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(回答先: Re: テスト 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 5 月 02 日 15:05:31)
緊急手記 拘束の3日間 安田純平 インタビュー絶えぬ戦火 世界どこへ 拘束中も「取材してやる」 自己責任でくくれぬ議論
5月2日【東京新聞】紙より
イラクで武装グループに拉致されたフリージャーナリスト安田純平さん(30)の緊急手記「拘束の3日間」には、読者から多くの反響をいただきました。「なぜ危険を冒してイラクを目指すのか」「自己責任とは何か」。連載中に寄せられた質問に、安田さんに答えてもらいました。
――拘束の経験は安田さんに何を残しましたか。
取材に入るまでの準備が大事であることを、あらためて認識しました。戦闘状態にある今のファルージャ近辺に入るには、現地に人脈を作るしかないでしょう。人脈作りは取材活動の本筋で、その大切さを痛感しています。拘束は不本意でしたが、その最中にも「取材してやろう」と考えることで前向きになれた。その思いがなかったら、気持ちの張りを維持できたか分かりません。そういう意味でも、ジャーナリストを目指してよかったと思っています。
――新聞記者を辞めてまでイラクを取材しようとしたのはなぜですか。
開戦前からこれほど世界中で注目され、しかも現場に入りやすい戦争はありませんでした。日本政府が支持する戦争でもあります。「テロとの戦い」という新しい戦争が世界をどう変えるのか、成熟していくはずの社会がなぜ絶えず戦争を求めるのか――。これからの社会を考える原点の一つとして、現場を見ておきたかったのです。そのためには、フリーになるしかありませんでした。
その後もイラクに通うのは、フセイン政権の崩壊後も事態が大きく揺れていることもあるのですが、現場を見れば見るほど分からなくなることも多く、やむにやまれず再び出向く、といった状況でしょうか。
――米軍と武装勢力との戦闘が泥沼化する現状をどう見ますか。
もともとは米国側からの挑発です。六月の主権移譲を前に反米的な勢カの力をそいでおきたいのでしょう。米軍の掃討作戦は「民主化のために反対勢力をたたく」という矛盾に満ちたものです。バグダッドの市民もファルージャの戦闘を伝えるテレビ映像を苦々しげに見つめていました。開戦直後から「人を殺すことが民主主義か」と言うイラク人がいましたが、今となっては分かりやすい指摘です。
これほどの戦闘を始めた以上、収拾の仕方も難しい。ファルージャからの米軍撤退も額面通りに受け止めることはできません。新たに投入されるイラク人部隊は内戦を引き起こしかねない「同士打ち」を避けるため、武装解除などで地元勢力との妥協点を探ることになるのでしょう。米軍がそれを黙認できなければ、さらに泥沼にはまりこむかもしれません。
――今後もイラク取材を続けますか。安田さんにとって自己責任とは。
続けます。自らの意思で出かけている以上、自分の命には責任を持って動いているつもりです。ですが、今回のようなことがあった時のために、今後は「政府に救出を要求しないように」と家族か第三者に書き残すと思います。私が負っている自己責任の意思を、他者に説明する「社会的責任」を果たすためのものです。それでも国家は、救出活動をしなければならないでしょう。「救出活動をすべきか」という国家のあり方についての議論を、「自己責任論」という言葉でひとくくりにして行うべきではないと思います。