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【バグダッド=鶴原徹也】昨年11月に米国主導の連合国暫定当局(CPA)とイラク統治評議会が同意したイラク主権移譲プロセスが、イスラム教シーア派最高権威、アリ・シスタニ師の反対で再び揺らいでいる。
同師が、5月末までに発足予定の暫定議会議員は、あくまで直接選挙で選出するべきだと主張し、大衆動員に乗り出したからだ。統治評議会の中では、主権移譲プロセスの見直し論も台頭してきた。
消息筋によると、同師は9日、南部サマワの部族長らに「直接選挙が実現しない場合、1920年革命(英国の委任統治に対するイラク人武装蜂起(ほうき)が再現されよう」と発言し、現行プロセス阻止のために“実力行使”を辞さない構えを示した。南部バスラで15日、同師支持者数万人の直接選挙要求デモが実施されたが、これは大衆動員第一弾と見られる。
アラブ首長国連邦の衛星テレビ「アル・アラビーヤ」が16日伝えたところによれば、同師は直接選挙実施に取り組もうとしない統治評議会を狙い撃ちにして、「統治評議会への協力拒否」のファトワ(宗教令)を近く発する方針を示した。
同師の反対を受け、パチャチ統治評議会議長は16日、「主権移譲時期の延期もあり得る」と述べた。
同師が脅しを加えてまで直接選挙実施に固執するのは、「民主主義実現」という表看板に加え、合意された選出方法では、暫定議員の大半が米国の意にかなう人選となるのではないかとの懸念がある。さらに、統治評議会に加わる政党の多くは反フセイン闘争を国外で展開し国内に根を下ろしていないため、早期直接選挙はイラク国民の6割を占めるシーア派の政党に有利になるとの読みもある。統治評議会に加わるシーア派のダアワ党は直接選挙実施へと方針転換した。
旧フセイン政権下で抑圧されたシーア派は、政権崩壊の最大の受益者といえ、そのため本来は価値観の相いれない米国に協力してきた。だが、ある西欧外交筋は「協力はあくまで暫定的」と指摘し、生活苦と治安悪化による不安定な情勢下で、影響力を強めるシーア派指導者が反米へとかじを切る危険性を示唆した。
(2004/1/17/00:33 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040116id22.htm