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中東を取材していると自国の経済・軍事力を実際よりも過大視する指導者が多いことに驚かされる。メンツや誇りを重視する習慣に加え、まともな指標が作成されていないことなども理由の一つだろう。
しかし、リビアのシュクリ・ガネム首相は会見中、「リビアは小さな国だ」と10回近く繰り返した。首相は「自分は現実の徒」と語ったが、見えを捨て現実を直視すべきだとの姿勢がリビアを対米協調路線へ踏み切らせる要因の一つになった。国の誇りや指導者の虚栄で大量破壊兵器所持を夢見るよりも、「小さな国」を自覚し国民の生活向上を優先させることが得策と判断したようだ。
しかし、米パンナム機爆破事件(88年)に関しては、リビア人元情報局員が終身刑を受けたにもかかわらず、首相は「無罪を信じている」と語った。国民の多くも、「事件はリビア追い落としのため米国に仕組まれたもの」という認識を持っている。政府が遺族に補償金を支払いながらも、「無実だ」と言い張る矛盾は、国民にまともな情報を流してこなかったツケともいえる。
米国との関係改善に大きな障害はないとみられる。首相はそれをテコに国内の経済改革を志向している。しかし、経済改革は政治改革の動きを加速させる可能性があり、カダフィ大佐による長期の独裁体制にも影響を及ぼす可能性もある。
また、国民の意識が開放政策についていけていないのが現状だ。国民はすぐにも生活が向上すると期待するが、低い勤労意欲や責任の所在のはっきりしない官僚制など、長年の半閉鎖社会が生んだ弊害が残るのも現状だ。【トリポリで小倉孝保】
[毎日新聞1月31日] ( 2004-01-31-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20040131k0000m030124000c.html