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「中国の小さなお針子」文化大革命を背景にした映画 --- 文革とは継続革命のことであり、第二次文革が起こる(『株式日記と経済展望』より)
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投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 2 月 07 日 18:53:50:Sn9PPGX/.xYlo
 

「中国の小さなお針子」文化大革命を背景にした映画 --- 文革とは継続革命のことであり、第二次文革が起こる

2004年2月7日 土曜日


1冊の本が人に“一生”を与えることがある。そこまで大げさでなくとも、めくる1ページを新しい1歩のように感じたことはないだろうか。

多感な高校時代、没頭した本があった。三島由紀夫の「金閣寺」だ。きつ音の主人公、溝口は自らを「理解されないことが私の存在理由だ」と語る。それまでの“守られた世界”にいた私を強烈に成長させた言葉だった。

「小さな中国のお針子」の舞台は自由に読書ができる環境ではない。西洋文学を禁書とするなど文化の政府統制が強制された文化大革命の時代だ。若者の特権でもある未知への探究は一切、否定された。しかし、この映画が描くのは、中国の失われた10年ともいえる「文革」によって青春を奪われた若者たちの悲劇ではない。文革を背景とすることで、ストーリは豊かにふくらむ。

その予感は冒頭から感じられた。反革分子とみなされ都会から僻(へき)地にやってくるマーの荷物にはバイオリンがあった。村長から「ブルジョワのおもちゃはすてろ」と警告されるが、ルオがとっさに機転をきかせる。「『毛沢東を想って』を奏でましょう」とマーに“モーツアルトのソナタ”を演奏させるのだ。村人の無知を逆手にとった若者の反骨ぶりが精かんで嫌味がない。

さらに、マーの奏でる「ソナタ」は染みいるように秘境に響き、溶け合い、村が決して“赤い影”に染まりきった世界ではないことを教えてくれる。

そんな彼らと出会った「小さな中国のお針子」。彼女は映画のなかで名前を持たない。つねに「小さなお針子」と呼ばれるのだ。そこには自らも再教育の経験をもつダイ・シージェ監督の強い思いが込められている。

「私は再教育を受けた青年の些細な日常を描いたのではなく、本というものがひとり人間の人生をがらりと変えてしまう様子を語っている。読書は多くの喜びを与えてくれた」

小さなお針子が具体的にだれなのかは問題ではなく、読書の喜びを知り、新しい自分を知る喜びに満ちた存在であればいいのだ。それゆえシージェ監督の化身ともいえるお針子の“文明開化”には監督の愛情がふんだんに注がれている。

2人の青年が持ち込んだ、初めてみる目覚し時計を興味津々で解体し、本の挿絵をもとに見よう見まねで下着を縫い上げ、ルオと川の中で伸び伸びと愛を交わす。覚えたてのフレーズ「自然人は感情に支配されるが、文明人は観念が心の状態を変える」−−を口にしながら。

お針子は心の中で目まぐるしく想像する世界を、やがて現実に引き込もうとする。その描写が素晴らしかった。マーはバイオリンを売り、ルオの子どもを堕した小さなお針子に「好きなものを買うといい」とお金を手渡す。街へ出てお針子が買ったのは新しい大地に踏み出すための1組の靴だった。

ルオは小さなお針子に尋ねる。「君を変えたものは?」
小さなお針子は答える。「バルザック」


「中国の小さなお針子」 BALZAC ET LA PETITE TAILLEUSE CHINOISE


◆文化大革命は、何故10年間も継続したか

文化大革命を学習している私に、ある日本人が質問をした。「何故、文化大革命も10年間も続いたのでしょう。誰か止めることが出来なかったのですか?」実は、この質問は、核心をついたものであり、私も咄嗟には答えることが出来なかった。そもそも文化大革命とは、劉少奇・ケ小平などの「実権派」と呼ばれる人々の一掃を図るために、毛沢東が1966年に発動したものであった。

当時、毛沢東は、相当に危機的な状態であった。何故ならば、人海戦術で大量製鉄をし、農村を人民公社に移行させ、食料の大増産と工業化を一気に進めてしまおうという「大躍進政策」を取っていた。5年後に、イギリスを抜き、10年後にはアメリカを追い抜こうと当時は、意気込んでいた。

人民公社については、後に詳細に記述するが、簡単に説明するば、農業の協業化さらには、農村の行政機関も一体化するものであった。しかし、実際は、鉄は実際に用いることが出来ない屑鉄を大量に生み出し、他方、食料については、鉄の生産にあけくれていたことと、自然災害なども加えて、なんと、2000万人の餓死者を出す悲惨な結果に終わった。

このことは、毛沢東の権威を著しく損ない、党の権限は、劉少奇・ケ小平などの毛沢東批判派にうつっていた。だから、当初、毛沢東は、実権派をつぶせばそれで良いと考るのは、当然のことと言えるだろう。では、中国は極めて長期間、何故ありもしない敵を内部につくりあげ、闘争にあけくれたのであろうか。

その秘密は、「文化大革命」の指導理論である「革命継続論」にあると思う。この理論は、社会主義革命は、既存の王朝、ブルジュワ政府を打倒するだけでは完了しないというもので、革命を果たせば、内部の資本家に肩入れする人々を打倒しなければならないという考えであった。この革命継続論は、国民党の残党、一部の地主を粛清するために、しばしば利用されていたが、文化大革命時代には、「革命継続論」の普及活動を全世界にも展開したのであった。

毛沢東の発案であるこの思想は、右派にも左派にも簡単に利用できるもので、毛沢東を支える道具にもなるし、また逆にゆさぶる道具にもなるもので、体制側にも非体制側にも恐い思想なのだ。さらには、当初から中国共産党に対する不平不満が往々にしてあった。例えば、現在でも中国の新聞紙上を賑わす共産党幹部の腐敗の問題が、中国人民にとっては大いになる怨嗟の的であった。

 発動したのは、毛沢東であるけれども、別の側面では、中国人民の腐敗幹部に対する反旗ということもあった。この毛沢東理論と民衆の不満が混在し、誰も止められない永久革命を続けることになったというところではないだろうか。


赤色年代のホームページ

(私のコメント)
レンタルビデオ屋に行くと最近はアジア映画コーナーがあり、多くの作品が並んでいる。その中で話題になった映画で、中国の文化大革命時代の青年達を描いた映画だということで見てみました。中国映画だと思っていたのですがフランス映画でした。だから演出もフランス映画的で中国映画とは違って優雅な描き方をしている。

ダイ・シージェ監督は文革時代に僻地へ下放された経験を持ち、文革が終わってフランスへ留学し「バルザックと中国の小さなお針子」と言う小説を書き、それを自身が映画化したものです。舞台は1971年の四川省で水墨画に出てくる風景はここがモデルになっています。しかしながらダム建設で水没してしまうのは惜しいです。

主人公の二人の青年は父親が医師だと言うことで、知識青年は農村に下放され再教育されることになって、文明から見放されたような山奥にやってくる。そこでは本などは没収の対象であり、インテリ青年は農作業や鉱石の採掘に従事させられる。つまりカンボジアのポルポトと同じで知識階級はみな弾圧の対象になった。

なぜ中国で文化大革命などというバカなことが起きたかというと、大躍進政策の付けがやってきて工業化一辺倒であったために農村が疲弊してしまった。そこを毛沢東一派が実権派を追い落とすために仕掛けたのが文化大革命です。最近の中国も上海などの沿岸地帯の発展と、自然が荒廃した農家との格差がひどくなってきている。

つまり文革前の中国の状況によく似てきているわけで、やがては第二の文化大革命が起きてもおかしくはない。イランでパーレビ国王が開明的政策を行ったのに対し、それに取り残された国民がイスラム革命を起こしましたが、中国でも同じ現象が起きたといえる。現在でも地方の農村では暴動騒ぎが起きていますが日本のマスコミには僅かしか出ない。

改革開放政策で外資を呼び込んで経済発展させる手法は東南アジアで成功し、それを真似たものですが、中国は自発的な大躍進政策が失敗し、外資に頼る方法に切り替えることにしたのだろう。中華意識の強い中国人には屈辱的だろうが、アセアン諸国からも取り残されて背に腹は変えられなくなったからだ。

しかし中国で外資による産業の発展は中国に根付くことが出来るだろうか。「中国の小さなお針子」と言う映画を見て中国映画らしくないと思ったのは、中国の少女が知識青年の読み上げるバルザックの小説に感化されて、新しい人生を切り開くために都会へ家出すると言うラストシーンが、フランス文学を美化して外国文化への憧れを映像にしているからだ。

つまり「中国の小さなお針子」という映画は改革開放政策を賛美するための映画であり、ラストシーンには高速道路を上海の摩天楼目指して走るシーンが出てきますが、文革を否定し改革開放政策の象徴を映像化している。しかしその利益を得ることが出来るのは知識青年達だけであり、お針子の少女は香港へ行ったまま行方不明になっている。ふるさとはダムに水没し豊かさは彼らには及んではいない。

アメリカや中国などでは映画は政治プロパガンダの道具であると見たほうがいい。だから映画を見てどのような政治的意図が隠されているかを見れば、その国の政策を読み取ることが出来る。日本では映画は芸術作品がほとんどで、政治プロパガンダを含んだ映画は非常に少ない。中国人はこのフランス映画をどのように見るのだろうか。

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コメント
 
1. 2017年9月15日 15:47:43 : 4AnXSY7W0I : OxUSbZFpDHg[2]
JB PRESS

元紅衛兵たちの懺悔

文革とは何だったのか?(1)〜中国株式会社の研究(239)

2014.1.24(金) 宮家 邦彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39767



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