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(回答先: 【関連記事?】マスメディアの情報不感症【田中康夫の「奇っ怪ニッポン」:日刊ゲンダイ】 投稿者 転載バカボン 日時 2004 年 2 月 12 日 15:39:27)
2月8日(日)
春が来たと思いました。南浅川の川縁に咲く梅の花を見たからです。
しばらく前に、めじろ台の万葉公園や多摩キャンパス100周年記念館前の紅梅が咲いているのを見ました。今日は、白梅の蕾が開いているのを発見しました。春の始まりです。
それにしても、妙な風向きになってきました。新しい政権スキャンダルが持ち上がりそうです。
それも、安倍自民党幹事長、中川国対委員長、それに小泉首相自身についてのスキャンダルが……。
このようなときに、またしてもこのようなスキャンダルが持ち上がるとは……。哀しくも情けない思いになってしまいます。
安倍晋三幹事長については、南カリフォルニア大への2年間の留学経歴への疑惑が持ち上がっています。成蹊大卒業後、南カリフォルニア大政治学科に2年間留学したというのが、嘘らしいというわけです。
大学側は「春期、夏期、秋期のみ在籍し、取得したコースに政治学は入っていない」とか「在籍は春期と秋期の1年間で、政治学を学んだが、学士の資格は得られなかった」などと説明しているようです。プロフィールも、「カリフォルニア州立大と南カリフォルニア大に1年ずつ留学」というものもあり、何が本当の経歴だか良く分からないといいますから、困ったものです。
民主党の古賀潤一郎議員ほどはっきりとした「詐称」ではないようですが、その重みは段違いです。古賀さんは野党の一年生議員にすぎませんが、安倍さんは政権党である与党第一党の幹事長ですから……。
中川秀直国対委員長の疑惑は国費である官房機密費の使途に関するものですから、もっと深刻です。しかも、自らの女性スキャンダルに関する私的流用疑惑だといいますから、呆れてしまいます。
この機密費疑惑は、森内閣の官房長官時代のことで、写真週刊誌『フォーカス』に右翼団体の幹部との交際や、愛人への捜査情報漏洩疑惑などを報じられて辞任に追い込まれ、新潮社を名誉棄損で訴えた裁判の過程で明らかになりました。中川さんにとっては、「ヤブヘビ」になったわけです。
裁判の中で新潮社側は「中川氏は女性問題で右翼団体幹部に脅され、機密費から多額のカネを支払った」と主張し、広島地裁が内閣官房に照会したら、この時期にあたる2000年7月に1億円、8月には1億2000万円、合計で2億2000万円が引き出されていたことが判明しました。
2億円以上とは、すごい額です。使途を明示せず、領収証も出さずにこれだけの額を引き出す権限を、官房長官は持っているんですね。しかも、これは税金で収めた国費ですよ。
これだけの巨額のお金が、自らの愛人スキャンダルもみ消しのために私的に流用されたのではないかというのが今回の疑惑です。これは放置できないでしょう。
この問題について、福田官房長官は参院予算委員会で「歴代の官房長官が厳正な運用にあたってきたと考えているので調査を行う理由はない」として、事実関係などについて調べないとの考えを示しました。とんでもないことです。知りたくないことを知ろうとしない「バカの壁」を自ら築いているようなものです。
これらに加えて、小泉首相自身への疑惑も浮上しつつあります。今日の朝刊各紙には、「小泉『ロンドン留学』は『単位ゼロ』だった」という『週刊ポスト』の大きな宣伝コピーが踊っていました。
首相は横須賀高校を出た後、2浪して慶大経済学部に入学し、5年がかりで卒業しました。その後、イギリスのロンドン大学に2年間留学したことになっていますが、この留学していた時期や内容について、怪しい点があるというわけです。
これなどは、照会して調査すればすぐに分かることです。まさか、小泉さんも自分の回りに「バカの壁」を築いて立て籠もろうというわけではないでしょうね。
安倍自民党幹事長の経歴詐称や中川国対委員長の官房機密費についての疑惑にせよ、政権トップにある総理大臣の留学についての疑いにせよ、それはそれとして重要な問題です。いずれも政権中枢にある重要人物についての疑惑ですから、真相が明らかになるように、十分な調査が必要でしょう。
したがって、マスコミやジャーナリズムがこれらの問題を追及することは否定しません。しかし、それによってイラクのサマーワへの自衛隊派遣などの問題についてのマスコミ報道が弱まり、国民の関心が薄れていくことを恐れます。
そうなれば、自衛隊のイラク派兵は既成事実化され、ぼんやりとした像となって自然の風景にとけ込んでいくことでしょう。これまでずっとそうであったかのような、当たり前の見慣れた光景となって……。
今日、イラクに派兵された陸自本隊の一部がサマーワに入ったそうです。政権中枢にいるこれらのいかがわしい人々によって命をかけさせられている自衛隊やその家族の人々は、どのような思いでいるのでしょうか。
先日も書きましたように、中川国対委員長への疑惑は官房長官時代のものです。その官房長官に中川さんが就任したのは、2000年6月25日の総選挙の後、7月4日に組閣された第2次森内閣の時でした。
このときの経緯について、自民党幹事長として組閣に関わった野中さんは、次のように書いています。
私は第2次森内閣の組閣に際し、官房長官の人事について森さんと話したことがある。
「あんたのとこ、ようけ候補者がおるけれども、宮下(創平)くん入れたらどうなんだい。彼は官房長官秘書官やっているし、やっぱり官邸の中を知っているから」
「いやあ、彼も年いったから。やっぱり中川くん以外にない」
中川氏については衆院予算委員会の理事を一緒にやり、よく話を聞いていたし、できる人だというのは知っていた。ただ小渕内閣で青木官房長官の下で副官房長官だった額賀福志郎さんのように、大物官房副長官として起用したらどうかと思っていた。だが森さんが「やっぱり中川くんにしたい」ということで、中川官房長官が誕生したのだった。
しかし10月27日、就任3カ月半で辞任に追い込まれてしまった。(前掲書、191〜192頁)
これを読むと、中川さんの官房長官への起用にこだわったのが、森首相だったということが分かります。ところが、たったの3カ月半で中川さんは辞任せざるを得なくなりました。
森さんは、恐らく気の毒に思ったことでしょう。今回の中川さんの国対委員長への起用に際して、「汚名を返上させてやりたい」という森さんの意向は働いていなかったのでしょうか。
というのは、竹下登元首相が語った『政治とは何か−竹下登回顧録』(講談社、2001年)に「損失補填」という言葉が出てくるからです(120〜121頁)。短命内閣で在任期間が短かった人について、時期を見てもう一度大臣にしてあげるという「気配り」を、竹下さんはこういう言葉で表現していました。
中川さんの「損失」は「身から出た」ものですが、それでも在任が短命に終わったという点では「損失」です。これを「補填」してあげようという気持ちが、政権主流である総裁派閥のオーナー・森さんにあったかもしれません。
話がそれました。ここで私が注目したいのは、そのことではありません。中川さんが官房長官だったのは、7月始めから10月末までの、たった3カ月半に過ぎなかったという事実です。
そして、中川さんに関するスキャンダルが表面化するのは、官房長官になった直後からのことでした。野中さんの著書では、次のように書かれています。
中川さんに関しては7月中旬から右翼団体の文書で、右翼団体幹部との交際や元愛人の存在が告発されていたが、それが次々と週刊誌で暴露された。さらに中川さんは、自分の元愛人が薬物使用で捜査対象となっていると知って、その捜査情報を元愛人に伝えたとされた。そのやりとりはテープに録音され、テレビで放映までされた。(前掲書、191頁)
この問題は「7月中旬」に表面化し、中川さんが官房機密費を引き出したのは「7月に2回に分けて計1億円、同8月には3回に分けて計1億2000万円」で、「使途は明らかにされていない」といいます(アサヒ・コム)。
時期がぴったり一致しています。「右翼団体幹部に脅された中川氏が多額の金を機密費から支払った」という新潮社の主張とも、符合していることは明らかです。
中川さんの事務所は、「3日夜、朝日新聞の取材に対し『使途は明らかにできないが、きちんと使っている。私的な流用はない』とコメントした」(同前)そうです。「きちんと使っている」のであれば、何故、「使途は明らかにできない」のでしょうか。
もし潔白であれば、無用な疑いを晴らすために説得力ある申し開きをするべきでしょう。流用したと疑われているのは多額の国費であり、しかも自らのスキャンダルに関連した右翼団体の口封じのためであったとされているわけですから……。
この中川さんがたったの3カ月半で辞任した後、後任の官房長官に就任したのが福田さんです。先日も書いたように、福田官房長官は「調査を行う理由はない」として、調べない意向を示しました。こんなにプンプン臭うほどの疑惑があるのに、理解できない対応です。
まさか、前任者に遠慮しているわけではないでしょうね。それとも、官房機密費の不正流用について、きちんと調べられない特別の理由でもあるのでしょうか。
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm