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http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040714202.html
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政府や企業による抑圧にハッカーはどう対処 するか――『HOPE 5』の報告
Michelle Delio
2004年7月12日 9:54am PT ニューヨーク発――演
壇の後ろにかかる鮮やかな赤の垂れ幕には、ヒト ラー風の口ひげに吸血鬼のような髪型の不吉な 顔が描かれている。気味の悪いその顔の下に は、『ビッグブラザーがお前を見ている』との警告 がある。
9日(米国時間)から開催された『ハッカーズ・オ ン・プラネット・アース』(HOPE)の第5回年次集会、 通称『HOPE 5』の会場で、出席者たちはコンピュ ーターや管理規制、プライバシー、政治問題など について議論を交わした。しかし、これは通常の IT集会ではない。入場券は黒い腕章になってい て、Tシャツに書かれたスローガン――『今こそ革 命を』、『泣き言を言うな、投票しろ』、『監視者を 監視せよ』、『2004年の選挙をハックせよ!』など ――にぴったり馴染んでいた。
今年のHOPEの雰囲気はいつもよりも暗かっ た。監視を逃れ、訴訟を回避し、刑務所に放り込 まれないようにするためのコツを伝授する多数の ワークショップやパネルディスカッションが開かれ た。こういった問題がハッカーの会議で取り上げ られるのはよくあることだが、HOPE 5では恐れや 失望、悲嘆という意識があるように感じられた。
米国政府が立法――『パトリオット法』など―― によるハッキングの取締りを実施していることに 加え、製品のセキュリティー上の欠陥に関するあ らゆる議論の封殺を意図した訴訟を企業から起 こされる懸念が増大し続けていることから、ワーク ショップや非公開討論の多くがハッキングは「滅び つつある芸術」なのかどうかを論じていた。
多くの出席者の間で意見が一致したのは、この トンネルの出口にきらめく光は、自由の炎の輝き というよりは、近づいてくる列車のように思えると いうことだった。エンターテインメント業界が技術メ ーカーと協力して、コンピューターの機能を制限 し、ユーザーが匿名で情報を複製、共有、変更で きないようにするだろうと考える人も多い。
また、セキュリティーの研究者で著書もあるブル ース・シュナイアー氏は、われわれはプライバシー を安全と交換したという誤解があるのではないか として、2001年9月11日以降のセキュリティー対策 の大部分は効果がないと主張した。
プレゼンテーションの多くが憂鬱な性質のもので あったため、昔を懐かしむ強い想いが掻き立てら れた。かつてハッキングは、悪くてもハイテクの黒 魔術のようなものだと考えられ、テロと同等に扱 われるようなことはなかったからだ。
米アップルコンピュータ社の創立者の1人であ り、長い間ハッカーのヒーローとして君臨するス ティーブ・ウォズニアック氏は、たわいもないいた ずらが国際問題に発展するなどという心配をする こともなく、若いハッカーが電話システムに少しば かり手を加え、ローマ法王に無料で電話をかける ことができた時代を回想した。
ウォズニアック氏は10日、満員の部屋の中で行 なった基調講演の中で次のように述べた。「ハッ キングは多くの場合、子どもがただ面白いことをし ようとしているだけだ。問題なのは、われわれに は独特のユーモアのセンスがあるが、たいていの 人々にはわれわれのジョークがわからないという ことだ」
「しかし……ハッカーはテロリストだろうか? そ のとおり。脳ではなく金を使って革新を進めたいと 考える人々にとって、われわれは脅威でしかな い。この部屋を見回したところ、われわれが金で 動くのではないことはわかる。それが一部の人々 を脅えさせるのだ」とウォズニアック氏は語った。
セキュリティー・コンサルタントのケビン・ミトニッ ク氏による9日の基調講演も、汗ばんではいるが 上機嫌の大勢の出席者で込み合っていた。部屋 のエアコンが不調で、講演が終わる頃には室温 が30度以上に上がってしまったにもかかわらず、 聴衆は不注意な人や無用心な人をだます話を興 味深く聞き続けた。
(ワイヤレス・ネットワークも9日は機能せず、10 日も機能したりしなかったりだった。このことは大 半の人にとって、会場となったホテルの大部分が 温室のような状態になっていたことよりも、はるか に関心を惹くものだったようだ。)
会議では、スパム業者を困らせる楽しい方法も 議論された。ハリー・ポッターの『ホグワーツ魔法 魔術学校』のハッカー版を建設する計画を論じる 者さえいた。鍵の破り方、暗号化、車載コンピュー ター用ソフトウェアの書き換え、海賊ラジオ局の運 営、クローゼットや地下室にしまい込んであったも のを利用してナノテク実験室を作る方法など、セ キュリティーに関するさまざまな技能を青少年に 教える国家安全保障のための大学だ。
また、2004年度共和党全国大会をハッキングす るための技術的なヒントも話し合われた。同大会 は、HOPE 5の会場となったホテルから通りを隔て てすぐのところにあるニューヨーク市のマディソン・ スクエア・ガーデンで、8月30日から9月2日まで開 催される。
議員たちが街を巡回するために利用するチャー ターバスを、誰かが実際に動かなくしてしまえば、 面白い見ものになるだろう。だが、ハッカーたちが 実行しうる恐ろしい行為にばかり注目していると、 それ以上に恐ろしい問題を忘れがちになる。問い かけをやめないハッカーのような人々が政府や企 業に歯止めをかけられなくなり、暴走を許してし まったとき、何が起きるかということだ。
HOPE 5で何か希望が見られたとすれば、教育 を受け、好奇心の強い一般市民には、依然として システムをハックする能力があるという考えがほ ぼすべてのワークショップで繰り返し表明された、 という点だろう。
[日本語版:平井眞弓/高森郁哉]
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