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女子中学生にわいせつ目的で抱きついたなどとして、強制わいせつ未遂罪に問われた長崎市出身の男性(36)に対し、福岡地裁(山城司裁判官)が「男性は聴覚障害者で意思疎通が難しいにもかかわらず、警察や検察は本人が希望しても補聴器を用意せずに取り調べた」として、自白調書を採用せず、無罪(求刑・懲役2年)を言い渡した。昨年4月以降、福岡地裁管内の無罪判決は判明分だけでも6件目で、相次ぐ無罪判決に捜査手法の問題を指摘する声も上がっている。
昨年10月の判決によると、男性は同1月、福岡市西区のマンション駐車場で、帰宅した女生徒の背後からいきなり抱きつき、「大声を出すな」と脅し、左手で口をふさぐなどの暴行を加えたとして逮捕された。
福岡地検は、男性がわいせつ目的を認めたとして起訴。「男性から胸付近を手で押さえられた」とする女生徒の調書や、男性が「胸を触ろうと思った」と供述した内容の調書を証拠提出した。
公判では、補聴器を付けた男性の耳元に、裁判官らが大声で呼びかけて尋問が行われた。男性は「仕事をもらうために会社を探していたが見つからず、道を尋ねるつもりで近づいた。振り返った女生徒がいきなり悲鳴を上げたことが分かり、とっさに手を女生徒の口に当てた」などと主張。
さらに「取調官の声が聞き取れないこともあったが、質問を繰り返してほしいとは言えず、わいせつ目的の点も、うまく言葉で説明できなかった」と述べた。女生徒も法廷で「体を触るような動きはなかった」と捜査段階とは異なる証言をした。
山城裁判官は、男性は両耳が不自由で発声も明確でないのに「大声を出すな」と脅したとするのは不自然と指摘。背後から胸を触ることもできたのに、そのような行為が一切無く、「わいせつ目的の認定は大きな疑いが残る」と述べた。
補聴器を付けないで取り調べた点も「理解に苦しむ」とし、捜査官の質問を理解して供述できたかどうかに疑問が残り、自白調書は信用できないと判断した。
判決を不服として控訴した福岡地検は「特にコメントはない」とし、男性を逮捕した福岡県警西署の長野和之副署長は「係争中の事件なのでコメントは控えたい」としている。
九州大大学院法学研究院の内田博文教授(刑事法学)の話「被告はうそをつくという予断と偏見に基づいて、言い分を聞かずに捜査が行われたと批判されても仕方がない。補聴器を付けさせるのは当然で、捜査官は公判で問題になると考えなかったのだろうか」
(2004/2/20/04:08 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040220i301.htm