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(回答先: 憐れなる哉、日本!最も米国から遠くに位置しながら、最も米国にすり寄った国 投稿者 荷電粒子 日時 2004 年 1 月 21 日 03:17:30)
荷電粒子さん、こんばんわ。
米国の世界支配戦略とラテンアメリカ、そして日本やアジアに関連して、感じたことを少々書いてみます。
冷戦が終わり旧ソ連邦が崩壊したとき、社会主義経済理論は破綻し、旧連邦諸国と東欧は、次々と市場経済を導入しました。また多くが米国に接近し、ロシアは世界中の左派勢力への影響力を弱めました。
一方、冷戦に「勝った」米国の「米州連邦」は崩壊せず、米国の介入よる多くの政変を経て従属が強化され、ラテンアメリカ諸国には新自由主義的な経済構造調整プログラムが押し付けられました。
これは社会主義経済理論とは対極ですが、同じように発展途上国の経済的自立を妨げ、貧困問題も解消できない、はじめから破綻している経済理論でした − 米国とIMF、世界銀行が結託して仕組んだ一種の策略。
その「ワシントン・コンセンサス」の主な内容は、政府予算の削減、資本市場の自由化、為替市場の開放、関税の引き下げ、基幹産業の民営化、外国資本による国内優良企業の合併・買収の許可、政府の規制緩和、財産権の保護、という8項目からなっています。またこれらを実践するための政権交代と選挙誘導についても触れられています。
(参考:http://unikorea.parfait.ne.jp/031040/37d.html)
まさに米国とその国際金融資本に都合がよい、「ひとり勝ち」の世界支配戦略ですね。そしてこれを米国の「裏庭」といわれるラテンアメリカだけでなく世界中に広めようというのが、いわゆる「グローバリゼーション」であり、とくに韓国とタイは先のアジア経済危機でひどい目に遭いました(そして金を出させられた日本)。欧州に距離をおかれたアメリカがアジアに狙いをつけた結果でしょう。
軍事と経済の両面で世界支配を目論む米国は、「パートナーシップ」なんて望んでいません。目指すは世界の全地域を弱体化し、その上に君臨することです。世界にとって最大の脅威は「テロ」ではなく米国であり、世界中の国々はほとんどそう認識していると思います。
このような強大な米国(中身はスカスカ)とどう付き合ってゆけばよいのか?国力が乏しい国々は苦慮しています。しかし多くの国は苦しい財政ゆえ「国益」のために妥協することはあっても、ときには米国の身勝手な方針に異を唱え、歯向かう気概をもっているようです。まして米国に名指しで敵視された国々は悲劇です。長年にわたる経済制裁の末、侵略を受けるわけですからね。やむなく国防の充実を図り、侵略者に抵抗すれば「テロ」と言われる … 。
こうした「対テロ戦争」という米国のプロパガンダを、これほどまで政治家や主要メディアがそのまま連発する日本のような国も珍しいのではないでしょうか。米英のメディアさえ「ゲリラ」「自爆攻撃」「抗議者」「武装勢力」などという言葉を使い、「テロ」や「テロリスト」と慎重に区別することがもっと多い気がします(もちろん公式発表のコメントを引用する場合はそのままですが)。
イラク戦争に最後まで賛成しなかったカナダ、メキシコ、チリ。そして入国審査で指紋採取に対抗措置をとったブラジルなども、米国の単独暴走(イスラエル付き)はそうとう危険なレベルに達してていて、これ以上はヤバイと認識しているのでしょう。そのような現状認識がまったく無いのが日本政府であり、暴走機関車に乗せてもらって嬉々として石炭をくべる機関助士の役目を買って出ているかのようです。
こういう振舞いは日本自身だけでなく、世界にとって迷惑であり、「国際社会で信用と尊敬を勝ち取る」などという宣伝文句とは全く逆の結果にしかなり得ません。奴隷として一番になり、ご主人様に誉めてもらえばそれでいいという発想です。米国は経済政策で弱体化させた従順なポチ国家から金と軍隊を出させ、経済では屈服しない反骨国家を戦争によって潰すという、産軍複合体にとっては両方で儲かる「グローバリゼーション」を推進しているというわけでしょう。
「ワシントン・コンセンサス」はもう十年も前に出されたものですが、内容を見るとどうも小泉首相が日頃よく口にする経済政策と重なります。日本は発展途上国とは事情が違いますが、イラクへの自衛隊派遣にばかりに目がいってるうちに、日本自身がいつの間にか、米国によって経済、政治、メディアの面からじわじわと中枢を蝕まれてゆくような、一種別のタイプの侵略によって、ぼろぼろにされかねません。
これを回避するには、まともな人間が責任をもって指導者の地位に着けるような出世システム(笑)と、国際的連帯による米国の封じ込め(イラク戦争の開戦決議が通らなかったことは、画期的な成果だった)、そして米国の「グローバリゼーション」とは一線を隔したアジア地域経済圏の確立(徐々に安全保障面の対話も)、そして米国を介さないその他の地域との直接的な外交と経済交流を目指すこと。
もちろん急には無理かもしれませんが、米国と一定の関係を保ちながら、それに一辺倒ではなく、他の選択肢も拡げて行く、そういった舵取りが政治の役割であり、バランスのとれた戦略としての長期的なヴィジョンを持たなければ、将来的に行き詰まるのは必定。超大国である米国という危険な友人と上手く付き合いながら、近隣諸国との関係を調整してゆく。世界の多くの国々が今やっていることは、そういうことでしょう。