必要ない。州軍兵士たちにも必要ない。信心深いあなたには未来の災いが見えるはずです。もう白状してしまったらどうですか? ぼくたちって寛大な国民ですよ。もうホワイトハウスに戻ってもらうわけにはいかないけど、ちょこっと真相を話してくれたら、ぼくたちは感謝しますよ。ぼくたちの質問に答えて、国民に謝罪して、若者たちを家に帰してください。
あなたの友
マイケル・ムーア
mmflint@aol.com
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