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(回答先: Re: テスト 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 4 月 24 日 08:50:42)
緊急手記 拘束の3日間 安田純平(2) 国籍「日本」に「問題だ」 覆面せぬグループ 地域ぐるみ?【東京新聞】紙から
4月24日社会面から
目隠しを取ると、赤いじゅうたんを敷き詰めた部屋の中だった。奥行き十b、幅五bほどの広さ。民家の一室のようだ。窓の外には木立も見え、子どもの泣き声が聞こえる。壁際の床に座らされた私は、十数分前の出来事を振り返っていた。
自動小銃カラシニコフを持った十人ほどの男たちに囲まれた私と市民運動家の渡辺修孝さん(36)は、タクシーから引き出され、後ろ手にされて腕をつかまれた。拘束の覚悟はファルージャに近づこうとした時からしていたが、やはり少し足が震えているようだ。
タクシーの中を調べているイラク人の手に、「中国人」と偽るため車内に隠していたパスポートが握られているのが見えた。
彼らの乗用車の後部座席に渡辺さんと座らされた。不安になったが、銃を持った若いイラク人が「ノー・プロブレム(大丈夫)」と笑いかけてきた。その言葉を信じるしかない。日本にいる家族のことが頭をよぎった。
■■
運転席、助手席にイラク人が乗り込み車が走り出す。心配そうにこちらを見つめている通訳のイラク人青年の姿が、すぐに後ろへ流れていった。国籍を問われ、観念して「ジャパン(日本)」と答えると、運転席の男が振り返り、「ジャパン、プロブレム!(日本、問題だ!)」と叫んだ。そこで、自分で持っていたアラブの布で目隠しをされたのだった。
民家はアブグレイブの市内と思われる。十歳ほどの少年が持ってきてくれた紅茶をすすると気分が落ち着いてきた。女性や子どもがいる生活の場では、乱暴なことはしないだろう。
子どもに秘密を完全に守らせるのは難しいから、この拘束は周囲に知られても問題ないということか。
白昼堂々と、覆面もせずに私たちを連行したことも考えると、地域ぐるみの行動だろう。ファルージャ周辺は米軍との戦闘地域だ。怪しい者が入り込まないよう、通過する部外者を見つけたらとにかく捕そくする。そういった検問のような意味合いなのかもしれない。
「問題だ!」と叫んだイラク人Aが目の前に座った。
国籍や職業を問われ、正直に答える。落ち着いた様子の男で、目元に笑みも見える。片言の英語を話すようだ。
持っていたビデオカメラの使用方法を尋ねられた。録画できる状態にして渡すと、「身分証明書を持って名前を言え」と書う。屈辱的な映像を撮られるのは嫌だったが、録画ボタンが押されていないことに気づき、黙って従うことにした。
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私たちを連行したイラク人が、手ぶらで部屋に入ってきて、車座になった。興味津々といった様子だ。
白髪にめがねの"長老格"らしい男性がやって来て、「日本人がここで何をしているのか」と英語で尋ねた。「日本が支持する米軍が、イラクで何をしているのかを見るためにやってきた。何百人もの市民が殺されている実態を伝えたい」と説明する。長老はうなずきながら、私の言葉を周囲に伝えた。
「アルジャジーラ(カタールの衛星テレビ)に送る映像を撮る」とAが言った。三人が覆面をした。並んで座る私たちの後ろに銃を持った彼らが立つ。この映像が放映されれば、正式な人質になってしまう。だが、何も映っていなければとがめられるかもしれない。録画ボタンを押すよう教えた。
カメラが回りだすと後ろで何かつぶやいている声が聞こえた。自衛隊撤退を要求しているのだろうか。暴力をふるわれることもなく、二十秒程度で撮影は終了した。
「これで日本は大騒ぎだな」。Aがにやりと笑った。