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【コラムニスト:Andy Mukherjee】
2月10日(ブルームバーグ):7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が「柔軟性ある為替相場」という表現を5カ月足らずで修正を余儀なくされたのは、何が原因だったのだろう。一見したところ冗長とも呼べる文言を追加した背景にはどんな理由があったのか。
2つの声明を比較してみよう。 「主要国・地域にとって為替相場のさらなる柔軟性が望ましい」(2003年9月20日、ドバイでのG7) 「為替相場の柔軟性に欠けている主要な国や経済地域では、さらなる柔軟性が望ましい」(2004年2月7日、米フロリダ州ボカラトンでのG7)
為替相場の柔軟性に欠けているという文言は重複だ。柔軟性を欠いた地域だけ、さらなる柔軟性が望ましいのか。そうは言えないだろう。アナリストらによると、G7がこの文言を挿入したのは、日本には為替相場の柔軟性の欠如は認められないと投資家に示唆する狙いが背景にあるという。つまり、投資家は日本政府・日銀による円売りの縮小を期待すべきではないという意味だ。
G7はその代わりに、全く柔軟性のない為替相場制度を取る中国に投資家の関心を向けさせた。
窮地を脱する
ボカラトンG7に出席した谷垣禎一財務相は今回の声明について、「為替市場への正確なメッセージだ」と評価しており、G7は日本を窮地から脱出させたようだ。ドバイG7声明の「為替相場のさらなる柔軟性」との表現は、日本の通貨当局が円売り介入の縮小を黙認したと市場に受け止められ、G7閉幕後2営業日で円は対ドルで一時3.6%高まで買い進まれた。谷垣財務相は今回の声明が、ドバイG7以降の声明の解釈をめぐる誤解を正したと指摘。「日本の通貨は柔軟性を欠くものではない」と強調した。
アナリストの間では、谷垣財務相がボカラトンG7で日本から注意をそらすのに成功したことを評価する声もある。メリルリンチのチーフエコノミスト、ジェスパー・コール氏は、「日本にとって、今回のG7は完全な成功だ。一方的な介入政策への全面的な支持を意味するからだ。日本に後ろ指を差す国はいない」と語った。
中国
少なくとも主要7カ国が日本の通貨に柔軟性があると判断したのなら、柔軟性がないとされる国はどこなのだろう。答えはもちろん中国だ。
アナリストの間では、過去9年間にわたって人民元を1ドル=8.3人民元に事実上固定している中国は、自国通貨を過小評価して輸出産業に不当な競争力を与えているとの見方が多い。米議会では中国の為替相場制度を、米国の雇用減少や巨額の対中貿易赤字の原因だとする批判が強まっている。
豪マッコーリー銀行(シドニー)の通貨ストラテジスト、ジョアン・マスターズ氏は、「『柔軟性』に関するコメントの矛先は、日本よりも中国のようだ」と話す。
だが、G7参加国でもない国の通貨政策について遠回しなメッセージを出すことに何の意義があるのだろうか。強力な理由の一つとしては、中国が現在直面する過剰なマネーサプライの問題がある。G7声明が、人民元の今後の上昇期待を背景に、投資家に中国へのさらなる資金投入を促したとすれば、中国の中央銀行は結果的に、マネーサプライとインフレを抑制するため人民元の切り上げを容認せざるを得なくなるだろう。
言い換えれば、「柔軟性を欠く」国の為替相場にさらなる柔軟性を求める今回のG7声明は、中国人民元の場合は現実のものとなるお告げになるのかもしれない。となれば、今の市場に必要なのは、G7が言及する場所に資金を投じるリスクを取れる投資家だ。(アンディ・ムカジー)
(ムカジー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:G-7, in Four Words, Makes Case for Yuan to Rise: Andy Mukherjee (抜粋)
Last Updated: February 10, 2004 02:04 EST
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=a9Q7eowit0_g&refer=top_kaigai