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【テヘラン小倉孝保】イラン国会(定数290)第7回総選挙は21日、開票が続けられた。国営イラン放送によると、同日夕までに確定した168議席のうち保守派が100議席以上を確保する一方、改革派は49議席にとどまり、保守派の圧勝が確実になった。一方、投票率は50%前後とみられ、前回(00年)より20ポイント近くも下落し、国民の政治離れに拍車をかけた形だ。
改革派政党「イラン・イスラム参加戦線(IIPF)」が内務省からの情報として発表したところでは、168議席のうち保守派110、独立系9、改革派49となっている。同党は最終的には保守派は200近い議席を獲得するとみている。
今回の選挙は保守派の護憲評議会が多くの改革派候補の立候補を認めなかったためIIPFが選挙をボイコット。改革派支持のジャーナリストや知識人も投票棄権を呼びかけたため、投票率に関心が集まった。
確定投票率は明らかになっていないが、ロイター通信によると、内務省の推定ではイラン全土で2000万〜2200万人が投票したとみられ、内務省発表の有権者数4630万人の43〜48%になりそうだ。前回の67%からは大幅に下がり、初めて50%を割る可能性も出ている。しかし、護憲評議会は有権者総数を4300万人としており、この場合、投票率は約50%となる。内務省によると、改革派支持者の多いテヘランの投票率はさらに低い30%弱とみられている。
4年ぶりに保守派優勢の国会が生まれるが、保守派の多くも、ハタミ大統領による改革には原則的には反対していないため、経済改革や国際協調路線は引き継がれるとみられる。しかし、改革のスピードが遅くなるのは確実だ。保守派がイスラム体制を脅かしかねないとみるメディアなどにこれまで以上に強硬な姿勢に出る可能性もある。
今回の選挙には8157人が立候補を申請。しかし、事前の資格審査で改革派現職議員約80人を含む2530人が立候補を認められなかった。 ◇国民取り込み失敗で不満拡大も
【テヘラン小倉孝保】イラン総選挙は21日の開票の結果、保守派の勝利が決定的になったが、投票率が前回を大きく下回り、改革を求める多数の国民を政治体制に取り込めなかったことがはっきりしたことで、保守派は大きな失敗をしたといえる。保守派の台頭で改革が止まるわけではないが、国民不在の政治の下、若者らが不満を高めることは確実だ。
投票率は50%前後とみられ、当初、予想されたよりやや高い数字だが、国民の多くが参加を拒否したことに変わりはない。また、「就職に不利になる」「治安当局ににらまれる」といった理由で投票した若者も相当数おり、積極的に政治参加した者はかなり低いとみられている。
イランではイスラム革命から18年後の97年、ハタミ大統領が登場、革命を知らない世代に圧倒的な支持を得た。同大統領の改革路線は、国民の3分の2ともいわれる25歳以下の革命後世代に政治参加意識を植え付け、若者たちは「自分たちの手で国が変えられる」と希望を膨らませた。
今回、保守派は改革派の立候補をことごとく拒否することで、こうした若者から選択肢を奪った。来年にはハタミ大統領の任期が切れ、国民は新しいリーダーを選ぶが、今回の選挙で国民の多くが政治に希望を持てない状況を作った保守派の罪は大きい。
保守派の中にも社会、経済改革の必要性を知っている者は多く、大統領による現在の改革がすぐに止まるわけではない。しかし、革命世代がイスラム体制維持を最優先とするのに対し、革命後世代の多くはイスラムにこだわることに違和感を感じており、保守派が主張する「イスラム内改革」には限界があるのが現実だ。
イランでは、若者を中心に頭脳流出が進むとともに、麻薬が深刻な社会問題となっている。いずれも夢を見いだせない若者の姿を反映したものだ。今回の選挙はこうした若者に訴える力を持たなかったことで、大きな課題を残したといえる。
[毎日新聞2月22日] ( 2004-02-22-01:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040222k0000m030025003c.html