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邦人人質事件で自衛隊の撤退は不可能になった --- 日本の政治家はなぜ適切な判断が下せないのか
2004年4月10日 土曜日
◆勝谷誠彦の××な日々。2004・04・10(土)
下から読んでね。いきなり感情論を書いてしまったので少し論理的に。自衛隊の撤退がありえないのは二つの理由による。ひとつは国際社会の枠組みとしてのイラク支援からの脱落は今後の日本の地位を限りなくおとしめるからだ。人命の為ならばそれもやむをえないという考え方もあろう。
だがもうひとつ。今の状況での撤退決定は「テロリストに屈する」という世界人類全体に対する罪を犯すことになるのである。日本は今後一世紀国際社会から相手にされなくなるであろう。重大な皮肉を指摘しておく。今回あの3人がかかる行動をとらなければあるいは「自衛隊は撤退できた」かもしれないのである。
しかし3人がテロリストに関わったために自衛隊の撤退は「テロへの屈伏」を意味することとなりこれで退路は完全にたたれたのである。お仲間の3人を助けるために自衛隊は引けと街頭で騒いでいる頭の中に桜が咲き誇っている方々よ。そのお3人こそがあなた方が願っている自衛隊撤退の可能性を完膚なきまでに消してくれたんですよ。おわかりですか?
同様な理由で裏工作による金での解放ということもあり得ない。テロリストに持参金までつけて「テロの輸出」をしたダッカ事件は国際社会での日本の地位低下という意味では小さな「敗戦」だった。次の「敗戦」は金だけ出した湾岸戦争である。
今の国家の価値観というものはこの二つの巨大なトラウマの上に成り立っている。それを理解する時テロリストとの妥協はあり得ないのである。もっとも福田小泉のポチ二匹の「あり得ない」発言は尻尾ふるにはあまり早すぎたけどね。竹下や大平なら意味不明な発言で2,3日は時間を稼いだろうが。
更に言う。この根本的認識を措いたとしても3人の人命と自衛隊撤退という二つの決定の軽重はどうなのか。私は週刊文春の発行停止命令を思う。個人のプライバシー侵害と表現の自由の制限という二つの重大な価値観の衝突に対して裁判所は最終的に苦渋の判断をした。どちらがどうと私はあえて言わない。それぞれの方が置き換えて考えていただきたい。
昨夜高名なジャーナリストから今回の事件が自衛隊撤退を狙った自作自演の「芝居」ではないかとの指摘を受けた。氏の解説にはなるほどと思わせるところもあった。しかしもしそうだとすれば日本の市民運動というものはこれで壊滅する。いずれにせよ今後何十年もの「日本人の価値観」を問う踏み絵の48時間がこれからすぎていくことであろう。
◆小泉の波立ち ニュースと感想(4月10日)
(前略) では、なぜ、保守派は「絶対に撤退しないぞ」と依怙地になるのか? そこまで考えれば、物事の本質がわかる。日本が自衛隊の派遣を断固として実施するのは、イラクのためではなく、米国のためだ。そして、米国が「自衛隊を撤退させるな。そうすればこちらが困る」と主張するからこそ、保守派は撤退を拒否するのである。
つまり、「イラクの人道支援のため」なんていう政府や読売の主張は、とんでもない嘘八百なのだ。そういう嘘八百の上に、理屈をこねあげているのだ。── ここに隠された真実がある。政府や読売の主張を、額面通り受け止めてはならない。決して。
(ここでも、「政府とマスコミを信じるな」という私の日頃の主張が当てはまる。)(中略)
では、この連鎖を断ち切るには、どうすればいいか? ブッシュやシャロンは、「徹底的な攻撃」を選択した。その結果は、ご存じの通りで、殺しあいの連鎖の拡大である。莫大な死者が出る。しかし、ブッシュやシャロンは、その道を改める気がない。日本の保守派も同様である。
だから、こういう強硬路線が続く限りは、連鎖は断ち切られない。中東では双方でどんどん死者が出ているが、それと同様のことが、日本や米国にも波及するわけだ。
だから、「どうするべきか?」という質問に対しては、「どうしようもない」と答えるしかない。なぜなら、選択肢がどうであろうと、選択する人間が愚者である限りは、双方に莫大な損害が出るしかないからだ。(中略)
もっと具体的に示そう。「私が首相ならどうするか?」という問題には、こう答える。
第1に、そもそも、自衛隊を派遣しない。だから、この問題は、起こりようがない。「イラクの復興支援のため」なら、自衛隊ではなくて、国際NGO(日本人以外を含む)およびイラク人の民間人で、「イラク復興支援部隊」を、日の丸のもとで実行する。できれば、日本人と誤解してもらうために、アジア人を雇用する。要するに、「金は出すが人は出さない」だ。
こうやると、アメリカは「けしからん」と半分怒るだろうが、「ま、何もしないよりはマシだ」と半分納得するだろう。イラク人は、軍隊が来ないで援助隊だけが来るから、喜ぶだろう。民間人だけだから、被害の可能性は少ないし、最悪の場合でも、日本人の人的損害はない。
第2に、小泉首相が解任されたあとで私が首相になったとしたら、「自衛隊を撤退させる。このことは昔から表明済み。人質には関係ない」と発表して、自衛隊の撤退スケジュールを公表する。そして、かわりに、前述の民間人部隊を派遣する。
この政策を、「日本人は犬じゃありません」政策と称する。(後略)
(私のコメント)
イラクで起きた邦人三人の人質事件で日本中が大騒ぎになっている。これが単なる身代金目当ての誘拐ならこれほど大騒ぎにならなかったのでしょうが、テロリスト達は日本の自衛隊の3日以内の撤退を要求してきた。金で片がつくことなら人質の命は助けることは容易である。しかし政治的要求には従えないから大騒ぎになっている。
小泉首相としては「最大限の努力で解決する」と口先で言うしか方法はない。憲法違反を承知で自衛隊をイラクへ送り込んだ以上、その結果起きた事には小泉総理は全ての責任を負わねばならない。犯人達と連絡も取れないから交渉のしようもなく、最悪の場合には人質達は焼き殺されるしかない。
邦人三人を人質にとったテロリストの本当の目的は自衛隊の撤退なのだろうか。テロリスト達も日本が要求にしたがって簡単に軍隊を撤退させないことは承知しているだろう。むしろ自衛隊を撤退させないことが目的で誘拐事件を起こしたのかもしれない。そうなると犯人像も大分違ってくる。
別の見方としてはサマワの自衛隊に治安部隊を送り込んで、治安維持に当たらせるようにさせるのが目的かもしれない。つまり自衛隊を基地の外に引きずり出すのが目的で人質をとったのかもしれない。イラクで邦人が拉致されたり殺される事件が多発すれば、基地に閉じこもっている自衛隊は何をやっているのかと言う声も出てくる。
戦前において日本軍が大陸へと引きずりこまれたのも、このような邦人保護が目的で出兵したのが始まりだった。日本軍は一度出兵するとなかなか後へ引かない悪い癖があり、最近のPKOにしてもゴラン高原や東チモールなど数年にわたる活動を行っている。イラクの自衛隊もこのままずるずると駐留を続ける恐れがある。
おそらくこれからも親米保守派と反米左翼派で自衛隊の撤兵問題が大きくなるだろう。今のところ自衛隊員には犠牲者が出ていないから表面化していませんが、多くの自衛隊の犠牲者が出た場合、撤兵はより難しい問題となる。イラクへ派遣した小泉内閣の政治責任化して撤兵することが、政治責任を取らされる結果となるからだ。
同じようにブッシュ大統領もこれだけ多くの米兵の犠牲者が出ると、撤兵は自分の非を認める事になるから出来ない。イラクが混迷を深めるにしたがって、かえって兵員を増強するとまで言い出している。こうなるとイラクのベトナム化は決定的となりブッシュ政権が倒れるまでイラク戦争が続くことになる。
このように生きたまま焼き殺されていいのか!