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今週の週刊金曜日は《ついに戦前になってしまった》という感慨を起こさせる。
いまの日本人は戦前の日本人より進化しているのでしょうか?
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p.10
前田 戦前も同じようなパターンだったのです。満州事変という、日本が15年にも及ぶ戦争を始めるきっかけになった事件の直前に、中村震太郎大尉事件というのがあった。軍事情報収集のため、立ち入り禁止区域に潜入した陸軍の軍人が拉致されて、射殺された。それがワーッと盛り上がるんです。
石坂 どこで拉致されたんですか。
前田 蒙古です。その事件に満州に植民していた日本人居住民団が決議して、軍に「断固たる行動を取れ」と要請したんですよ。今の拉致事件に対する感情とも似ています。
石坂 いやだな。
前田 それが、1931年の柳条湖での列車爆破事件につながっていく。第一次上海事件が起こる前は、日蓮宗の僧侶が上海で殺される。これがきっかけで日中戦争が拡大するんですが、このときはもっと悪辣で、日本の特務機関が実際は僧侶を中国人に殺させているんです。それで世論を盛り上げて、軍隊動員をした。
石坂 同じパターンですね。
前田 今度自衛隊がそこまでやるかどうかは別にして、日本人の命、同国人の命というのは必ずそういう風に使われる、演出されるという歴史が近代日本にもあるんです。
…
石坂 善人というのは、人の悪意をあまり感じとれない。自分に悪意がないわけですから。そこまで悪いことを考える人がいるのかということに、なかなか考えが及ばないんです。でも世の中には、本当にとんでもないことを考えている人がいる。
だから愚直に同じような言葉を使うのではなく、それ以上にしたたかに工夫をしてやらなくてはいけない。戦略的に負けることも多いと思います。暗い話になちゃったけれど、希望があるとすれば、どんなことでしょう。
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p.74 筑紫哲也
知の世界で言えば「戦後」は丸山真男の登場とともに始まったと言われる。学生時代、あまり本を読まなかった私でも、「現代政治の思想と行動」という丸山論集には鮮烈な印象がある。
故あって、暮れからそれを久しぶりに読み出して驚愕した。
当時、私たちが感嘆したのは、なぜあんなにも無謀で愚かしい戦争にこの国が突入していったのかという疑問に丸山が明確怜悧な分析を示したからだった。つまり過去(戦前)の分析として読んだ部分が多かったのである。
ところが、今それを読むと、たった今進行中の状況を描いているとしか思えないほど、相似性が高い。客観的状況だけでなく、それに馴致されていく心理状況までが、「そうだ、私たちは『戦前』にいるんだ」と思わせる。
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