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(回答先: ますます怪しい小泉首相のロンドン留学 − 「取得単位ゼロ」と週刊誌:所属学部でもウソ − [日刊ゲンダイ2・10] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 2 月 09 日 15:09:16)
(1) 小泉・福田・安倍トライアングルに亀裂
<政治は最高の道徳である>とは、起源を溯れば古代ギリシャの哲人、アリストテレスに帰するが、卑近のうちには、福田康夫官房長官の父、福田赳夫元首相(故人)が好んで口にした。名言といえばそうだが、元警視総監で参院議員に転身した秦野章氏(故人)の、
「政治家に徳目を求めるのは八百屋で魚を買うようなものだ」――という至言もあり、どちらかといえば、秦野氏のほうが政治家の実態を正直に反映している。
福田官房長官の古賀氏に対する「嘘つきは泥棒の始まり」の論評は、父・赳夫氏の教えより秦野氏の政治家観に近いが、表現ははるかに劣る。
父・赳夫氏は、大蔵省出身の官僚政治家ではあったが、剛毅な政治的気質で知られ、政策立案の緻密さも抜きん出ていた。戦後政治史を彩った一人である。康夫氏は、民間会社課長から赳夫氏の秘書に転じた。赳夫氏が東大出身であるのに対して私学の早稲田大学OBだが、父の剛毅な一面を党人政治家として引き継いだというより、赳夫氏以上に官僚臭が漂う。≪偉大なる父≫への劣等感がそうさせたのか、あるいはもともと権力志向が強いのか。森内閣末期に官房長官に突如登用されて以後の短期間の政治の表舞台だけで見る限り、政治的世界観の奥行きの深さは感じさせないということでは、衆目の一致するところだろう。
官僚は機を見るに敏であり、政治権力の強弱を見分けるのが鋭い。肩肘を張るタイプの小泉純一郎首相とは対照的に、官僚的肌合いがあい、なおかつ政治家としての強さに欠ける福田氏に逆に官僚は行政権力を集中させることでいわば、官僚の代弁者に仕立てあげようとしている。
自民党三役筋がそこをこう表現した。
「霞が関は、福田に権力を集中させ、自分たちの政治的代表にしようとして小泉首相を牽制し始めた。小泉首相がイラク問題で立ち往生したり、7月の参院選で敗北して退陣する事態を想定して、福田をその後継にする動きがある。明らかに霞が関とその意を汲んだ党内勢力が画策している。福田自身も“まいったなァ”などといいながらも、そうした取り沙汰を否定もせずまんざらでもない様子だ。昨年末以降、小泉と福田、小泉と安倍(晋三自民党幹事長)、というように小泉内閣の高支持率を支えるトライアングルに亀裂が生じた」
福田氏は、“逆ギレのヤッさん”と異名をとる。毎日の記者会見でも、質問が気に入らないと、こめかみをひきつらせ、取りつくシマのない言い方をするのも定番である。「嘘つきは泥棒の始まり」も、大衆的センスのある政治家がいえば、一過性のくすぐりで済むが、福田氏がいうと聞く側を身構えさせるのだ。
小泉首相は国債発行30兆円枠、ペイオフ解禁問題で公約違反を追及された時、
「今やるべき、より大きな問題の前に、あの程度の公約が守れなくても大したことじゃない」
と答弁して問題になった。
(2) 有力閣僚も経歴をこっそり修正
公約違反は、国民に嘘をつくことになる。嘘つきは泥棒の始まりというなら、小泉首相こそそうであり、その内閣の大番頭である福田氏がどれほどキレイだというのか。だからいわないことじゃない。本誌既報の安倍幹事長の学歴詐称疑惑同様、小泉首相のロンドン留学にも、調べれば調べるほどヘンだ。
さらにいえば、某大臣は、以前はアメリカの有名大学大学院修了をうたっていたが、今となっては、その部分を経歴から消している。別の自民党代議士もやはり、ホームページでの経歴からアメリカの大学留学を音もさせずに削った。
福田氏の発言が、古賀問題を奇貨として、それこそ「政治は最高の道徳である」ために、国民の不信感を晴らすべく全議員を対象にして経歴を見直す作業の必要を呼び掛けたのならわかる。が、総理大臣や自民党幹事長、有力閣僚、さらには自民党内の≪留学経歴疑惑≫にはフタをして、古賀問題に絞ってイラクへの自衛隊派遣を上回る重大問題であるかのようにお先棒を担ぐのは、政府権力のヒステリズムというしかない。
ナルホド、小泉首相の留学疑惑はまさに重大である。
(3) ロンドン大学「小泉はパートタイムの学生だった」
小泉首相の経歴をとくと眺める。首相官邸のホームページでは、
<1967年慶応義塾大学経済学部卒業 ロンドン大学留学 1970年衆議院議員福田赳夫氏秘書 1972年衆議院議員初当選(30歳)以来11期連続当選>――とある。
官邸HPには、ロンドン大学留学とあるだけだが、01年7月の日英首脳会談で、小泉首相はロンドンを訪れた際、ギネスビールを飲みながら相好を崩し、ブレア首相に、
「イギリスは第2の故郷です。留学の2年間に選挙運動も見られた。政治家として大変な資産になっています」
と語った。ブレア首相が、
「一段と親密さを感じます。両国関係は一層強固になるでしょう」
と、にこやかに応じたことが報道された。
小泉首相の「ロンドン留学2年間」は、ブレア氏に語ったのが初めてではなく、首相就任時の新聞インタビューなどでも紹介され、高支持率の波に乗って、広く人口に膾炙するところとなった。
ロンドン大学に小泉首相留学を示す記録および履修科目の確認作業を依頼した。
ロンドン大学はイギリスでは、オックスフォード大学とケンブリッジ大学に次ぐ3番目に古い歴史を誇る。10校のカレッジから成り、小泉氏が通ったのは、1826年に創立された『ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン』らしい。そこでは、過去、18人のノーベル賞受賞者を輩出している。また英文学、フランス語、ドイツ語、地理学などでは、イギリスの大学で初めて正規のカリキュラムを組み、法学と医学の教育をこれもまた初めて体系づけた大学ともいわれている。早くから性別や宗教に関係なく学生を受け入れる門戸の広い大学として国内外で知られてきた。
さて、小泉氏の留学はどうだったか。ロンドン大学では、現在は学生と卒業生の記録をコンピュータで管理しているが、あいにく小泉氏の年代のものは書類の資料でしか残っていないという。通常は確認に1週間はかかるところをわずか3日間でやってくれた。記録係から寄せられたその回答はこうである。
「ジュンイチロウ・コイズミは、1968年9月30日から69年6月20日までパートタイムの学生として登録されていました。パートタイムの学生とは、受講時間が週15時間以内の学生を指します。正規の学生は、週35時間ほどの受講が求められます。彼は外国人向けに行なわれる経済学の特別コースを履修したようですが、大学からは何の資格も与えられておりません。そもそも、特別コースはネイティブのための授業が難しすぎる学生のために設けられたもので、この大学での単位取得ができるものではない。したがって、彼の場合、当大学での取得単位はゼロということになります。それ以上の記録も情報もありません」
2年間留学して、取得単位はゼロ。単位を取るのがすべてではないというものの、では留学とは何なのか。しかも、2年間の自称留学期間に対し、大学の記録はわずか9か月間と冷厳なものだった。
つまり、広く外国の事情を見聞する≪遊学≫であったとすれば、合点がいく。それをわざわざ「留学2年間」とか、イギリスの首相にまでそれを誇示するに至っては、厳密な解釈をしていくと、福田氏のいう“ウソつき”か“ドロボー”か、どちらかの定義に当てはまりやしないか。
(4) ニューヨーク市立大学教授が“小泉留学”に疑惑を指摘
小泉氏が意図的に何かをしたとか、という偏見で見るのは若干酷かもしれない。要するに、英語の勉強に行ったらしいのである。
英国留学時代のこれまた数少ない資料の一つに67年7月当時、母校の神奈川県立横須賀高校の同級生にあてた手紙がある。
<ケンブリッジには、(67年7月)12日に着いて14日からベル・スクールに通っている。ここは外国人のための英語学校で、今は150人くらいの各国の学生が集まっている。(中略)僕の見たところ、ろくな奴はほとんどいない。100人に一人、ましな人間がいればいいほうです。(中略)人間、留学したから立派になるわけではありません。その留学期間の内容と本人の生活態度によるわけで、日本で一流の人間は、やはりどこへ出ても一流でしょう>
手紙の内容は、同級生に確認した。かつての小泉氏は、政治家になるより外交官になることを目指していたという。文中に一流の人間云々とある一節は、小泉氏が自分自身をそうだといってるのではない。ベル・スクールにいる外国人の様子を目の当たりにして、留学したり外国に来たことは偉いことでも何でもない、一流の人はどこにいても一流なのだという、至極まっとうな視点と文脈の中で書かれていたことである。
もっともこの友人も、手紙以上のことは詳らかではないという。本誌に語った。
「英語を勉強してくるといったことは覚えているし、手紙も一度だけもらったが、それ以上にどんなことをしていたのか、向こうでの生活はほとんど知らない。のんびりしていたとは思いますが」
ともあれ、小泉氏のロンドン留学は、本誌前号で報じた安倍氏の≪南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学≫と同じく、実態は英語習得にあったことは共通している。
ただし、小泉氏の留学経験に対し、厳しい見方もある。ニューヨーク市立大学大学院教授の霍見芳浩氏は、同氏が以前書いたコラムでも“勤勉な学生”にはほど遠かったと書いている。霍見氏が本誌に指摘した。
「私の調査では、小泉氏の留学経験は、ある種の固有の問題(霍見氏は問題の性格を具体的に指摘しているが本誌取材では未確認のことなのであえて秘す)が表沙汰になることを恐れて、当時防衛庁長官だった父の純也氏がイギリスに行かせたということだった。語学学校に行ってからロンドン大学に入ったというが単に、一般の公開講座を受けただけで、留学とは名ばかりのものだった」
小泉氏は父の急死を受けて急きょ帰国し、69年12月の総選挙に出馬(落選)したが、そのまま4年間イギリスにとどまっていたとしても、ロンドン大学では単位を1つも取れなかった事実は恐らく変わらない。
話かわって安倍氏の場合も、南カリフォルニア大学政治学科への2年間の留学は、嘘だったことが同大学広報の回答によって明らかになった。それについて、安倍事務所は、安倍氏が南カリフォルニア大学同窓会の日本支部の顧問であることを強調し、
「アメリカの大統領制について勉強したようでもあり、決して経歴詐称ではない」
と繰り返す。何を勉強しようと勝手だが、問題は事実だ。自ら公表した経歴が事実であることの証明にはなってない。本誌報道を受け、民主党の菅直人代表は、2月3日の記者会見で、
「安倍氏は2つの大学に行ったといってみたり、1つの大学に2年間行ったといってみたり、いうことがくるくる変わっている。古賀氏の問題では、安倍氏はかなりきつい発言をしていたのだから、(自分の経歴疑惑を)自ら明らかにされるだろうと確信している」――と述べ、安倍氏の対応如何では、厳しく追及する姿勢を見せている。
評論家の室伏哲郎氏ははるかに手厳しい。
「安倍さんも、けじめをつけ責任をとるべきです。古賀氏が除名なら安倍さんも除名が筋でしょう」
小泉さんはどうするか。
http://www.weeklypost.com/jp/040220jp/news/news.html