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nikkeibp.jp 健康サイトから
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/kenkou/plus/329928
「高血圧予防に減塩」の常識に異論・反論
食塩の制限めぐり米・加の学会が激論中
高血圧を予防する食生活で、食塩は1日にどれほど摂取するのが適切なのか。米国の専門委員会が発表した厳しい新基準の適否をめぐって、カナダの研究者グループがこれを真っ向から否定する勧告を発表し、米国とカナダの関連専門学会の間で国際的な激論が巻き起こっている。
食塩の摂取が血圧に及ぼす影響については、すでに長年にわたって膨大な数の研究がある。その結果から、食塩の成分であるナトリウムが血圧を上昇させるので、高血圧患者はもとより正常血圧の人も、高血圧の予防には食事から摂取する食塩を減らすべきだ、というのが“常識”になっている。
では、どれだけ減らす必要があるのか。全米アカデミー医学研究所(IOM)の専門委員会は、米国立心肺血液研究所が行った「DASH-ナトリウム研究」などの研究結果から、血圧が正常な人が必須栄養素として摂取するナトリウムの1日最少必要量を1.5グラム(食塩として3.8グラム)とした。米国の従来の基準で推奨されている1日摂取量はナトリウムで2.4グラム(食塩で6グラム)だが、それでは多すぎるという結論だ。
ちなみに、現在の日本人の国民1日当たりの食塩摂取量は、一昔前に比べればかなり少なくなっているとはいえ11.4グラム(ナトリウムで4.5グラム)。米国の専門委員会の勧告に従うならば、高血圧予防のためには、日本人は今のさらに3分の1まで食塩摂取を減らさなければならない計算になる。
現在の食生活では、食塩の75%は加工食品から取っているので、1日食塩3.8グラムの食事というのは、従来の通常の食生活では達成できないことは、米国の専門家も認める。食品業界全体の協力で国民の味覚を変えていかなければ、米国でも現実には達成困難な数値ではある。
一方、このIOMの研究報告書の発表と前後して、カナダでは、カナダ高血圧学会、カナダ家庭医学会、カナダ高血圧予防管理学会、カナダ心臓脳卒中財団、カナダ保健省慢性疾患予防センターなどの専門家で構成された合同委員会が、高血圧症の予防と管理のための生活習慣改善の勧告を発表した。ところが、この勧告では血圧の正常な人には減塩を求めなかった。
カナダの合同委員会の専門家たちは、「コクラン共同計画」による2つのレビューをもとに、正常血圧者を対象としたいくつもの長期追跡研究の結果などから、減塩しても長期的には血圧は下がらないという結論に達したという。米国のIOMが採用したデータは最新の知見ではなく、研究対象も不適切であり、結局、これまで“常識”とされていた「減塩の効果」を支持する医学的根拠(evidence)はないと主張する。
食塩に対する血圧の反応は個人差が非常に大きく、血圧が食塩(ナトリウム)に敏感に反応して昇降する人と、ほとんど影響を受けない人がいることは知られている。高血圧の人で減塩食による食事療法が有効なことがあるのも確かだ。しかし、「正常血圧の多くの人には減塩食は何の意味もないだろう」というのがカナダ側の見解だ。
カナダの専門家は、ナトリウム摂取でこの値を達成するには食事内容を根本から変えなければならず、他のすべての栄養バランスが崩れかねない。その悪影響のほうがはるかに問題だとも主張する。これに対して、米国の専門家は、食塩の摂取量が増えるほど悪い影響があるという証拠は十分にある半面、減塩による有害な影響を確実に示したデータはないと反論する。
米加どちらの主張が正しいのか。いずれもっと詳細な研究で明らかになるだろうが、今のところ、少なくともカナダ国民の食事を根本から変えるように説得できるデータはないということのようだ。
お新香、塩焼き魚、刺身醤油にみそ汁…と、塩味好きの日本人としては、この対岸の議論をどう受け止めたらいいものだろうか?
(広多 勤)