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(回答先: 独Ifoネルプ氏コメント:輸出期待はプラスだが曇ってきている [ブルームバーグ] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 1 月 27 日 22:22:16)
曇ってきているというのはかなり控えめですが、そんなところでしょうか。
ユーロ/ドルが上昇し始めても、初期段階においてはある程度は値引きによって対抗し得ます。特に、日本同様度々通貨高に見舞われたドイツは、通貨高に対応するノウハウを身につけて
います。これは明らかに過去投機的な通貨売りに見舞われたイタリアやスペイン、フランスに
比べ、強みと言えます。特に厳しい国際競争に曝されているドイツの製造業は雇用削減を通して、生産性の改善を進めてきたことから、今回の通貨高にもある程度の抵抗力を有しています。
しかし、長期的に上昇傾向が続いた場合には、需要見通しを修正し、新たなコスト削減策を
打出すなど、戦略の変更を迫られます。今回のユーロ/ドル上昇による”やせ我慢”状態が
一過性のものに終われば、問題はありませんが、数ヶ月続くとなれば、景気の起爆剤としての
外需の動向、さらに価格動向に影響を及ぼすことは避けられません。
輸出だけではありません。ドイツでは減税が実施されましたが、消費に対する効果は
米国などに比べ薄いと考えられます。日本よりも効果は薄いのではないでしょうか。
その理由としては
@健康保険改革によるの自己負担分の引上げ、将来の年金を巡る不透明感から貯畜を
増やそうとしていること。アリアンツの調査に依れば、ドイツ人は2002年には
手取り収入の10.6%を貯蓄に回していましたが、昨年は10.8%と一段と上昇し、
統合後最高の水準に達したとのことです。
A1980年のシュミット政権、1990年代の東西統合後に財政赤字の急増と増税を
経験しているドイツでは、財政赤字削減の見通しのない減税は将来へのコスト転嫁と
考え、反って家計は防衛的になること。
B値引き禁止法撤廃により、大幅な値引きが行われ、”なにも慌てて買う必要はない”と
いうムードが広がり易いこと。ドイツでは、世界恐慌の時に投売りがデフレを悪化させた
との反省から、”値引き禁止法”と呼ばれる法律がありました。
年2回のバーゲン時期以外での恒常的な大幅値引きや価格交渉を禁止していました。
シュレーダー首相は一連の構造改革の手始めに規制緩和としてこの”値引き禁止法”を
撤廃しました。その結果、大型店を中心にバーゲンシーズン以外でも”−30%”とか
”−50%”などと大きく表示しています。最初は惹かれても、そのうち値引きが
当たり前になってしまいます。
IFO研究所は盛んに”ユーロ/ドルを1.20以下に押し下げるよう、ECBは介入を
実施すべき”と繰り返し警告しています。せっかく上向いた景気への信頼感が損なわれる
可能性を危惧しているためでしょう。