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http://www.chibalab.com/news_otoshiana/documents/2004.0206.htm
仲良しブッシュ・小泉同盟と「ザ・ラストサムライ」「新撰組」等の戦争ファンタジーの関係
「最近主要メディアが右翼化している」とニュースの落とし穴のコラムで、私は何度か言ってきている。その流れを、直感的に不自然に感じているからだ。社民党の土井さんの人気が急激になくなり、将来を期待されていた辻元清美議員は些細な問題に紐をつけられるようにして、あっという間に削除されてしまった。
それに今まで平和を常に軸にしてきたはずの公明党ですら、最近は妙に右翼化してきていて気味が悪いんだなぁ。ネオコンがキリスト教原理主義( コラムN o. 7ウォール街の株価はすべてを知っている )をうまく取り込んでブッシュ政権をうまく操っているように、小泉政権も最近は公明党をうまく利用しているようである。本来の憲法に従えば、宗教と政治は分離していなければならない。それが民主主義国家の基本であるはずである。自分の言うことをきかない国に対して先制攻撃も辞さないと堂々と表明した歴史上稀にみるブッシュ政権のイラク攻撃を、小泉純一郎は、属国よろしくいの一番に支持してしまったのである。( 参考記事 )
もちろんイラクや日本の国民のことなんかまるで眼中になく、とにかくイラク占領軍であるアメリカのご機嫌を取りたかっただけである。イラクのサマワへの「自衛隊派遣」も、表向きは「国際貢献しないでどうする?」と言う茶番発言を繰り返していたが、本当のところは憲法なんてどうでも解釈できると思っていて、ただただブッシュ政権の方角だけを見つめているのである。
そんな雰囲気のなかで、「ザ・ラストサムライ」はハリウッドでリリースされ、「新撰組」はNHKの大河ドラマとして時流の人気者を起用してタイミングよく放映されている。マスコミではほとんど話題にならないが、ハリウッド映画はアメリカの政治プロパガンダ機関なのである。多くの映画ファンからお叱りを受けるかもしれないが、少し気をつけて映画を観察していると、見事なまでにアメリカの政治戦略のサポートを、意識されない娯楽情報等を通しておこなっているのだ。
「ザ・ラストサムライ」のあらすじは、アメリカ軍人オールグレン(トム・クルーズ)は、明治初期の日本に軍事顧問として派遣される。彼を雇うのは、明治政府にハイテク武器を売り込もうとする先端武器会社である。彼の役割は、政府に反逆する参議「勝元」(渡部謙)一派の反乱軍を討伐するために、貧しい農民上がりの新政府の兵士たちに銃の使い方を教え、新しい戦い方を教えることである。
ところが戦闘中に捕虜になってしまったオールグレンは、勝元一派の村で暮らすようになる。彼らの村で暮らすうちに、伝統的な武士道に生きる勝元等に惹きつけられ、やがて彼らの一員になって戦うようになってしまう(確かに、これらのシーンは「七人の侍」の影響をかなり感じられる。同じくNHKの大河ドラマ「武蔵」も、「七人の侍」の模倣が多すぎると、故黒澤監督の息子である黒澤敏雄に訴えられている)。
時代は1877年に設定され、西南戦争がモデルになっている。オールグレンは南北戦争の英雄なのだが、そのとき彼は、インディアンの戦士ばかりではなく、村の女、子供までも虐殺してしまう。そのせいで未だにその記憶が脳裏にはりついてしまって、時々悪夢となって彼を襲う。彼は酒におぼれ、その罪悪感から逃れるために、極東の果て、太陽のいずる国日本に行くことを承諾する。
勝元軍と新政府軍の戦いは、まるでイラクとハイテクを駆使したアメリカ軍の戦いのようである。剣と弓矢しか持たない勝元軍は、最先端の新式銃で武装した政府軍に、まさにイラク人のように殲滅される。勝元が象徴するのは、武士道という「精神主義」である。そして彼に対立するのは、ハイテクを信仰する「物質主義」の導入に熱心な「大村参議」(原田真人)である。
物質主義の大村は、アメリカの武器商人から賄賂を受け取るいわば悪役である。勝元は、文明の利器である鉄道を襲撃する故に、精神主義である(このシーンは西部劇みたいで、なんだか白人対インディアンの戦いを連想してしまうような脚色である)。確かに勝元は、アメリカ人が美化した精神主義の武士道の中に生きている。「精神主義」は、物質主義の物量とハイテク軍事力の前に敗れはするが、その精神性において物質主義に勝っているという具合である。アメリカ人は、よく日本人の気持ちを判っているんだよ、という感じである。まさに父親のような良き理解者ぶっていて、逆に不自然なものを感じてしまう。
「精神」と「物質」の対立は、今やアメリカの問題でもあり、勝元の村に来て、霊的なものの重要さがわかり、魂の平安を取りもどす。そしてオールグレンはインディアン虐殺の悪夢から、ようやく開放される。武士道という精神主義の日本が、オールグレンの魂の救済の地となるのである。オールグレンが政府軍との戦闘で、政府軍側にいたハイテク武器会社の上司たるアメリカ軍人を殺すのは、ハイテク軍事国家であるアメリカへの反逆でもある。精神主義のサムライ勝元(日本のインディアン)とともに戦うことで、オールグレンがインディアンに対して犯した罪の贖罪が果たされるのである。
まさにこのタイミングでハリウッドで制作されているだけに、アメリカの中道派が日本人の気持ちをうまく取り込んでまるめ込もうとしている感じであり、気の合う者同志なんだから、イラクで一緒に仕事をしようぜ、といった風である。そういう捉え方をすると、このハリウッドのプロパガンダ映画はなかなか手の込んだ見事な造りである。私でさえ、うっかり引き込まれそうである。
オールグレンが日本に派遣されたのは、ハイテク武器会社が明治政府に武器を売り込むためである。近代化に熱心である明治政府はフランス、ドイツ等のヨーロッパ諸国から法制や様々なインフラを導入しようとするが、アメリカから導入するのはハイテク武器だけなのである。まさに超ハイテク国家アメリカへの巧みな自己批判さえも、自らやってのけてみせているのである。これは相当にアメリカの中道派が熱を入れて一生懸命創ったもののようである。
最後のシーンで、若き明治天皇は、アメリカのハイテク武器会社と契約を結ぼうとしている。そこに、勝元の形見の剣を持ってオールグレンがはいってくる。天皇は勝元の刀(武士道の象徴)を受け取り、武器取引で私腹を肥やそうとしている大村を解任し、アメリカのハイテク武器会社との契約を破棄する。武器商人は憮然として御前から去っていく。勝元は死に、サムライ(精神主義=武士道)の時代は過ぎ去った。その後、物質資本主義をひたすら走ってきた日本は、いまや先制攻撃も辞さないハイテク軍事国家であるブッシュ政権の言いなりになって、小泉首相はめちゃくちゃな屁理屈でもって自衛隊派遣を正当化して、サマワに自衛隊を送り込んでしまった。
アメリカの帝国主義に盲従することが武士道精神と勘違いした小泉純一郎は、これから日本を単なる軍国精神(平成人が考える独りよがりな武士道)を復活させようと企んでいるのだろうか。またしても溜息が出てきてしまうなぁ…。
これらの3つの最近の出来事は、目に見えないところでしっかりと繋がっているようなのだ。最後にこのコラムを書くに当たって、いつもメールを戴いている那覇市に住んでいるアキラ君の提案が、とてもヒントになったことを付け加えておきたい。