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エイズ、早期治療で助かるのに…手遅れで29人死亡
過去最高となる976人のエイズ患者・感染者が報告された昨年、感染に気付くのが遅れたために医療機関を受診後1年以内に死亡したとみられる患者が少なくとも29人に上ることが、読売新聞の調査でわかった。
早期に感染を発見すればほぼ死亡を防げる段階まできた治療法の進歩が、十分に生かされていない実態が、初めて浮かび上がった。
昨年、全国の医療機関から国に報告された死亡者は19人。任意報告のため実態を正確に反映していないと、かねてから指摘されており、読売新聞は主要なエイズ専門病院27か所にアンケートを実施した。
24か所から回答があり、エイズに伴う免疫機能の低下で肺炎やがんなどになり死亡した患者は、東京23人、大阪周辺5人、その他地域6人の計34人(日本人30人、外国人3人、不明1人)に上った。集計上、薬害エイズ被害者は除いた。
34人のうち、専門病院を受診してから1年以内に死亡した29人は、来院時に症状が相当進行しており、治療効果が十分得られなかった。中には呼吸困難を訴えて訪れ、数日で死亡した患者もいた。残りの5人は、薬の副作用など様々な理由で治療を継続できなかった人などだった。
死亡者以外にも、中枢神経が侵される脳症で身体麻痺(まひ)の後遺症が残ったり、集中治療室に入院したりした患者ら重症者も14人おり、「エイズ発症まで感染に気付かないことが多い」という回答が相次いだ。
エイズはかつて死の病と言われたが、1996年に米国で複数の薬を服用する標準治療法が開発され、発症前に治療を始めると、死亡することはほとんどなくなった。亡くなるのは主に、長期間の闘病で薬の効かない耐性ウイルスが出現したり、副作用で服用を続けられない患者とみられていた。
国内の患者・感染者数は増加を続けている。木村哲・日本エイズ学会理事長は「性交渉でだれでも感染する可能性があるが、ほとんどの人は自分の問題だと思っていない」と社会的関心の低下を指摘する。
保健所などで無料検査が行われているが、実施日時は週1回前後で、受付時間も2時間程度に限定されている場合が多い。
その上、結果を聞くために再訪しなければならず、以前から利用しにくいとの批判が出ていた。厚生労働省は今年度から、30分前後で結果が判明する迅速検査の導入を支援している。
◆啓発、検査の充実急げ◆
手遅れになったエイズ患者の死亡が相次いだことについて、木原正博・京大教授(社会疫学)は「背景には、無料検査制度の利便性の悪さに加え、感染が判明した時の差別を恐れて、検査に二の足を踏むという問題が潜む」と指摘する。
差別の底流には、エイズを特別な病気と見る偏見がある。だが昨年までの患者・感染者の累計は約8600人に上り、女性も4分の1近くを占める。感染者は2010年には5万人前後に達するとの予測もある。
国や自治体は今一度、効果的な啓発活動に知恵を絞り、利用しやすい検査態勢の整備を急がなければならない。一方、感染の不安を感じる人は、コンドームの使用が最大の予防策であることを自覚し、積極的に検査に行く必要がある。
◆エイズ=後天性免疫不全症候群の略。エイズウイルス(HIV)感染後、10年程度で免疫機能が損なわれ、感染症やがんで死亡する。複数の抗ウイルス薬を併用し、検出限界以下までウイルスを抑え込むと発症は防げるが、完全な排除はできない。感染者は半永久的な薬の服用が必要。(読売新聞)
[6月7日15時44分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040607-00000106-yom-soci