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(回答先: 裏金、カラ出張も原資 弟子屈署元次長ら監査請求−道警報償費疑惑(北海道新聞) − 「裏金づくりは道警全体に染みついていて、それが嫌で辞めた」」 投稿者 シジミ 日時 2004 年 3 月 01 日 19:38:40)
「史上最大の詐欺横領事件」を誰が捜査できるのか?
ザ・スクープ プロデューサー 原 一郎
http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/index.html
■もうひとつの裏金疑惑
去年7月、高知新聞の1面トップに、高知県警の捜査費流用を報じる見出しが躍った。手口は、旭川中央署のケースと同様、架空の捜査協力者を仕立て上げ、捜査費を虚偽請求するというものだった。翌月、高知県市民オンブズマン連絡会議の森武彦氏は、詐欺容疑などで県警捜査一課長らを高知地検に刑事告発、受理された。しかし、捜査費流用疑惑をスクープした高知新聞県警クラブキャップの竹内誠記者はこう危惧する。
「どこまで本気でやるんでしょうね。自ら調査活動費の問題を抱えているのに、本当に捜査できるんですかね?」
警察の組織的違法行為があった場合、それを摘発できるのは上位の捜査機関である検察しかない。しかし、その検察もまた、同じ十字架を背負っていたとしたら・・・
2002年4月、ザ・スクープは検察庁の現役最高幹部の驚くべき証言を放送した。当時、大阪高検公安部長の要職にあった三井環氏は、鳥越キャスターによるインタビュー直前に微罪で逮捕(裁判では証言封じのためのでっち上げだと主張)されたが、事前取材で、こう内部告発していた。
「検察庁全組織、地検、高検、最高検察・・・くまなく裏金が存在する。検察の調査活動費は、全額裏金に回っている。」
調査活動費とは、日本全国の検察庁が事件の調査や情報収集のために使う、いわば「検察の捜査費」である。法務大臣や検察トップの原田検事総長は裏金疑惑を全面否定したが、番組では、三井元公安部長の告発を裏付ける決定的な内部資料を入手し、第2弾、第3弾の放送に踏み切った。
「これが実際に私が書いた偽造領収書の実物です。私は事務局長の指示によって架空の情提供者になりすまし、一度に50枚くらいの架空領収書を書かされていました。」
21年間に渡って東北各地の検察庁に勤務した元副検事、高橋徳弘氏が番組で実名告発した裏金作りの生々しい手口。さらに高橋氏は、仙台高検の事務局長名の偽造依頼書などの決定的証拠も保管していたのである。やがて、こうした放送が裏金疑惑を追及する人々の連帯に結びついていき、情報公開という手法で検察の裏金を追及している仙台の市民オンブズマングループが、高橋氏や三井元公安部長を証人申請。ついに去年12月、仙台地裁で画期的な判決が下された。なんと、法務大臣も検事総長もないとしてきた検察の裏金を裁判所が認定したのである。
「少なくとも83年から93年にかけて、仙台高検の調査活動費に関して領収書が偽造されていたことが認められ、少なくともその一部が不正に流用されていた。」(判決より)
三井氏も高橋氏も、自分たちの行ってきた行為が虚偽公文書作成、有印私文書偽造同行使、詐欺に当たると認めている。また、裏金の使い道は「1割位は職員の餞別、冠婚葬祭等に使われ、後9割くらいが検察トップの遊興費として飲食代、ゴルフ代、マージャン代等に使われる」とも証言。警察の捜査報償費流用とほとんど同じ手口、同じ使い道なのである。さらに、別の元検察事務官の証言によれば、カラ出張による裏金作りも警察と全く同じ構図だという。
■検察は警察を裁けるのか
警察の裏金の実態を実名告発した元北海道警最高幹部の原田宏二氏によれば、警察官になって間もない昭和33年頃には既にカラ出張や裏金が存在しており、少なくとも退任した平成7年まで続いていたという。さらに、こうした裏金作りは原田氏が38年間で勤務した全ての警察署や本部各課で組織的に行われていたという。
日本全国10数名の警察関係者の証言を元に、今回の放送で検証したように、もしあらゆる警察組織で何十年にも渡り、連綿と裏金作りが続いてきたとしたら・・・上司の命令で、ほとんどの警察官が支払い精算書や領収書を偽造させられてきたとしたら・・・
それは、横領金額の累計数兆円、犯罪に手を染めた警察関係者数万〜数十万人という空前絶後の詐欺横領事件となるのである!
本当に検察は警察の組織的犯罪疑惑を捜査できるのであろうか? しかも、自らも調査活動費不正流用疑惑という同じスネの傷を抱えながら・・・ かつて「ミスター検察」と言われた伊藤栄樹検事総長は、回想録の中でこう書いている。
「かりに警察や自衛隊のような大きな実力部隊を持つ組織が組織的な犯罪を犯した場合、検察は、これと対決して、犯罪処罰の目的を果たすことができるかどうか、怪しいとしなければならない。検察の力の限界が見えるであろう。」
「検察は警察に勝てるか。どうも必ず勝てるとはいえなさそうだ。勝てたとしても、双方に大きなしこりが残り、治安維持上困った事態になるおそれがある。」
裏金の存在を証言した警視庁元職員の大内顕氏も「検察が本当に全ての警察の裏金にメスを入れれば、警察官は誰もいなくなってしまう。検察庁としても手の付けようがない」と語っていたが、確かに、警察の裏金疑惑はそのあまりのスケールゆえに刑事司法の信頼性が致命的なまでに傷つき、三権の一角が壊滅してしまう恐れがある。
これまでの警察不祥事のように、最悪、都道府県警のトップが責任を取ればいいという話ではない。トカゲの尻尾切りが通用しないばかりか、幹部警察官全員が被疑者というとんでもない話なのである。
言っては何だが、この国の警察トップが、どうあっても裏金疑惑を認める訳にいかないのも、うなずけなくもない・・・このような告発番組を作っておいて言うのもなんだが、日本の治安維持のためには、あまり事を荒立てずに自浄作用を働かせることによって裏金を無くして欲しい・・・とも、思ってしまうのである。
■おとぎ話!?
先程の伊藤栄樹検事総長の回想録「秋霜烈日」のなかで、ミスター検察は「よその国の話」と前置きして、こんな「おとぎ話」を紹介している。
「その国の警察は、治安維持の完全を期するために、法律に触れる手段を継続的に取ってきたが、ある日、これが検察に見つかり、検察は捜査を開始した。この国の検察トップは考えた。末端部隊による実行の裏には、警察のトップ以下の指示ないし許可があるものと思われる。」
「それでは、警察のトップに説いてみよう。目的のいかんを問わず、警察活動に違法な手段を取ることは、すべきでないと思わないか。結局、この国では、警察が違法な手段は今後一切取らないことを誓い、その保障手段も示したところから、事件は一人の起訴者も出さないで終わってしまった。検察のトップは、これが国民のためにベストな別れであったといっていたそうである。こういうおとぎ話。」
もちろん、「この国」とは日本のことであり、「検察トップ」とは伊藤検事総長その人、警察の違法な手段とは「盗聴疑惑」のことに他ならない。
日本の治安を維持するため、検察と警察のトップ同士による政治的解決−
今回の私利私欲に走っただけの裏金疑惑にも、そんな「おとぎ話」は成立するのか?
今回の疑惑で横領され続けてきたのは我々の税金である。国会には特別調査委員会、都道府県議会には百条委員会を設置して徹底的に真相を追及し、警察幹部は全員解任、ウミを出しきるべきだという意見もあろう。
一方、2月24日に警察庁が明らかにした答弁書のよると、2002年度の都道府県予算の報償費は約25億円に激減(99年度比33%減)、国家予算の捜査費も約51億円に激減(01年度比約40%減)している。これは都道府県警も情報公開の対象となったことで自浄作用が働いた結果と言われるが、今回のインパクトは情報公開の比ではない。
さらなる自浄作用を待つべきだという意見もあろう。
何が「国民のためのベストな別れ」なのか?
警察の裏金疑惑の取材を始めてから、自分の中でこんな自問自答が続いていて、いまだ答えを見いだせないでいる。
■老婆心ながら・・・
<最後に、蛇足ながら今、私が抱いている危惧を述べておきます。
もし、警察官僚の方々がお読みになっているとしたら、是非とも参考にしてください>
北海道警が揺れた運命の2月10日。
ある道警幹部は「悪夢だ」とつぶやいたという。原田宏二氏の実名での告発会見の衝撃はすさまじく、裏金疑惑を解明するため、北海道警は予算執行調査委員会を、警察庁は予算執行検討委員会を異例のスピードで設置した。警察庁の委員会などは会見3日後という信じられない早さで、そのこと自体は危機感の高さを表しているが、調査に当たる委員に第三者はひとりもおらず、相変わらずの身内主義。
幕引きのためのパフォーマンスという批判はまさに図星で、次のような落とし所であらかじめ筋書きも出来上がっていたのであろう。
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真の捜査協力者にちゃんと捜査費は渡されている。しかし、捜査協力者を守るために書類上、偽名を使ってしまった。つまり、「違法ではないが不適切な」経理処理だった。
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原田氏の証言は重く受け止めるが、それを裏付ける資料は保存期限を過ぎて破棄されており、事実関係を確認できなかった。
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疑惑に対し適切な対応ができず、道民に不安を抱かせたとして複数の道警幹部を戒告以上の処分とする。さらに4月の定期人事異動では関係者を異動。
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住民訴訟に対しては、既に元署長2人が報償費返還を申し出ており、不適切な経理処理を行ったことを先に認めてしまうことによって、法廷で違法性が認められる前に裁判を終結させてしまう。
確かに、一見、完璧なストーリーである。事実、1996年の警視庁赤坂署のカラ出張疑惑などはこのやり方で乗り切ってきた。
しかし今、あの時と時代の空気が明らかに違っていることに警察トップは気付いているであろうか?うすうす裏金の存在に気付きながらもこれまで報道できないでいたマスコミの高揚ぶりを・・・さらに警察内部に広がる爆発寸前の不満を・・・
例えば、2月20日の北海道新聞にこんな見出しがあった。
「不正認めぬなら次は私 OB十数人、証言の構え」
原田氏の実名告発にもかかわらず、北海道警が真摯に対応しなければ、実名告発が一気に飛び出す可能性があるというのである。
加えて言うならば、それは今やOBだけではない。そして北海道警だけの動きでもない。警察トップが姑息なやり方で安易に幕引きを計るのならば、日本全国に予想を遙かに超えた内部告発の嵐が吹き荒れるだろう。社会正義を実現したいと警察官を志した、本当に最前線で汗水垂らしている捜査員たちの思いは朽ちてはいないし、幹部の不正を見て見ぬふりする不満はもはやピークに達している。
とてもでないが、口止め工作で押さえられるレベルではないことを、危機管理にたけた警察官僚なら当然ご存じだろうか?
もし、「保存期間を過ぎているため原本がなく確認できない」という常套句が通用しない、ここ5年以内の内部文書が次々と暴露されたらどうするのか?現役の幹部警察官が続々と実名告発に踏み切ったらどうするのか?
収拾がつかなくなる前に、日本の治安維持ということも念頭において、よく考えていただきたいと思うのである。老婆心ながら・・・