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(回答先: Re: てすとん2 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 7 月 22 日 22:48:54)
モスタルの石橋(1989年) モスタル石橋復元基金 |
1990年代前半。ムスリム人、クロアチア人、セルビア人が宗教、民族の壁を越えて共存していた理想国家、ボスニア・ヘルツェゴビナは、旧ユーゴの崩壊後、紛争の地と化し、欧州では第二次世界大戦後最悪ともいわれる20万人の死者と200万人の難民を出した。
1995年のデイトン和平条約により紛争は終息したが、人々の心には今もなお、深い傷が残る。
愛媛県松山市出身の青年、安井伸はそのボスニアに入り、現地の若者たちを対象に教育文化活動に取り組んだ。特に激戦地、モスタルでは、東西に分断され、互いに憎しみ合っていた若者たちの架け橋となった。伸の世界平和を願う心と行動は、多くの人々の心を動かした。しかし、1998年6月29日、伸は旅先で事故に遭い志半ばで突然、世を去った。26歳だった。
そんな安井伸が駆け抜けた26年の軌跡をまとめたのが本書である。時には迷いながらも信念を貫き通した行動、両親への手紙、積極的にアメリカの大学新聞などに発表したレポート。ボスニアの青少年と心を通わせた人間の姿がそこにある。
戦火の絶えることのない世の中だからこそ、多くの人に読んでほしい一冊である。
◇ 安井伸プロフィール
『モスタルの石橋−安井伸の軌跡』(2004年6月刊 愛媛新聞メディアセンター編)