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海運業界が空前の好況に沸いている。12日に日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社が発表した2004年3月期の連結業績予想は、そろって史上最高の売上高を達成する見通しで、商船三井と川崎汽船は経常利益、税引き後利益も過去最高を更新する勢いだ。好業績の背景には、中国の需要増大による運賃の高騰や、合理化の効果がある。(新井 庸夫)
「世界の工場」と呼ばれる中国から、主にアメリカ向けに輸出される日用品や電化製品などの荷動きが活発で、取扱量が伸び続けている。米通関統計によれば、2003年に中国、香港からアメリカに輸出された貨物は、長さ20フィート(約6・1メートル)のコンテナに換算して594万個で、2000年の1・5倍強に膨らんだ。
中国への原材料の輸入も急増している。北京五輪(2008年)や上海万博(2010年)を控え、中国国内でビル建設などが急ピッチで進んでいるためだ。
この結果、鉄鉱石や石炭などを運ぶ貨物船の需給バランスが崩れ、運賃は「異常な水準」(商船三井)まで跳ね上がった。17万トン級の資源運搬船の運賃は「昨年前半には1日あたり2000ドル程度だったが、今では1万ドルを超えている」(日本郵船)という。
だが、好調な荷動きと運賃の高騰ばかりが、海運業界が空前の好況を享受している理由ではない。
日本の海運業界には、1985年のプラザ合意後の円高や、アジアの海運業者との価格競争など、長らく逆風が吹き続けてきた。各社は大規模な合理化策を次々と打ち出し、大和総研の調べでは、2003年3月期までの10年間で、大手3社の従業員(単体)は約4割も削減された。同総研の一柳創アナリストは、「90年前後のバブル期にも、粛々とリストラを続けてきた成果が上がった」ことが、現在の好業績の背景にあると指摘する。
業界内では、現在のような好況が少なくともあと1年は続くとの見方で一致している。急激に伸びた需要に対して、船舶の供給は緩やかにしか増えないため、しばらくは強気の運賃設定が可能だからだ。とりわけ鉄鉱石などの運搬船は、全世界の造船所を合わせても2006年までの間に3隻しか新造されないことがわかっている。
ただ、懸念材料もある。運賃の大部分がドル建てで決済される海運業界にとって、円高の急速な進行は影響が大きい。大手3社は1円の円高で連結経常利益が8―11億円減少する。しかし、中国を軸とする旺盛な輸出入が突然、腰折れする事態は考えにくく、「多少の円高であれば、十分吸収できる」(川崎汽船)との楽観論も根強い。
(2004/2/12/23:32 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20040212ib23.htm